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【読書】『名探偵のままでいて』~このミステリーがすごい大賞~

「表紙がきれいだな」

 最初の私の感想です。本屋さんか新聞か、ネットか雑誌か、どこで見たのか忘れましたが、ステキな表紙だなと思ったのがきっかけでした。

 あらすじを読みましたら、レビー小体型認知症を患った祖父をもつ女性が主人公のお話でした。

 主人公の楓は祖父とふたりきり。両親はすでに亡くなっており、近しい親戚もいないようです。祖父は小学校の校長先生だったのですが、楓も同じ教師の道を歩みました。

 どちらもミステリ好き。小説内にもミステリ談議が飛び出します。

 ミステリー小説なので探偵役が出てくるのですが、もちろん楓の祖父が謎解きをします。

 認知症を患っているため、体調の良いときと悪いときがあります。良いときであれば、楓から聞いた謎を華麗に解いてみせる知性があります。

 「楓。煙草を一本くれないか」

 このセリフが、謎解きはじまりの合図。小説を通してお決まりのセリフとなっています。まるで物語を聞くようで、わくわくするシーンです。

 さて、楓の周辺にはステキな男性が二人現れます。一人は同じ小学校の教師岩田先生、もう一人は劇団の座長を務める四季です。四季と岩田先生は野球部の先輩後輩の間柄。とある事件をきかっけに、岩田先生が四季を紹介しました。

 岩田先生はミステリ好きではありませんが、四季はミステリに詳しいです。そのため、楓とも本を通して話をするんですね。

 三人は、事件を通して絆を深めていきます。

 作中に出てくる事件解決や本の内容も面白いのですが、祖父と楓との会話がやわらかくやさしさに満ちています。

 祖父が孫娘を思う気持ち、孫娘が祖父を思う気持ち。和やかにいつまでも続いてほしいと願いたくなりました。

 楓と岩田先生と四季。三人の恋愛模様も気になります。

 


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