うとQ世話し 苦手

2021/2/14
(うとQ世話し 苦手)
(以下、当時の言葉をそのまま使っているだけで、特に差別の積もりはございません)
平成の初めの頃のお話です。
大企業在籍で、高等教育迄受けているのに車の免許がなかったので
「平成のいざり」と言われ
当時導入初期のパソコンも「天敵」状態で
「平成の文盲」「デジタル難民」更には部下から「パソコンが全然似合わん」と迄囁かれる始末で、いい加減ノイローゼ気味になっておりましたが、暫くして、その無能ぶりから今で言う上司のパワハラに遭い、とうとううつ病を発症。
親会社では「役に立たたん」と子会社に転籍させられました。
が、行ったその先で、全く畑違いの営業の仕事で客先に赴き、見積書を提出した処、自分より遙かに若い女性担当者から
「あんた、資本主義の一から勉強して来」
と公衆の面前で罵倒され、見積書を粉々に引き裂かれた末、ドサ廻り大衆演劇の紙吹雪の如く、見積書が客先フロアに天高く舞うのに接し、
「こんな姿を妻子に見られたら」
と思うと「消えてしまいたい」「死んでしまいたい」気分になりました。
それが子会社の新上司の知る処となり、結果、外回りからは外され、仕事も与えられず、やる事無しで一日中「パソコンで仕事をしている振り」の「暇過ぎ無限生き地獄」を味合わされました。
当然帰宅しても、元気のある訳がなく、自棄酒を飲むと奥さんから顰蹙を買いそうなので、仕方なく煙草ばかりをパカパカ吹かしていると、奥さんばかりか子供にまで嫌われ、会社に行くも地獄、家に帰るも地獄状態となっておりましたが、その地獄より、先に申し上げました「暇過ぎ無間地獄」の苦しさの方が結果的に他を圧し、
「どうせ時間が腐る程あるなら、一層一から分らない事を全て自分なり解る迄考え直してみようか?」と半ばや自棄気味に思い立ちました。
「どうせ直ぐになんか解りっこないから、時間潰しにはもってこいだし。解れば御の字。解らなくても暇よりはマシ」
と始めた訳ですが、案に違い、之が暫くする内に一進一退ながらも、解き方のバリエーションが拡がり、いつしか夢中になっておりました。
そうして、ほぼ偶然からだったのですが、最初の「解らない事」が自分なりに解けたのが、始めてから約半年後の事。
その時の喜びたるや。
「出来た。自分にも。自分のような者にも時間をかけて諦めさえしなければ、半分は偶然の他力本願だが、それでも曲がりなりにも出来るのだ」
と驚いた次第。
その時思ったのは、得意な事でうまくいく喜びよりも
「苦手を克服した時の喜びの方が遙かにデカい」
と言う事でした。
得意な事でうまくいくだけだと、それ以外の方法を得られないので、苦手に対する認識も遭遇時の対処法も得られませんが、苦手を克服すると「鼻から捨てていた選択肢」を思いがけず拾う事になるので「お得感」と共に「避けていた地雷原の範囲」が狭まり世界がグググッと拡がって「自由往来度、劇的up」の感がございました。
では又。

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