見出し画像

【読書】すぐに返却してしまった本

図書室の本は、2週間の貸出期間があります。

2週間以内であれば、いつでも返却可能なので、たいていは返却日ギリギリに借りた本を持って行きます。

それが、ときには、持っているのがしんどくなるような本もあります。


両親と妹、家族と共に住む男は、ある朝、目を覚ましたら虫に変身していました。芋虫のような姿に変わった男は、命を落とす一瞬まで虫のままであり、もとに戻ることはありませんでした。

作品として有名だったので、予備知識が薄いままに読んだのですが、何ともいえない気持ちにさせられます。ページをめくればめくるほど、自分の中にある元気ややる気が吸い取られていくような気がしました。


この作品は、「不条理文学」とされています。そのせいか、読み終わった後のモヤモヤ感は消しがたいものがありました。

なぜ、芋虫のような姿になったのか理由も分からず、主人公の家族も驚き嘆いているものの、身内の恥を隠すばかりで別の行動を取ってはいません。

虫となった主人公からは、家族やまわりの人間の言葉は理解できるものの、自分から言葉を伝えることはできません。

虫となった家族を養うものの、どんどん家族とは見なせなくなっていく様子も描かれています。

読みやすいので、一気に読んでしまいましたが、読後感は良いとは言えません。

「今日は図書室の近くを通るし、返却しちゃおうかな」

図書室に本を返却した後も、重苦しい感覚が残ります。

カフカは、ユダヤ人として生まれ、第一次世界大戦の中を生きました。孤独の中で作品を書き、ついには結核となり亡くなります。

「第一次世界大戦だから、ユダヤ人の大量虐殺はまだ先だよね」

なんとなく、暗く重苦しいであろう時代を想像してしまいました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?