【詩】バランスが大事

にぎやかで騒がしい

笑い声が多くて

楽しい雰囲気にみちみちている

それだというのに

いらだたしい

声が近くて嫌になる

少しは静かにできないものか

誰にも告げず

ぷいっとにぎやかさから離れる

それなに

和気あいあいとした空気が

ひとり離れた自分を追っかけるようだった

どこかに静かな場所はないものか

誰もいない

静けさに包まれた公園

はて、子どもがいないのも珍しい

でも、こちらには好都合

静かな場所でゆっくりしたかったのだから

しんとした場所で物思いにふける

誰の声も聞こえない

虫の声も

動物の声も

車や飛行機の通る音さえしなかった

しばらくは静けさが嬉しかった

ずっとそのままでいたいと思った

それなのにどうだろう

何も音がしないのが気になる

誰もいないのが気になる

何も通りかからないのが気になる

もしかして

自分は

自分ひとりきりしかいない世界に来てしまったのではないだろうか

静けさに心臓がひやりとした

吸った空気が冷たいような気がした

そろそろ戻ろうか

あのあたたかい

にぎやかな世界に

「おーい、おーい」

「どうしていなくなっちゃんたんだよう」

「探したんだぞう」

顔にほほえみが浮かんだ

にぎやかで騒がしい

笑い声が多くて

楽しい雰囲気にみちみちている

和気あいあいとした空気が追いついてきた

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