![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50359388/rectangle_large_type_2_fe6ecc57993ee75620952054fb1fdee1.jpeg?width=800)
【起業家のオフショット】ソナス株式会社CEO・大原壮太郎さん
東大IPCのnoteでは、現代のベンチャー経営者のさまざまな側面を知っていただくために、「起業家のオフショット」と題して、CEOご本人とのふとした会話の一コマをお届けしております。
第2回はソナス株式会社の大原壮太郎さん。東大からソニーを経て起業された大原さんの、ポートレート撮影でのカメラマンさんとの会話の一部をお届けします。
「電波が見えたらいいのに」
―― ご専門は?
「無線です」
―― へぇ。ちょうどさっきも、Wi-Fiの電波を見えるように撮った写真があるっていう話をしていたんですよ。2015年頃のイギリスのアート作品なんだけれども(Luis Hernan氏によるDigital Etherealというプロジェクト)。
「ああ。電波が見えたらいいなあ、って本当に思いますよ。やっぱりいざ現場行ったらわかんないんですよね。どこに何が飛んでいるのかって。NECや富士通などの大手さんもずっとやっていると思います。電波を見たいっていうのは、長年の課題ですよ。工場にいろんな機器を持っていくんですけど、現場で混信しちゃうんですよね」
―― そうか、電波暗室でできるわけじゃないですもんね。
「例えば僕らの使ってる周波数帯って、電子レンジと同じなんです。リモートワークしていて電子レンジを奥さんが使うと、Wi-Fiが切れちゃう。だからWi-Fiの基地局をレンジから離しておくとか、そういう工夫しないといけない。そういうのもシミュレータで可視化できれば、あらかじめ分けておけるんですよね」
目的にとらわれすぎず、技術の芽を摘まないように
―― 以前は何を?
「もともとソニーで、厚木に行って半導体やってたんですよ」
―― 最近のソニー、いいですよね。
「そうですね。平井さん(平井一夫氏、元ソニーCEO/会長)といまの社長の吉田さん(吉田憲一郎氏、現ソニーCEO)が、ソニーのダメなところはこうで、強みはこうでって整理してくれて、社員がちょっとずつやる気が出て、選択と集中が進んで、っていう時期に僕は在社していたんですよね。その結果、ソニーのイメージセンサーなんかは……」
―― ああ、ソニーのカメラすごいですよね。いま、国内メーカーってキヤノン以外は、ニコンやオリンパスなどほとんどがソニーのセンサーを使っていますもんね。
「そうなんですよ。あと、社名をソニーグループに変えたんだけれど、グループ企業の一つとして『ソニー株式会社』という看板は残して、それをエレキ(電化製品)にあてたんですよね。そうやって、ずっとエレキをやってきた人たちのプライドを守って。そういうのもいいですよね」
「なんか面白いよね」をビジネスにつなげる
―― 平井さんや吉田さんと一緒に仕事したかった、という思いはあります?
「あります、あります。それはもちろんありますよ。
平井さんってちゃんと現場に技術を見にきてくれる人で。その上で的を射た質問してくれるんです。技術者はそこまでは意識できていなかった、でもそこがクリアできないとビジネスにはできないっていうポイントをちゃんと突いて質問してくれる。ありがたいですよね。
あとは『何に役に立つんだ』っていうのはさておいて、面白いから研究する、という芽を摘まないでいてくれた。
例えばフレームレート1000fpsっていう映像を撮る技術があるんですよ。まぁ、動画では30fpsとか60fpsが普通ですよね。だけどソニーにはそういう動画をやってる部署があって、技術的に実現してみたら、あとからスロー再生ができたり、人間の目にはわからない違いを検出できたりということで、精確な時刻合わせに使えたり、スポーツの世界で活かせたり。
そういう『何に使えるかはわからないけど、なんか面白いよね』っていう芽を摘まないでいてくれて、最終的にビジネスにつなげるっていう。平井体制にはそういう良さがあったと思います」
会社の成長とともに、組織づくりの難しさを感じながら
―― 会社、何人くらいでされてるんですか?
「いま、24人です。僕ら、東大IPCの起業支援プログラムの第1期生なんですよ。今日の撮影の中ではわりと大所帯のほうなんじゃないかな。数人でやってるときはお互いをよく知っていても、メンバーが15人くらいになった段階から全員のことは把握できなくなってきちゃって。意識して権限移譲していかないといけないんだけど、僕も細かいんで気になっちゃったり。むずかしいですね。
常に一緒にやっているわけじゃないから、トップメッセージにわかりやすさが必要だなと思うんですけど、それはある程度は抽象的にする必要があって、でも抽象的過ぎてもダメで。いろいろと模索しています。つらいことですけど、やっぱり退職者は出てしまいますし」
―― それは組織としてはしょうがないことですよ。
「最初の退職者が出たときは本当にこたえましたね。何が悪かったんだろう、自分はどうするのがベストだったのか、と自問して。その後は、メンバー同士がもっと互いのことがわかるようにと情報発信し合うしくみをつくってみたり……。まだまだこれからですね」
―― お忙しいでしょう。何かスポーツなど息抜きは?
「カラダを動かすことくらいしか趣味がなくって(笑)、フットサルとかテニスとかするんですけど、スポーツもなかなかコロナでできなくなっちゃって。それで2度目の緊急事態宣言のときにランニングにハマりました。走るのは自分との戦いなので、いいですね。本当はゴルフが好きなんですよ。でも最後に行ったのはもう2年前かな」
―― ちょっとゴルフの素振りお願いします。
「えっ。こうかな。ああ、もうフォーム忘れちゃってる、ショックだなぁ(苦笑)。お酒が好きなんで、ゴルフは飲みながらできるからいいですよね。車の運転は人にお願いして。後半に行くほどスコアはガタガタになるんですけど、みんなでワイワイと、楽しいですよね(笑)」
▼古巣のソニー愛が強くて、お酒とスポーツが大好きで、組織づくりに心を砕く大原さんの会社はこちらです。
会社名
ソナス株式会社(英:Sonas, Inc.)
設立
2015年11月
代表取締役
大原壮太郎
本社
東京都文京区本郷5-24-2 グレースイマスビル6F
事業内容
センシングに関するハードウェア、ソフトウェア、サービスの企画、設計、製造、販売
▼起業家を支援する東大IPCのプログラム「ファーストラウンド」の詳細はこちらから!
東大IPC 1stRound -第5回 起業支援プログラム-
第5回目の起業支援プログラムについて、ただいま応募受付中です。
まずはお問い合わせや応募のご相談だけでもお気軽にどうぞ! 研究と事業化の両立を考えているお知り合いがいらっしゃったら、ぜひお知らせ差し上げてください。
応募締め切り: 2021年5月31日(月)
年に2回の公募を行なっております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?