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【詩】必ず逢える

本の合間からこぼれるつぶやき
つぶやくひとの心は
最愛のひとへ届いていたのだろうか
深く愛するがゆえに絶望を知る

最愛のひとが遠き場所へいこうとするのを
ただひたすらに眺め
ときおり戻ってくる最愛のひとの笑顔を抱きしめる

遠くへいってしまうのを嘆くのはつぶやくひとばかりでない
不本意ながら遠くへいかざるをえない身を嘆くひとの心も悔しい

隣にいるのに
手をつないでいるのに
同じ空を眺めているのに
なぜこうも隔たっていくのだろう

共にいることを望むのに
変わらずに語り合いたいのに
どうして隔たっていくのだろう

辛いのか
悲しいのか
寂しいのか
怖いのか

遠く遠くへ旅立った
もうどこにもいない

それなのに

硬直するような心にいる
遠くへ旅立っていなかったのに気づく
大きく隔たった場所にいようとも

お互い手を握り合っている
永遠に


高村幸太郎の『智恵子抄』を読んで。










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