スパコン導入の舞台裏
nodesのひろがり
スパコン導入の舞台裏
「富岳」による新型コロナウイルス感染症関連のシミュレーション動画をご覧になった方も多いと思います。最近、スパコンについて報道される機会が増えました。しかし、スパコンがどのように導入されるかはご存知でしょうか。
東京大学でスパコンを導入する場合は、公的機関を対象とする政府調達の手順(仕様書作成→公告・入札→開札・納入)に従います※1。仕様書には導入が必要な背景、ハードウェアなどの技術的要件、保守など性能・機能以外の要件などを詳細に記します。その際、実現不可能な仕様になってはいけないので、念入りに市場調査を行い、納入時期に入手可能な機器とその価格を想定します。さらに、パンデミックによる物流への影響や世界的な半導体不足などの世界情勢にもアンテナを張り、調達への影響を考慮します。
無事に落札者が決まれば、サービス提供に向けて詳細な仕様を決めていきます。規模などにもよりますが、開札から納入までは約5ヵ月、仕様書作成開始からは約2年を要し、構想期間も含めるとさらに長くなります。
動き出せばさまざまな分野で活用されるスパコンですが、その裏では運用はもちろん導入にも多くの労力が投じられているのです。
※1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chotatsu/pdf/r2_siryou2.pdf
中張遼太郎/東京大学工学系研究科修士課程修了、修士(工学)。学士課程では麻雀のコンピュータプレイヤー、修士課程では電気的筋肉刺激が重量知覚に及ぼす影響の研究に従事。大学院修了後、SIer企業を経て2017年10月より現職。
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