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【詩】私だけだと思ってた

同じクラスだったから体育祭も同じチームだった

応援団長をかってでた

引っ込み思案のあなたが

真っ赤な顔で声を張り上げるのを誇らしく見ていたよ

私は応援団員じゃないけれど

同じように真っ赤な顔で声を張り上げた

あなたと同じように応援団をやっているつもりで

心はそばに寄り添っていた

今年の優勝は紅組です

アナウンスの声にわきあがる私のチーム

飛び上がって喜んで

あなたのそばに駆けていこうとした

去年の体育祭でも同じように手を取り合って喜んだから

今年も同じように一緒に笑いたかった

なのに私のそばを軽々と

つむじ風のように通り過ぎた子が

あなたに抱きついた時は目を疑ったよ

つむじ風のあの子に抱き着かれたまま

嬉しそうに笑ってた

去年までのあなたなら

こんなことはなかった

教室で大人しくしていたから

誰かがあなたを見つめることはなかった

それなのに今は大勢のひとがあなたを見てる

私は大勢の中のひとり

最初は私だけだったのに

いつの間にか大勢のひとがあなたを見てる

私だけじゃなく大勢のひとが見てる



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