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【詩】旅の後の

どこまでも広がる大海原を
どこまでも行くのだと漕ぎだした
後ろを振り返ることなく
前だけを進むのだと思い込んでいた

ちらちら浮かぶ旅立ちの日を
何度も頭をよぎる旅立ち前の日々を
思い出すことなどないと思い込んでいた
ただひたすら新しいものへと手を伸ばし続けるのだと

思い浮かぶのは旅立ちの前の日々だけではない
あちこち立ち寄った島や大陸の情景
出会った人たちとの交流
刺激ばかりが楽しい毎日

そのひとつひとつが
大海原の波間に浮かんで消える
途切れることのない航路に
あざやかによみがえる

空を見上げれば青い空に白い雲
夜になれば星々が笑いさざめく
新しい刺激はあっても
残してきた想いが増えていくばかりになった

どこまでも広がる大海原を
どこまでも行くのだと漕ぎだして
どれだけの日々が立っただろう
どれだけの人と出会ったきたのだろう

白地図とコンパスを頼りにとびだした頼りなげな旅路
いつの間にか白地図はいろんな文字と記号で埋まっている
どこをどう行けば良いのか頭の中で浮かび上がる
一期一会と思った人とひょいっと別の場所で出会う

大海原を走るたびに知っている場所が増える
大海原を駆けるたびに知り合いが増える
大海原を行くたびに想い出が増える
大海原を行くたびに出発の前の日々が色濃くよみがえる

一度、戻ってみようか

大海原を行くたびに小さくなったようなこの世界
最初に戻ってもう一度考えてみようか
これからの旅路をどうするのかを
ひとつひとつ思い出してみよう旅した日々を

それから

それから

それから



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