うとQ世話し 高等戦略

2020/9/30
(うとQ世話し 高等戦略 )
「譲歩」「譲渡」をする。その前、
というより「せざるを得なくなる」前に、こちらから先んじて「譲る」のが戦略的に見て、最も高度な技である場合があります。
昔ある代議士先生が
「二番じゃいけないの?二番手だって、いいんじゃないですか?」
と言ったことがありましたが、それとは全く意味を異にします。
まず、一番を取れる実力は必ず獲得する。
そのうえで、一番である実力をそのまま行使するか、敢えて一歩下がって二番手につき、一番も二番も、どちらでも取りえる選択肢を保有温存するか。
つまり、敢えて先方を先に立たせて、背後からその出方を観察しうるポジションに立ち、普段は相手を風よけ代わりにし、いざという時は脱兎のごとく一番を取り得るというカード(切り札)を二枚持つ「より高度なポジションの獲得」の事です。
これは本当に二番手の実力しかなければ、絶対に取りえない高等戦略です。
しかも対外的には「寛大にして謙虚」という大義名分も立ちます。
我が国の街中や交通機関で昔よく見かけた
「どうそ、どうぞ。そちらこそどうぞお先に」
と続く「果てしない譲り合い」の光景は、実はわが国固有であり古から伝わる、この高等戦略の庶民レベルでの発露だったのかもしれません。
「相手を立てる」
「急がば回れ」
も、この高等戦略の別の表現。
そう考えると一本「筋が通る」気がいたします。
しかし悲しいかな、この高等戦略を我が国初め、世界の為政者達も忘れてしまい、我勝ちに露骨な先頭ポジション取りに明け暮れているようです。
戦略的には、かなり稚拙なような気が致します。
「お子ちゃまレベル」
と言ったら相当叱られる気も致しますが、昔を知るじじぃの自分の正直な感想でございます。

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