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‐ちょっと不自由なホテル‐ume, yamazoeには、ぼくたちの手放した自由があった

こんにちは。奈良市で「西村邸」という宿をやっています、杉本です。
普段は自分の施設のことを書いていますが、今日は、同じ奈良のホテル ume, yamazoe の体験記です。
あまりによかったので、頼まれてもないのに書きたくなりました。よければ最後までおつきあいください。


「ぼくがいままで入ってきたサウナは何だったんですか!?」

冒頭からぶっちゃけますが、サウナ苦手なんですよ、ぼく。
禅とか瞑想が好きなぼくは、「サウナはどうやら『トトノウ』らしい」と聞いて銭湯にあれば試したくなるのですが、いつも3分くらいで暑苦しくなって出てしまいます。「トトノウ」どころではありません。
世の中の「トトノウ」ブームも、「流行ってるから言いたいだけやろおまえら~!無理すんなって~~!」と、眉唾で傍観してきました。

そんなサウナ嫌いのぼくが、縁あって、いま全国のサウナマニア=サウナーたちが熱視線をおくる ume, yamazoe で、一足早い夏休みを体験してきました。

<サウナづくりのクラウドファンディングなどを通じて話題に!>

奈良市街からは、名阪をつかって車で1時間足らず。
オーナーの梅守志歩さんと会うのは、今回がまだ2回目ですが、温かく迎えてくださいます。館内の案内も早々に、志保さん自ら薪をくべるサウナへ。

<志歩さん。サウナの火も起こせる、敏腕営業マンで料理人です。>

結論から言いましょう。この体験をわかりやすく言うと「アレ」でした。

いままで安い日本酒しか飲んだことなくて、日本酒嫌いになった大学生が、バイト先のオトナな先輩に、初めて上質な純米酒飲ませてもらって、めちゃくちゃ感動する。

というアレです。「これやばくないすか?ぼくがいままで飲んでた日本酒はなんだったんですか??」ってアレ。
ありませんでしたか?ぼくはありました。なかった方は適宜、ご自身の「いままでの〇〇はなんだったんですか!?」体験に置き換えてください。

それのサウナ版です。
つまり最高に最高で、パラダイムシフトな「トトノウ」食らったということです。

志歩さんの解説によれば、お風呂屋さんのサウナと一味違うのは、空気の循環なのだとか。
足元に細かく通気口が開いていて、そこから天井近くにある小窓まで、常に新鮮な空気が流れているので、嫌な熱気が籠りません。部屋の気温は90度近くになり、当然かなり発汗しているのに、全然苦しさがないんです。
屋外だからこそなんでしょうね。最近SNSで目にする、テントタイプのサウナもこんな感じなのかも…。

さらに屋外だからこその水風呂とウッドデッキ。10分ほどサウナに入って、外で体を落ち着けて、またサウナに戻って…のサイクルを繰り返します。

<トトノウわたし>


サウナは苦手なはずのぼくが、いつまでもこのサイクルから抜け出せないんです。その中で、身体がどんどんほぐされていく感じ。
BBQとビールがぼくを止めてくれなければ、永遠に繰り返していたかもしれません。

<奈良のクラフトビールのひとつ【奥大和ビール】が飲めます!>
<さらにデイユースのBBQプランができるらしいです>

とにかく、ぼくのようにサウナが苦手な人にこそ、この「本当の日本酒を覚えた大学生」ムーブを体験しに行ってほしいです。

奈良市街から45分の「リゾート」

ついついサウナの話に熱が入ってしまいましたが、ぼくが ume, yamazoe の一番の魅力だと感じたのは、サウナに限らず、施設内いろんなスペースの解放感です。

奈良市街からもほど近い山添村の山中、そして築120年の古民家というロケーションなのですが、そこが纏う空気は、よくある田舎の古民家宿とは一味も二味もちがいました。

母屋のラウンジは、もともとあった建具・土壁・天井が大胆に取り払われ、古い柱/梁と屋根、大きなガラス窓だけでできた、がらんとした空間です。
建物を外側から見ると疑いようのない日本の古民家なのですが、一度中に入ると、そこに漂う雰囲気は開放的で、さながら「南国リゾート」のようです。

<たぶんモルディヴもこんな感じ(行ったことない)>


母屋と別棟の間には、サンルームのようになった半屋外の空間もあり、とても「粋」だなと感じました。
古民家って、それらしく演出しようとすると、やっぱり暗くつつましやかな雰囲気になりがちなので。

<小さいころ行ったタイのホテルには、多分こんな部屋があった>


奈良ですから、さすがに南国リゾートのようなビーチはありませんが、山裾の集落の一番上にある ume, yamazoe は、目の前にも後ろにも山々の緑が広がります。
サウナの背後にも原生林さながらの裏山がせまり、どこかエキゾチックです。

各部屋からの眺望も、もちろん文句なし。志歩さん曰く、カーテンの質感にもこだわって、部屋ごとに別のものにしているとのこと。窓を開け放って風を取り込みながら、半屋外のように楽しむことが想定されているのだと思います。

<絶景と心地よさのあまり、ソファから立ち上がりたくない女子たち>


「古民家を体験する宿」というのはいろいろありますが、こういうアレンジは新鮮なのでは?と感じます。古民家好きとしては、古民家の懐(フトコロ)と可能性の大きさが感じられて、とても嬉しくなりました。

<古民家好きに刺さる要素もしっかり残っている>

前述のとおり、全国のサウナーたちの間で話題になっている ume, yamazoe ですが、まだまだ感染症の懸念がぬぐい去れず遠出が難しい昨今。ぼくはぜひ、リゾートへの思いを募らせている奈良県民にも楽しんでもらいたいと思いました。

<左のカウンター側は、一緒に泊まったume, 広報担当(?)のおねえさん、
新進気鋭の画家さん、山添村の茶畑で働く青年。
ほとんどが初めまして同士なのですが、めっちゃチルアウトしてます。>

‐ちょっと不自由なホテル‐には、ぼくたちの手放した自由があった

ume, yamazoe は「ちょっと不自由なホテル」というコンセプトを掲げていらっしゃいますが、自由・不自由ってなんなのでしょうね。便利な都市に暮らすこと=自由なのか??
都市での暮らしを選んだ人が手放した自由が、ここにはある。ぼくはそう思いました。

森に抱かれながら、最高のサウナを無限にループする自由
ご近所さんに憚らず、全開にした窓から太陽と風を感じる自由
遅くまでチルアウトした翌朝も、清々しい鳥の声と朝日で目覚める自由

これから本格的な夏に向けて、奈良らしいリゾートとして、そして古民家宿の新しいスタイルとして、とてもとてもおすすめです。

手放した自由を取り返しに、ume, yamazoe へ行こう。

あ、最後になりましたが、ぼく自身も奈良市内で古民家宿をやっています!笑
ume, yamazoe とは規模もロケーションもコンセプトも違いますが、ウチもうウチで、じっくり奈良らしさを楽しんでいただける宿だと思います。機会ありましたら、ぜひハシゴしてください~♪

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