【東大生進学選択体験記⑥ 将来の夢と進学選択】
こんにちは、東京大学ピアサポートルームのキャリアチームです。
キャリアチームでは東大生が自分のキャリアについて考える際の参考にしていただくため、東大生の就活や進学選択に関する体験談を投稿しています。
今回は東大生進学選択体験記シリーズ第6弾です!
2020年度進学、理科一類→工学部物理工学科(第1段階により)
#東大生進学選択体験記 #工学部 #物理 #教職 #夢 #理一
〇進学選択の時、実際の進学先と悩んだ進学先はありましたか?
はい。最終的な進学先は工学部物理工学科ですが、法学部と理学部物理学科で迷った経験があります。
〇最終的に進学先の学部学科に決めた理由はなんですか?
法学部と理学部物理学科について、1つずつ順番にお話ししていきます。
まずは法学部。実際に進んだのが物理系なので、似ても似つかない学部ですが(笑)、実は入学当初は、将来検察官になりたいと思っていました。高校の勉強としては理系が得意だったので、まず理系で東大に入って、進学選択で文転しようと思っていたわけです。ところが入学して初めに取った「日本国憲法」の授業が、どうにも自分に合いませんでした。やっぱり理系の勉強の方が楽しいと思ったんです。そこで、検察官になる夢はあきらめました。同時に、法学部への道も断念です。
理系、それも、大好きな物理の道に進もうと決めた僕が次に迷ったのは、理学部物理学科。というのも、東大で物理を専門にするなら、工学部物理工学科か理学部物理学科のどちらかに進むのが一般的だからです。そこで決め手になったのが、教員免許の取りやすさでした。検察官をあきらめ、次に僕は、高校の数学教員になりたいと思うようになっていました。高校生の時に素晴らしい先生方との出会いに恵まれたおかげで今の自分があると思っていて、自分もそんな大人になりたいと考えていたわけです。ところが教員免許の取得には、それに応じた単位を取らなければなりません。そこで、より少ない労力でその単位を取れるのはどちらの学科か、つまり、学科の標準カリキュラムを履修していればそれが免許の単位要件を自動的に満たしやすいのはどちらなのか、ということを考えて、今の進学先にしました。これには学科のカリキュラムを徹底的に調べました。
調べ方ですが、僕は駒場キャンパスの進学情報センター( http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/agc/ )を利用していて、ここはおすすめです。学部の便覧が置いてあるので、カリキュラムに関して、実際に進学した場合と同じ情報量を得ることができます。便覧を読めるだけではなく、職員の方に相談に乗っていただくことなどもできるようです。以前ピアサポで進学情報センターにインタビューに伺っているので、その時の情報
( https://ut-psr.net/counselingguide/academicguidance/ )も合わせてご覧になって、ピンときたらぜひ一度足を運んでみてください。
〇進学選択を意識して、1・2年生の時にどのような過ごし方をしていましたか?
上でお話しした通り、入学当初から、進学選択でどこに行こうかと常に意識はしていました。それに加えて「過ごし方」という観点でお話しすると、勉強を頑張りました。その理由は2つあって、(1)成績のため、(2)進学後のため、です。これも1つずつお話ししていきます。
まずは、成績のためという話。最終的にどこに行きたくなるかわからないので、とにかく点数は取っておこうという考えで、勉強に励んでいました。もう少し具体的に言うと、第二外国語や、少し触れてみたくて取った総合科目(文学や経済学なども)といった自分の専門外の科目も、手を抜かずに高得点を狙いにいっていました。
次に、進学後のためという話。先ほど「最終的にどこに行きたくなるかわからないので~」とは言ったものの、十中八九、理系に進むだろうなとは思っていました。なので進学後に多用するであろう、数学と理科の勉強には特に力を入れました。実際、進学後に駒場の知識は相当役立っています。あのときの自分、えらい!(笑)
〇実際に進学してみて、「進学前に抱いていたイメージと違った」といったようなことはありましたか?
僕は今修士課程(物理工学専攻)にいて、「物理工学科生活」は一通り終了した身です。ですので、物理工学科の全課程を振り返ったうえでのお話しをしますね。
まず端的にお答えしますと、「イメージと違った」という経験はほぼなかった、けれども一部であった、といったところです。
「イメージと違わなかった」点からお話ししますと、僕は物理工学科のカリキュラムを丁寧めに調べていたので、授業に関しては、ほとんど当初描いていたイメージ通りのものでした。忙しさも想像通りでしたね。
一方で「イメージと違った」経験ですが、これは、卒論のテーマ決めの時に訪れました。「あれ、魅力的な研究テーマ(=所属したい研究室)がない!」という状況になってしまったんです。
卒論のテーマと聞いてもピンとこない方も多いと思うので、先にその点について補足しておきますね。卒論を書く、つまり卒業研究をする際には、ある先生の研究室に所属してその先生の専門分野の研究をします。たとえば物理工学科には、無機物質や有機物質の専門家がそれぞれいたり、量子コンピュータの専門家がいたりして、その中から所属したい研究室を選んで、つまり師事したい先生を決めて、そこで研究をするわけです。なので、100%自分が好きな研究ができるというわけではありません。あくまでその学科に所属している先生の分野(物理工学科で言えば、物質や量子コンピュータ)から選んで、研究テーマを決めます。
さて僕の話に戻りますが、物理工学科の先生の大半は、物質の専門家です。でも僕は、「物質の研究はやりたいことではないなぁ」と感じてしまいました。「物理を基礎から学べる」という授業カリキュラムに惹かれて進学したのはいいものの、物質の研究をしたいわけではなかったんです。ここが、イメージと違ったというか、予期していないズレポイントでした。
結果的にはその後、物質ではなく量子コンピュータの先生と出会い、「これがやりたい!」と思って無事そこに所属できました。ですがその先生の存在を知るまでは、どうしよう...とけっこう悩みましたね。
ここから教訓を得るとすれば、「ミスマッチを減らすには、授業だけでなく卒業研究のことまで調べた方が良い」といったところでしょうか。具体的な研究テーマまで調べるのは大変だと思うので、「その学科の先生はどんなことを専門にしているのか」だけでも見てみるのをおすすめします。その情報から研究の方向性は見えてきます。自分がそれをやりたいと思えるかどうかをチェックすることで、僕のように悩まなくて済む確率が高まると思います。
〇最後に後輩へのメッセージをお願いします。
進学選択で大事なのは、自分がワクワクするかという判断軸だと思います。ぜひワクワクする進学先を見つけてください。見つかっていないなら、いろいろな総合科目を取ってみる、先輩に話(学科の魅力など)を聞いてみる、といった手段で、豊富な選択肢を手に入れるといいと思います。知らないものに魅かれることはできません。
そして、ワクワクするかどうかというのは、その理由を人に説明できなくてもいいものだと思っています。「将来こういう夢があるから」とか、「今まで学んできたことを生かせるから」といった大層な理由はなくていいです。あくまで直感的に、自分がどう感じるかです。今までまったく興味を持たなかった進学先になぜか魅かれる、そして実際に進学してみたら、そこで一生の友人に巡り会った。こういうパターンだってあり得るわけです。
けれども、この選び方が正解だと言うつもりは、もちろんありません。この話を受けたうえで、自分なりの納得できる選択をしてほしいと思っています。
みなさんとこうして文章という形で交流できて、とってもうれしく思います。顔は見えませんが、みなさんの進学選択を心から応援しています。
〇執筆日
2022年8月24日
東京大学ピアサポートルーム
ウェブポリシー https://ut-psr.net/regulations/
WEB https://ut-psr.net/
ぴあサポメルマガ https://ut-psr.net/mail-magazine/
Twitter @utpsr
柏キャンパスTwitter @utpsr_kashiwa
駒場キャンパスTwitter @utpsr_komaba
Instagram @ut_psr
note https://note.com/utpsr