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ヤマハのチューナーメトロノームで216BPMを出現させる方法

ある手順を踏むと、上限208BPMのメトロノームでなぜか216BPMが出現するので、備忘録もかねて記事にします(需要なさそうですが)。

楽器練習に欠かせないアイテムといえば、チューナーメトロノームです。
これらがひとつになった電子機器として、ヤマハ製の「チューナーメトロノーム」があります。
その利便性ゆえに、楽器の個人練習中も合奏中も肌身離さず持ち歩いている人はかなり多い印象です。
自分もずいぶんお世話になっています。

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▲かなり使い込んだ様子のチューナーメトロノーム(TDM-70)
現役です。

さてこちらのチューナーメトロノーム、少し古い型ですが不思議な現象が起こります。
本来このメトロノーム機能の設定可能BPM(テンポ)は下限40BPM、上限208なのですが、ある手順によりさらに速いテンポであるところの216BPMが設定できます。

手順

1. [METRONOME ON]スイッチを押して起動する。テンポ設定は1刻みでなく、39 STEPSモード(振り子メトロノームに記載されている数字)にしておく。
2. BEAT/TAP[▲]と[▼]スイッチを同時に押してタップ・モードに入る。
3. [START/STOP–TAP IN]スイッチで「207BPM」を叩き出す。
4. TEMPO[▲]スイッチを押す。
5. BEAT/TAP[▲]と[▼]スイッチを同時に押してビート・モード(最初のモード)に戻る。

文字だけだとよくわからないので、実際にやってみます。

1. とりあえずメトロノームを起動。

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2. BEAT/TAP[▲]と[▼]スイッチを同時に押してタップ・モードに。タップ・モードでは、[START/STOP–TAP IN]スイッチを押す間隔でテンポを設定できます。正直使用頻度はあまり多くないモードか?

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3. [START/STOP–TAP IN]スイッチを207BPMが表示されるよう、自分のテンポ感覚を頼りに押していく。一番の難所です笑 仮に207BPMが表示されてももう一度押すと大体別のテンポになるため、表示されたら押すのをやめる反射神経も試されます。

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▲206BPM。惜しい。

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▲208BPMより大きいBPM。これも惜しい。

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▲207BPM。成功!

4. TEMPO[▲]スイッチを押すと、216BPMが出現します。今更ですが、メトロノームのテンポ設定は39 STEPSモードにしておくことを忘れないように。1 STEPモードだと208BPMが出現します……(水の泡)。

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5. BEAT/TAP[▲]と[▼]スイッチを同時に押してビート・モード(最初のモード)に戻る。そして[START/STOP–TAP IN]スイッチを押すと、普通に216BPM表示のままでメトロノームが音を刻みます。

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なおこのままテンポを変えると、216BPMには戻れません。再びこの手順を踏んで出すしかありません。謎!

本当に216BPMなの?

実際に216BPMが表示されることはわかりましたが、果たして本当に刻まれる拍子は216BPMなのでしょうか。
表示だけ216BPMで、実際は208BPMで鳴っている可能性も考えられます。

簡単に検証してみます。
チューナーメトロノームが発する電子音を録音して、波形を見てみます。

録音はWindows標準のボイスレコーダーで、波形解析はフリーソフトのSoundEngine Freeで見ることにしました。

まずは208BPMから。ひとつひとつの波形の山の間隔を調べると、288msでした。
BPMは1分間に存在する拍子を意味するので、60s×1000ms÷288≒208.33なので208BPMとなっているといえます。

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▲208BPMの波形。

続いて216BPM。こちらも山の間隔を調べると、277msでした。この時点で208BPMより速いテンポを刻んでいることがわかります。
そして、60s×1000ms÷277≒216.61なので216BPMとなっているといえます。

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▲216BPMの波形。

というわけで、表示だけでなく実際に216BPMとなっていることがわかりました。

最後に

どうしてこんな手順で存在しないはずのテンポが設定できるかは分かりません。
大方、開発の時点で修正されなかった現象であると思います。
製品の仕様上、実害はないので構わないですが、不思議な現象です。
どんな風にコーディングされているのか想像するのも楽しいものです。

216BPMが設定できて助かる人はいるのでしょうか。
個人的に216BPMの楽譜は見たことありませんが、もしかしたら必要な場面があるのかも?笑
しかし108BPMにして8分音符刻みに設定するのとあまり変わらないので、実用性はなんとも言えませんね。

他の機種でも再現するのか、情報お待ちしています。


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