【対談】UTFR×polaris

はじめに

本記事は新歓の一環として、教育系の活動に興味を持つ新入生の皆さんが自分のやりたいことに合った教育団体で活動できるように、そして東大内の様々な教育団体が互いについて知るきっかけとなるように、という思いを込めて行われた対談記事です。ぜひ、それぞれの活動内容や理念を比べつつ東大で教育活動に携わる人の思いを感じ取っていただけたらと思います。

スピーカー紹介

古賀 UTFR所属。理科一類2年。福岡出身。
五ノ井 UTFR所属。理科二類2年。新潟出身。
小林 polaris代表。法学部3年。愛知出身。
平山 polaris副代表。理科一類2年。大阪出身。


団体について

古:お互いの団体の活動とかの話をしましょうか。まず、UTFR側から。 UTFRはまず全員メンバーが非進学校出身者で、東大に一人しか行っていない母校からきている人たちのサークルで、主に二つの側面があります。一つが東大の中で縦とか横とかのつながりがない状態で入学してきた非進学校の人たちのコミュニティになるという側面。もう一つが、私たちと同じような境遇の地方の高校生に対してアプローチして、どんなところからでも東大を目指せるような環境を作っていこうという教育活動的な側面があります。コミュニティとしては、進学校の人のように最初から知り合いがいたり先輩がいたりということがあまりないので、テストの過去問共有とか進振りとか情報面で助け合ってます。あとは学内で過ごしやすい環境を作るということを目的に集まったりしながら、第二の母校のようなものにしようっていうこともしてます。教育活動としては、石垣島とか高知とかと提携したりしながら、地方の孤独に東大を目指している人たちに対して教育活動を行なっています。具体的には、実際に年に何回か石垣と高知を訪れたりしながら、高校生との関わりを持っています。

小:ありがとうございます。なるほど、なんとなく聞いたことはあったんですけど、私も地方の公立高校で、別にすごい進学校なわけではないんですよね。あと、お聞きしていて、polarisとの共通点とかもありそうだなって思いました。

古:そうですね。polarisのことお聞きしていいですか。

小:はい。団体活動として一番は、活動理念から話しておくと、女子高校生向けに東大のことを知ってもらって、東大の女子比率を増やそうっていう、これが根底にあって活動しています。女子が2割で、そこから増えないのなんでだろうって考えた時に、そもそも女子高校生が東大を知らないから諦めてしまうんではないかなと。女子高校生側の情報格差を一つ問題意識として持っていて、実際にイベントを開催して、東大って雲の上の存在じゃないんだよっていうのを伝えていく活動をしているサークル、って感じです。

古:ありがとうございます。私は東大に入ってみて、女子校育ちなんで、本当に女子がいないなって思います。だから、結構格差ってあるんだろうなって、東大に入ると肌で感じますね。

小:感じますよね。そうか、女子校から。私、出身高校公立で共学なんですけど、大体(男:女が)6割5分と3割5分くらいだったので、中学、高校、大学、と少しずつ女子が減っていくみたいな環境だったんですけど、やっぱり東大は2割は流石に少ないかなーって思います。だから、本当に高校生になんかできないかなーってことで活動している感じになりますね。

五:イベントってどんなことされているんですか?

平:そうですね、イベントとしては、まずメインなのは女子高校生向けのツアーです。以前は対面で実際に本郷キャンパスに来てもらってやっていたんですけど、今コロナ禍なのでオンラインでやっています。目的は女子高校生に東大についていろいろ知ってもらうことで、実際の大学生活の様子を紹介したり、高校の時に受験勉強でどんなことしていたかっていうのを話したりします。あとはフリートークで実際に高校生と東大生少人数のグループに分けてなんでも質問してもらったりっていうのを、定期的に開催しています。オンラインツアーの他にも、実際に関東近郊の高校に行ってやってるツアーもあります。それも内容は同じなんですけど、そこそこ進学校だけどあまり東大に来ていない女子校を狙い目にしてやっています。他には5月祭や駒場祭だと、polarisカフェとかですかね?

小:そうですね、名前がカフェだったと思います。

平:で、東大生になんでも質問できるっていうのをやってたり、あとはSNSで情報発信とかもしてますね。そんな感じです。

五:ありがとうございます。

活動で大事にしていること

古:polarisにしてもUTFRにしても東大の中で少ないところ、マイノリティのところを増やしていこうっていう意味では活動が似ているなと思うので、その辺りで情報交換じゃないけど、気をつけていることとか、活動でどういうこと大事にしていきたいよねとかっていうことの話ができたらなって思うんですけど。

小:活動理念とか、やっていることの性質とかは本当に似ていると思うので….。気をつけていること、さっきも言ったんですけど、今受験を終えた身じゃないですか。女子で、うちのサークルは別に男子もいますけど、ただ女子高校生に本当に東大受けてほしいと思っているし、っていう思いだとか。あらかじめ相手が私のこと東大生だってわかっている上で言っているので、東大生だからこそ本当に東大きてよかったよっていう、女子高校生だからって諦める必要はないよみたいなこと、私が東大にいるからこそ伝えられる価値みたいなものがあるかな。そう言う意味でこのサークル入ってよかったと思うし。せっかく自分が運良く受かれたんだったら、そういうこと活かして活動したいなと思っています。活動理念とも被るんですけど、東大は全然雲の上ではなくて、正しい努力をしていけば到達可能なんですよって言うことをどの高校生に対しても伝えられるようにはしているつもりです。微妙ですね笑 回答に半分くらいしかなってなかったと思うんですけど笑 平山さんとかどうですか?

平:本当に東大を身近に感じてもらいたいっていう点で、ツアーとかで直接高校生に関わる時にガチプロ感出ないようにっていうのは気をつけてますね。自分でも行けるって思ってもらわないといけないから、勉強に関係ない話とかでも繋がれるようにしてみたり。まだ具体的なことはしていないんですけど、実際に女子高校生が東大を目指そうってなってくれたとしても、そのあと実際の手段が整ってなかったりとか、周りに同じような仲間がいなくて浮いてしまって凹んでしまうっていうのがあって。それが女子の進学を阻んでいるんじゃないかなって思うので、そういう面での支援も今後していけたらいいなってのは思っています。今の活動内容ではないんですけど、女子高校生同士のコミュニティをしっかり作っていけたらなって思っています。

古:現実的な支援っていう話はあるといいなっていうのを私も実体験として思ってきました。精神的な側面でも受けるとなった時に周りに言えない。「わたしが受けていいのかな」大学生の話を聞いてその瞬間は受けようと思っても、そのあと周りに実例がないとなった時に、本当に受けれるのかな、受けていいのかなというふうに思っちゃって。だんだん受けるところから、学年が上がるにつれて遠ざかってしまったりとかあると思うので、そういったコミュニティみたいなものを高校生に提供したいなというのもわかります。実際的な支援も、実際に自分は母校から5年ぶりだったんですけど、受けたいという意思があっても学校の環境的にそこには学習面で対応がそこまでできていなかったりするので、そういう支援っていうのも考えていけないかなっていうのはずっと思っています。難しいところではありますが。

平:どこまで無償で支援できるかっていうのもありますよね。

小:私の高校は20人くらい東大に出る、非進学校ではない高校です。でも、私の代とかは48人とか東大受けてて。東大に受からせるだけの授業をしているかというと、全然していないっていうのが現状だと思うので、イベントに参加した時に東大が身近になったとしてもそれが続くかどうか、続いて受験するかどうかって全然別次元の話だと思うので、そこに対しての話はpolarisは弱いサークルだと感じますね。

五:継続的な支援ていうのは大事ですよね。私が高校生の時に、UTFRがコロナで学習環境に困っている高校生のために、オンライン自習室っていうのを開いていたんですよ。私はそれにたまたま参加していて、コロナで学校行けなくなって結構乱れた生活してたんですけど、午前中の3時間だけとかで開かれていて、午前中頑張れたら午後も頑張れるっていうのもあって個人的にはすごい助かっていました。夏とかで自習室は終わったんですけど、その後もdiscordでコミュニティは継続してくれていて。科類の出し方とか、私は最初理科一類を目指していて、結局二類に出したんですけど、相談した時もすごく丁寧に聞いてもらえました。私は全然情報を持っていなかったので、実際に東大にいる人からアドバイスもらえたのはすごく参考になりました。最終的に理科二類を選んだけど、そのことに関しては後悔していないし、むしろ理一じゃなくて理二にしてよかったなと思っているし、やっぱコミュニティの存在は大事だと思います。

古:そうやって同じように受ける人と繋がれるってすごい大事なことで、UTFRの人たちにはそれがないから、そういう環境から入ってきた人たちが自分達が欲しかったものを提供していけると一番いいんじゃないかっていうのはすごく思います。

サークルに入った動機

五:小林さんは比較的東大行く人がいる高校の出身だっておっしゃっていたじゃないですか、どうしてpolarisに入ったんですか?

小:そうですね。もともと名古屋大学の志望で、3月から変えたんですよ東大に。東大生になった自分が想像できなかったというか、自分には東大は無理だろうって思い込んでいて、親から県外いいって言われていたとしても自分で目指していなかった気がしていて。でも、東大に入って本当にいい場所だと思っているので、ちゃんと東大の良さみたいなのを伝えたらもっと目指す人増えるんじゃないかなって。女子に限らず、東大って本当にいい場所だからたくさんの高校生に目指してほしいなっていうのがひとつ。あと、入って本当に女子が少ないって、地元が完全に実力主義で。さっきも言いましたけど、6.5:3.5くらいの割合でそれでも女子少なくて、でも実力で取ったらそれくらいになるはずで。やっぱり「女子だから東大を受けない層」っているはずで、そういう層も東大を目指さない層と同じで、ちゃんと東大について知らないから避けているみたいなのがあって、それ変えるならpolarisかなって。似たサークルに地方の高校に行くみたいなのあると思うんですけど、Fairwindみたいな。そこと迷ったんですけど、自分が本当に問題意識を持っているのは何かなって考えたら地方っていうより女子というか。入ってから女子が少ないというのは4人とも身に染みて感じるところだと思うので、自分が女子の方をより強く問題意識を持つなら女子高校生にアプローチする団体の方がいいかなと。
結論としては、自分が東大について知らなかったから目指そうとしなかったという過去があって、多分現時点でもわたしと同じような人がいるというのが現状で。だからこそ直接アプローチする団体に入りたいってなって、地方か女子かって考えた時に、今東大過ごす中で問題意識を持つのが女子だったからpolarisに入った、ってそんな感じですかね。

五:ありがとうございます。

古:それは平山さんにも聞いてみたい。

平:polarisに入った理由は、私の母校っていうのが生徒の取り方が特殊で、初めから女子と男子のとる比率が決まっているんです。男子4で女子1なんですね。初めから少なくて、中1、2の頃って男女別学で、男子クラス女子クラスなんですけど、中3の頃に男女混ざるんですね。で、50人クラスに女子8人とかで、本当に今の東大と変わらない感じになるんですね。そうやって混ざった時に、そもそも女子であることと、少数派であることから生きづらさをめっちゃ感じて。まず変に気を使われるんですよ。先生も男子だったら注意されることを女子だったら注意されないとか。怒られるべきことを怒られていない気がして不満だったっていうのとか、クラスの中で口に出しては言わないけど、男子は数学が得意で女子は英語が得意みたいなそういう雰囲気が流れてた。男子はあんまり勉強しなくてもその場のノリとかもともと持ってるもので乗り切れるけど、女子は頑張ってコツコツ勉強して積み上げていく、みんなそういう感じだ、っていう雰囲気と。みんなの中にバイアスがあるな、みんなそれに従って行動しているなって男女クラス混ざった時に感じて、それがすごい嫌で。その雰囲気の記憶を残したまま東大に入って、また女子が2割だってなって、女子が少ないことやそれゆえの生きづらさと女子であることの偏見と、それをなんとかしたいっていうのがあって、それにはトップに立つ女性を多くすることだなっていうのもあったし、学生生活で女子が少ないことで同じように生きづらく感じるだろうっていうのもあって。それを自分の手で、変える活動に加わりたいってなって、サークルの紹介を見ていた時に、女子高校生の東大進学支援っていうのがあったので、もう迷わず選んだって感じですね。
まとめると、いま私の母校だけじゃなくて社会全体に漂っている雰囲気だと思うんですけど、そもそもそういう男性だから女性だからっていう不文律みたいなのを変えていきたいっていう思いがあったのと、女子が少数派だからっていう理由で特別に被る不利益をなんとかしたかったっていうのを元から感じていたので入りました。

小:女子だからね笑、変な気の使われ方、居心地が悪いっていうのは、わたしも高校3.5割で、3.5割でも全然2割とかじゃないですけど感じてました。少数派だからいじめられるとかそういう方向に全く行かずに逆に変に大切に扱われるみたいな居心地の悪さはやっぱりあるかなっていうのはありますね。

平:UTFRに入った理由っていうのは、お聞かせ願えますか?

古:わたしはタテカン見ておんなじような人たちがいるところって面白そうだなって。わたしは入ったの5月くらいなので、その時点で既にある程度クラスとかのコミュニティもあったし、入ってからの孤独感みたいなのはそんなになかったんですけど。でも、同じような、あまり進学校じゃないところから来ている人っていうのは珍しいんだなっているのは感じていて。進学校から来る人の方が多いのは感じていたから、そうじゃなくて同じような環境から来た人と集まれるのって楽しそうだなっていうのがまずあって。自分の学生時代とかを考えても、目指せそうな学力とかポテンシャルがあるのに目指そうっていう考えに至っていない人って多いんじゃないかなって感じて。それこそ私は女子校っていうのもあってまず女子だから選択肢に挙がらないっていうのもあるし、周りに行く人がいないから目指せるって言えない空気感っていうのは感じてました。だから、あんまり目指そうとしてない学校、環境の人たちにアプローチして、そういう人たちが目指せるような社会っていうと聞こえが大きいですけど、そういう人が一人でも多く目指せるようにしてほしいって思っていて教育関係の活動にも興味があってその二つの方向で考えて入りました。

五:私の話をすると、わたしは実はみなさんみたいな意識があって入ったわけではないんですよね笑 東大をそもそも目指したきっかけはUTFRではないし。私は姉がいるんですけど、姉が東大に入ったんですね。その時にわたしも目指せるかもしれないと思って目指したのがきっかけなので、UTFRとかは関係なく目指すこと自体は決めました。姉の大学の友達がUTFRに入っていて、その人がオンライン自習室を企画した人だったんですね。姉経由でオンライン自習室を知って参加させてもらって、個人的にすごく助けられた部分もあったので次の世代にもみたいな気持ちも若干ありつつ、高知とか石垣行けたら楽しそうだなって気持ちもありつつ、みたいな感じで、あまりフルコミットするつもりで入ってなかったです。今も実際そんなにしっかりコミットしているわけでもないので、すみません笑。だからコミュニティとしての側面で、シケプリおねだりしたりとか、わからないことの情報源として活用させてもらっているだけなので、他の教育系団体に入ることは考えずに、まあ入ることによるデメリットがほとんどない団体なので、入れるなら入っとけっていうメンタリティで入りました笑

小:なるほど。

平:お姉さんが目指したから目指したっていうのは、身近ロールモデルがいると入ろうってなるんだなっていう実例を間近で見た笑

五:最強のロールモデルですよね笑

小:なるほどなるほど。わたしも高2の2月に親から関東系の大学受けてもいいよって言われたのがきっかけで変えているので、やっぱり周りの人から影響を受けて志望校を変えるっていうのは起こりうることだよなって聞いてて思いました。

古:わたしもなんか、東大って言ったらちょっと引かれるんじゃないかみたいな、東大っていえないってのがすごい高2までありました。でも高3の時に担任が、自分が東大を受けて浪人して東工大行ったっていう先生で、その先生が受けて目指した方がいいってすごく押してくださって、実際に受けようって決められたっていうのがあって。身近な人からの影響も大事だし、身近な人で実際に目指す人が非進の人にしても女子にしても少ないから、きっかけが身近なところから得られにくいっていうのが目指しにくいのにも繋がっているのかなって思うので、私たちの活動を通して目指すきっかけになれたらいいのかなって今すごく思いました。

――感想

小:なかなか個人的には面白かったですね。話しながら整理できたところもあったので。

平:話してて、あっ、て思ったたところ結構あったかなって思います。

小:単純にわたし平山さんのこと知れてよかったなって思ってます笑

平:なんだかんだわたし小林さんと直接会ったことないですよね。

小:そうですね。ない説あります。私が2年生の時ずっと帰省してたっていうのがあって、全然polarisの人たちと会ってないです。去年は会ってたんですけど、東京に住んでたので。会いたいですよね。

古:UTFR側も多分私たち会ったことないですよね。

五:ないないない笑 この前割と最近zoomで初めて顔合わせましたよね。

古:そうそう

五:古賀さんが割と入った時期遅いから、私は初期の頃の対面イベントとかは参加してたので、会田さんとかは会ってたりするんですけど、古賀さんは最近活動している名前でよく見るけど誰だろうとか思ってました笑

平:だから小林さんのイメージがslackのアイコンなんですよね。

小:zoomもそうなんですけど…

・・・雑談は続く。


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