ししゅう

縫い付けられた糸だけはいずれ解れてどっかにいくクセに、穴は残る。目立たないほど細かくても穴は穴だ。その空を庇うために適当に大きな別の布を持ってきて、縫い付ける。そのために穴が空く。しかしこれでよかった。今ここに張られた布は確か、このためにあつらえたのだ。このために切り取ったのだ。今も大きな穴はあっても、あるままで、触れて、見て、思い出せるように、でも寒くないように、した。(いつか漂ってしまうかもしれない悪臭が不安)

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