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【読書】「十年屋⑥~見習いのお時間です~」早く会いたい、いつか会える主人のために。
廣嶋玲子さんの十年屋シリーズ第6弾。魔法使いが出てくるお話ですが、どの魔法使いもとっても個性的。いらないものを魅力的なものにつくりかえる魔法。にごったものを美しい色にかえる魔法。お天気をつくりだす魔法。
そのなかでも、本編に出てくる主人公、十年屋さんの魔法は、十年だけ大切な何かを預かる魔法です。預かったものは、十年間、色あせることなくとどまり、十年という時を超えて、お客様に手渡すことができます。
主人公とはいっても、お客様ひとりひとりが主人公。
お客様の大切なものや、大切な何かが主人公。
お客様のひとりひとりの人生が主人公。
シリーズの最初の方では、十年屋さんは、まるで脇役のような存在です。ですが、忘れることのできない存在感があるため、かえって彼の存在が強調されています。
名前も明かしてくれません。十年屋とだけ読者に伝えています。なぜ、魔法使いになったのか、きっかけとなるエピソードもありません。
ミステリアスですよね。この先、名前や素性を明かしてくれるのかはわかりませんが、巻を追うごとに十年屋さんの生活を垣間見れるようになります。
謎の多い十年屋には、十年屋にはカラシという猫がいます。語尾が「~なのです」と愛くるしく、お料理上手。優秀な執事猫。
いつも、十年屋のそばに寄り添い、訪れるお客様においしいお菓子、軽食、お茶を用意して待っています。
十年屋と執事猫のカラシ。ひとりと一匹の元に、一匹の子猫がやってきました。
ミツという名前の子猫ですが、彼女もいずれは、魔法使いに仕える使い魔です。主人がみつかるまで、ミツの面倒を十年屋とカラシがみることになりました。
ミツは、修業しながら、自分の主人を探しています。ラストでは、ミツにぴったりのご主人が見つかりますよ。かわいらしく、あどけない様子のミツにどんな主人が現れるのでしょうか。ラストが気になって、ちらっとのぞいてしまいました。
いつものように、十年屋のもとにお客様が訪れます。お客様のストーリーの合間に、ミツの主人探しも読めます。
6巻目で、カラシが十年屋のもとで、働くようになった訳もわかりますよ。
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