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記録#21

前回の続き。

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前回の「記録」から5カ月もたっていた。その間、ほとんど変化がなかったので。

4月と7月にCTを撮り、いずれも前回と比較して腫瘍の増大はないということだった。
抗がん治療してないのに1月から変化してない(去年の11月からはやや増悪)ということで、ずいぶんのんびりしたがんだなあと思う。
でも痛みがひどくなることはなかったのて、自分でも腫瘍が育ってる感じはしなかった。半ば想定内というところでもある。
先生はニコニコと「長生きできますよ」って言ってたけど、いやさすがに長生きはできないでしょと思った。長生きもノーサンキューでございますわよ。

腫瘍は決して小さくないため、いつどうなるかわからないから、自分の死後、遺族が途方に暮れないように最低限のことはすでにすましてあるけど、この分じゃ来年も暑い夏を経験してしまいそう。お盆にはスノーマンに乗って帰ってこようと思ってたのに。

さて、6月末に突然発生した痛みの方は、医療用麻薬である痛み止めが効いているのか、おかげさまでほぼ落ち着いている。
一方で、7月上旬ごろから下半身を中心にむくみが出始め、とくに腫瘍がある側の右脚のむくみがひどく、それに伴う痛みが追加された。痛くてお出かけもできなかった(ストレスたまる!)けど、ここ数日で40%くらいよくなってきた。
腫瘍が居座ってることで、リンパ液の流れが悪くなっていることによるむくみだろうとのこと。

こうやって腫瘍があちこちをぎゅうぎゅう押していろんなところに支障が出るんなら、緩和治療的に抗がん治療を受けようかなと思ったときもあった。でも、それで延命しちゃっても長生きしたくない自分としては本意ではないし、いずれはそれにも限界が来るのだから、単に時間の問題である。
つまり、単に症状や死期を遅らせるだけであって、その分の時間でなにかをやっておきたいとか、少しでも長く家族といたいとかいうわけではない自分にはあまり意味がないんだった。それに、こんなおんぼろな体でこれ以上生きていたくない。
先生も、やるかやらないか訊いてこなくなった。

命を放棄せずちゃんと生きようと治療を受けるがん患者さんとか、親御さんが後期高齢者であっても抗がん剤治療を受けさせたいと願う人々を見るが、それが真っ当なんだろうなとは思う。
どんな状況にあっても、できることは全部して命を少しでも存えたいという気持ちは理解はできないけど、そういう気持ちがこの世に存在するということはよくわかる。

今現在無病なひとが、長生きしたくないとか言うことがあるんだけど、言ってる傍から、がんになったら抗がん剤はやるかもとか言うのでわけがわからない。みんなおもしろいね。

がんは(間接的に)自殺できる病なんですよ。意図的にがんになることはできないけど(でも2人に1人が罹患するそうなので、確率は高い)、ほんとうに長生きしたくなかったら、幸か不幸かがんになったときには、なんにもしないことです。

(続く)

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