【詩】あちらこちらを渡り歩く

ここが嫌いなんじゃない

居心地がよくて大好きだ

だけど

別の場所も気になってしまう

定住は安心だ

旅は不安だ

定住は退屈だ

旅は変化に富んでいる

どこもかしこも知り合いだらけ

窮屈に思えてもほっとする

どこもかしかも知らない人だらけ

自分を知る人がいない妙な安堵感

たまに自分を知らない人の中に出かけたくなる

でも自分を知っている人の中に戻りたくなる

知っている人の中に戻ったら

知っているはずの人なのに

なぜだから知らない人のような気がした

「変わったかい?君を知らない人のように思うよ」

「いいや、ちっとも変わらないよ。昔と同じさ」

「あちこちに行ってきたんだ。僕は変わったかな?」

「いいや。変わらないよ。君は昔とちっとも変わらない」

「そうかな?」

「そうさ。ただ、君の知らない僕を見つけただけさ」

「これからも見つかるかな?」

「それはどうだろうね」

二人で肩をならべて笑った

明日はラーメン屋に行くのだ

昔から変わらない親父が

昔と変わらないメニューをだす

そして

昔と変わらず二人で醤油ラーメンを頼むのだ

「メンマとチャーシュー追加で!」


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