手越祐也さん〜東大Diligent特別講演会〜
東京大学Diligentは、2023年4月に設立されて以来、ビジネスから離島環境保全、国際活動まで幅広い活動を行っている、東大生約500名が所属する現在急成長中の東京大学の学生団体です。今回は、現在アーティストとしてだけではなく実業家としても活躍されている手越祐也さんを先生としてお招きして、ご自身のキャリアや生きる上で重要なスキルについて、東京大学で講義をして頂きました!
己の信ずるところを力を篭めて訴えかけ場を魅了する。そこには、芯を持ってまっすぐ笑顔で進み続ける、まぎれもない「プロの表現者」の姿がありました。
(↑東大Diligentの活動内容はこちらのHPにて!)
半生3つの転機と「魅せる」生き様
子供の頃からテレビで見てきた、スター手越さん。アイドルとしてだけでなくバラエティー界でも逸材ぶりを発揮し、日本中の人々に笑いを届けてきた愛されキャラ。画面越しに見て無邪気に爆笑したあの少年期から時は過ぎ、今日は東大生として、キャリアや人生の先輩としての手越さんから直接お話をお聞きして、隠れていた真摯な側面を知るとともに、その芯の先の光に大いに勇気づけさせて頂きました。その魅力をお伝えするにあたって、まずはお話頂いた半生を「3つの転機」を通してご紹介したいと思います。
第1の転機:事務所入所〜アイドルとして生きる〜
「モーニング娘。」の鉢巻を巻いていた生粋のモーオタだった手越少年は、15歳の時、オーディションを見事勝ち抜き事務所に入所しました。母とその知人の勧めで飛び込んだ世界。自分がアイドルになるという道を自信とワクワクで突き進んだエピソードをお聞きしました。持ち前の圧倒的歌唱力を武器に、とにかく「結果を出す」ことに拘ってきたといいます。「厳しいことを言うと、プロとしてやっていくには、とにかく結果を出さないと意味がない。これは未だに、絶対忘れちゃいけないなと思うことですね。」努力したからいいや、では甘い。経営者としてやって行くにしても、絶対に結果を出す。そこに拘って下さい、と背中を押されました。デビューしてから努力を重ね、その結果熱狂的ファンの下一世を風靡した手越さん。ここで人々を魅了する楽しさに気づいた手越さんは、次なる舞台に勢い良く飛び乗ります。
第2の転機:イッテQに抜擢〜エンターテイナーとして生きる〜
この番組出演では、お茶の間に強烈なスターとしての印象を残したでしょう。飛び乗って転げ落ちたシーンもたくさん見ました。その度に日本中が笑いに包まれたでしょう。アイドルとは思えない程豪快なロケで、愛されキャラを存分に発揮し爆笑を掻っ攫いました。当初19歳のアイドルが一流の芸人の中で面白さで「戦っ」ていかないといけない。持ち前のコミュ力と明るさを解き放ってここでも人気を博し、知名度と活動の幅を広げていきました。「イッテQに出て世界中の国を見たことで、自分の考えを広げることができた。たくさんの場数を踏むことでコミュ力も磨くことができた。」そう振り返る手越さん。アイドル生活と合わせて、幅広い年代の人々を笑顔にし続けていきます。
第3の転機:記者会見と事務所退所〜夢追い人として生きる〜
コロナ禍で先行き不透明になっていた頃でした。事務所からの退所を発表し、記者会見を開かれました。この選択は自分自身で積極的に行った人生最大の決断だったと仰います。「もっと自由に、自分の叶えられていなかった夢を追求していきたい。」そのような前向きな姿勢で会見に臨み、そのポジティブさが伝わったのか、最後には拍手が起きて恒例の「テイッ!」まで求められたと言います。独立してからはソロのアーティスト活動を続ける傍ら、以下のような慈善活動も通して、「人を笑顔に幸せにする」と言う一貫した夢を追求し続けています。
⑴「手越村」という地方創生活動・・・福島県で「手越米」、鹿児島県の指宿で農産物の生産を補助する、農業への情熱を注がれています。
⑵ひとり親世帯への援助・・・手越さん自身がシングルマザー家庭で育ったこともあり、ひとり親世帯援助の「INGプロジェクト」のスペシャルサポーターとしてご活動されてきています。
⑶卒業式での歌披露などのイベント参加・・・持ち前の歌唱力を活かして卒業式にサプライズ登場するなどして「目の前の人を笑顔にする」活動も続けていらっしゃいます。今回の東京大学での講演も、手越さんのご厚意で無償で行なって頂いたことに、奉仕の精神を感じました。ありがとうございました。
激動の半生を貫く、「手越祐也」としての生き様
こちらは本人自身も仰っていましたが、ご講演での手越さんには、テレビで見てきた「チャラチャラした」雰囲気とは違う、物事を俯瞰的によく考え、自分の進むべき道を直向きに模索する真面目な深みがありました。一貫した生き様は、「みんなを笑顔にする」。自分の歌で、活動で、救われる人や楽しめる人がいると信じて活動している固い意志が伝わってきました。「日本をもっと元気づけたい」と規模の大きい夢を語る場面もありました。「日本の未来を担う東大生にこうして話せることには楽しいしかない。みんなが俺の言葉で勇気づけられたらいいなと思います。」
生き抜いた2つの武器、磨く術
上記のような激動のキャリアを突き進んでこられた手越さんは、自分自身2つの能力が飛び抜けていたからここまでやって来れたのだと仰っていました。その能力とは、メンタリティーとコミュニケーション能力です。この2つがあったから、芸能界で結果を残せたと言うことで、その極意と磨き方について語って頂きました。
❶メンタリティー
「メンタルが強いと言うより受け流すのが上手い」と仰る手越さん。その切り換え方について、「一人にならないことが大事。凹んだ時に、目標や信念を声に出して周りに発信して、集まってきてくれたゴールや目的に合う人と過ごすこと。落ち込むことがあった時こそ、好きなメンバーとご飯行って、夢を語ったり、好きなことを喋ったりする。切り替えが必要な時こそ、一人っきりで抱えないのが大切。」といった旨を語って頂きました。
❷コミュニケーション能力
今まで収録や公演などで台本を一切用意したことがないと言う手越さん。用意して覚えていった言葉は、「自分の言葉の気がしない」と言う理由で好まないらしいです。その場の温度感に合わせて、盛り上げる言葉を瞬時に引っ張り出してくる能力は相当なものでした。今回、生で手越さんの喋りを聞いて、発言のテンポの良さ、間の取り方、抑揚、ギャグなど、全てにおいてこれが人前で第一線で活躍してきた技術の賜物かと驚かされました。人を惹きつける軽妙かつ痛快なコミュ力はどうやって磨いてきたのか。手越さん曰く、「いろんなところに足を運んで場数を踏むしかない」といいます。世界中を飛び回ってその都度コメントする経験を積んできた立場から、やはり実践で磨いていかないといけないから色んな場に挑戦して行ってほしいと背中を押して頂きました。
東大生へ
最後には、東大生向けの講演会ということもあり、東大生へのメッセージも頂きました。「俺は今本当に幸せなんです!」と笑顔で語る手越さん。しかし、同時に「人生において、悩みが消えないときはない。ある悩みが解決したと思ったら、次のもっとレベルの高い悩みが来る。君たちも、東大に合格した後、次のレベルの悩みが生まれているとも思う。」とも。そして、そこから元気づける形で、「その悩みで辛くなる時もあると思うけど、君たちは結果を出してここにいることはすごいんだから、そこを思い出して自信を持って、突き抜けてください!生身の経験を大事にいろんなところに飛び込んで!」というメッセージを頂きました。
講演終了時には、会場に集まった100人以上の東大生から拍手喝采が沸き起こりました。どこまでもポジティブな手越さんの姿に、私たちも大いに勇気づけられた素晴らしいご講演でした。今回このような機会をご提供していただけたことに深く感謝しています。ありがとうございました。
文責:田渕辰樹
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