空を見上げる犬
昔、犬を飼っていた。
当時は愛犬を犬って呼び方をする人が嫌いになるぐらいには愛していた。
今も愛している。
同じ犬種でも世界一可愛いと思っていた。
事実、頭もとても良い子で、そして僕に似て怖がりで、寂しがり屋だった。
はじめての出会いの日、僕は泣いた。
ブリーダーさんと約束をして、隣の県まで父親と車で出掛けた。
そこですこし体調が悪そうだから、また別の日にしましょうとブリーダーさんに言われて
その日に連れて帰れないことよりも、その子が心配で可哀想で泣いた。
その1,2週間後に改めて行った時はとても元気で、やっぱり波長があったのがわかった気がした。
そこからは女兄弟しかいなく、弟が欲しかった僕からしたら弟のような存在になっていった。
散歩に連れて行っても、僕の左にいつもいる。
ドッグランにいっても、ずっと僕のそばにいる。
ソファに座れば、すぐ膝の上。
ベッドに移動すれば、僕より先に毛布の中。
いつもそばにいた。
そんな子を溺愛しないはずがない。
実はブリーダーさんからその子を預かって、数ヶ月後にはその子が寂しそうだと、大阪から女の子が来た。
彼女はとても男前な女の子だった。
下についているものを見なければ、男の子と女の子が逆に見えるぐらいには性格が真逆だった。
その女の子はドッグランでは自由に走り回り、散歩のときも僕以外の人が引っ張るとガンガンいこうぜ!と目が燃えている。そんなタイプ。
その子たちがよく、天気の良い日は窓のそばでひなたぼっこをしていた。
庭に何かあるわけでもないのに、空を見上げていた。
自然と僕も窓の側で空を見上げることが多くなった。
よく一緒にひなたぼっこをしていた。
ペットは飼い主に似るとよく言うが、僕の場合はペットに似ていった気もする。
元々似ていたタイプだったのもあるかもしれないが、彼が怒ったのを見たことがない。
彼女はよく他の犬に喧嘩を売られて吠えていた。
けれどだめだよ。というと急に静かになる。物わかりのいい子でもあった。
うちの子たちは元気だろうか。
そんなことを窓の側でひなたぼっこしながら思う。
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