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ぴあサポマガジンVol.1 後悔しない、大学でのコミュニティ選びの極意

 今回は、「コミュニティの選び方」についての記事です。クラスやサークル、ゼミ・研究室、アルバイトといったコミュニティは日常生活の快適さを左右するだけでなく、価値観にも大きな影響を与えます。
本稿では、ピアサポート活動に取り組んでいる筆者の考えを、自らの体験をもとにご紹介します。

1.コミュニティ選びの目標

 大学生活は自由度が高く、これまでの学校生活よりも格段に自主性が求められます。そんな大学生活においては、コミュニティを選ぶ機会もこれまでよりも多く存在し、それらは生活の基盤として深く関わり続けるようになっていきます。
 人それぞれコミュニティに求めるものは異なりますが、本記事では共通の目標として、以下の2つを定義します。

  a. なるべく離脱・孤立しないこと
  b. 居続けたいと思えること

 文部科学省が令和4年6月に発表した調査結果によれば、大学中退者の中退理由として「学生生活不適応・就学意欲低下」は全体の2位、15%にも及びます。1位は「転学等」であるため、「新たな目的を見つけた」などの可能性が低いネガティブな中退では事実上1位であると言えます。
 中退まで思い詰める人は割合としては少ないですが、学生生活で自分の居場所を見つけられないというのは非常に重い問題であり、コミュニティ選択はこの部分に大きく関わってきます。

2. コミュニティ選び3つのポイント

①「心地よさ」は大切
 では、これらの目標を達成するためには何を行えば良いのでしょうか? 私は「心地よさ」を追求することだと思います。無理をせず自分らしさを発揮することができ、周りの人々と馬が合う。合わなくても、お互いの違いを認め合って面白がることができる。長い時間関わる間柄だからこそ、力まなくて良いことが肝要です。
 かくいう私も、かつて力んで無理をし、痛い目を見ました。高校生のころ、内向的で鬱屈したそれまでの自分よりも外向的に振る舞い、所謂「高校デビュー」と呼ばれるような形で校外にまで交友関係を広げました。そして自分とはノリも考え方も合わないのに、「イケている人たち」と関われることが嬉しくなってしまい、そのコミュニティにしがみついてしまったのです。しかし「高校デビュー」以前との違いから、周りからは白い目で見られました。新たなコミュニティとの関係も、無理をして広げた関係だったので長くは続きませんでした。実際、当時できた知人の中で今でも連絡を取っている人は1人もいません。
 コミュニティは短期的には大学での居場所ですが、大学卒業後も含めた長期的な友人ができる場でもあります。自分が心地よいと感じられることで初めて、物事に熱中できたり、その先の関係構築に繋がったりするのではないでしょうか。

②どのような関係性を築きたいか?
 「心地よさ」が人によって異なることもまた事実です。例えば、仲間と切磋琢磨したいのか、緩やかに楽しみたいのか、ということは、他者との人間関係に大きな影響を及ぼします。緩やかに楽しく関わりたかったのに、周りの人が競争したい人ばかりだったら、心地よいとはとても思えないでしょう。部活とサークル、などという大きな括りだけでなく、部活ごと、サークルごとの雰囲気を見極める必要があるといえます。

③辞める判断は大切。でも、他の選択肢も持っておこう
 入る前と入った後で集団の見え方が大きく変わることは、往々にしてあります。そうした状況に陥った際に無理をしてしまう人は多いのではないでしょうか。多少の無理をしてでも居たいと思えるコミュニティを見つけられたこと自体は良いことだとは思いますが、知らず知らずのうちに無理をしすぎていないか、ということにも気を配りましょう。
 無理をしすぎている場合にはコミュニティから抜ける判断も大切ですが、辞めるにはエネルギーが必要です。その一方、辞めないで無理をしていると、積もり積もって辞めるよりもエネルギーを使ってしまうことすらあります。辞める判断も時には、今後の自分を守るためにも必要なことなのです。
しかし、ただ辞めるだけでは孤立に繋がってしまう可能性があります。その前に、自分が属することのできそうな他のコミュニティを見つけておきましょう。例えばサークルや部活動では、新歓にたくさん参加しておくことが有効です。「ここを辞めたら居場所がない」という状況を避ければ、余裕を持って心地よいコミュニティ探しができるはずです。

3. 「成長」って何なんだ

 筆者は現在就職活動をしているということもあり、「成長」という言葉を耳にすることが増えてきました。コミュニティ選びにおいて「ビジネスマンとして成長したいから、この会社がいい」「優秀になるために、成長できるサークル・学生団体に入りたい」という指向性は、これまで努力を重ねてきた東京大学の学生の間でも少なからず見受けられます。
 こうした人々と接する中で「自分にとって成長とは何か」という根本的部分に疑問をもつようになりました。確かに、特定のコミュニティに入ることはスキルやマインドセットの習得につながるかもしれません。ただ、「どう成長して、何になりたいのか」という視点なく、短期的な成長の実感のみを盲目的に追い求めると、気づかないうちにいわば「怪物」に向かって成長してしまっているかもしれません。せっかく成長したいという野心があるのであれば、それをどこに向けたいのかまで考えると、結果的には成長しきった後の心地よさに繋がるように思えます。

4.振り返って「良かったな」と思える大学生活のために

 コミュニティ選びは、今後も人生のあらゆる場面で起こり、生き方に深く関わってきます。
 もしかしたら、私の選び方もまたどこかで大きく変わるかもしれません。しかし、少なくとも大学生活については、私は自分のコミュニティ選びを全く後悔していません。
 流されるだけではなく自分の意思で、納得感を持ってコミュニティを選ぶことで、後悔のない選択ができるのではないでしょうか。
この記事が皆様の選択の一助となれば幸いです。

【参考書籍・WEBサイト】
文部科学省「大学等における令和4年度前期の授業の実施方針等に関する調査及び学生の修学状況(中退・休学)等に関する調査の結果について(周知)」
​​https://www.mext.go.jp/content/20220603-mxt_kouhou01-000004520_03.pdf

【筆者紹介】
・農学生命科学研究科 修士2年、情報学環教育部 研究生
 修士論文の足音が聞こえてきて、恐れ慄いています。

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