【詩】ガーディアン
庭の隅っこに小さな朝顔の花を見つけた
青っぽい紫っぽい色の朝顔
こぼれた種から芽が出ていつの間にか大きくなったのだ
花が咲くまでちっとも気づかなかった
嬉しくなってそっと花びらにふれようと手をのばす
昨夜降った雨できらきら光るクモの巣が目に入った
小さなクモがつくった巣は頑丈でちょっとやそっとでは壊れなさそうだ
クモの巣にさわるのがいやで慌てて引っ込める
しげしげとクモの巣の向こうで咲く朝顔をみつめた
朝の短い間にしか咲かない
一度咲けばしぼんでしまう朝顔
たった数時間の花の時期
誰にもみられず
誰にもふれてもらえず
そして誰にも汚されない
水滴こぼれるはなびらは
安心してこの世を謳歌できる喜びの涙だろうか
君はガーディアン
つかのまの花の喜びをそばでそっと見守る
小さなガーディアン
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