ちいさい秋みつけた～秋の香り～

　2~3日前から、甘い香りがただようようになりました。キンモクセイの香りです。気づいたのは朝でした。換気のために開けた窓の外から、風が吹き、甘い香りが部屋の中に入ってきました。

　「あれ？なんで甘い香りがするんだろう」

　2~3秒あとに、キンモクセイの香りだと気がつきました。一週間ほど前に、キンモクセイの花を見かけた、香りがしたという話をちらほら聞いていましたが、近所では、まだ香りもしていませんでした。

　「もう少し先なのかもしれないな。地域差もあるだろうし」

　のほほんと考えていたら、あっという間に、キンモクセイの香りがあふれ、オレンジ色の小花をあちこちで見かけるようになりました。

　花は咲いていたのかもしれませんが、気づかなかったんですね。

　キンモクセイの特徴は、なんといっても甘い香りです。大木があれば、強く香ってきます。

　秋の花はキンモクセイだけじゃありません。香りがある花はたくさんあるでしょう。それなのに、キンモクセイの香りは、秋の香りのように思ってしまいます。

　数週間前に、キンモクセイ香りがするというハンドクリームを見かけました。そのハンドクリームをつければ、春夏秋冬、関係なくキンモクセイの香りに包まれるでしょう。

　買おうかどうか迷いました。

　ですが、キンモクセイは秋に香ってこそという気がしてしまい、出した手を引っ込めました。

　短い期間にただよう、キンモクセイの甘い香り。

　今だけの楽しみとして、ゆったりひたりたいのかもしれません。