【詩】ほろほろとふる
ほろほろとふってくる
この白いものはなんだろう
はらはらとふってくる
このかるいものはなんだろう
空は黒い雲におおわれて
一度も晴れたことがなかった
たくさんの工場から
いくつもの長い煙突が突き出している
その煙突が大きな黒い雲をつくっているのだ
ふってきたものは口に入れてはいけないよ
わたしたちの体が壊れてしまうからね
かすれた男の声がはかない
黒い雲からふってくる
この白いものはなんだろう
おばあちゃんが大切にもっていた写真集にのってる
雪ではないのかしら
口に入れてはいけないよ
口をおおうマスクをとって
一度だけ空に向かって口を開けてみる
白いものがひとつとびこんだ
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