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愛すべき労働集約型産業―『西村邸』のこと|働くこと②

こんばんは。働くことの2日目にして最終回です。
昨日書いたものは、気が付いたら4000字になっていて、自分でも若干ひきました笑 読んでくださった方にいま一度、感謝。今日もよければお付き合いください。

「労働集約型産業」ってことば、聞いたことありますか?ぼくはレストランだった前の職場で、はじめて聞いた単語だったんですが。大学とか新人研修とかで習ったりするんでしょうか…。
ざーっくり言うと「売上を増やそうとすると、人手が要る仕事」ですかね。合ってます?笑 生産活動における資本と人件費の比率がうんぬんかんぬん…?
どういう歴史を経て生まれた言葉なのかは勉強不足で知らないのですが、いろいろな技術革新で仕事が自動化していく現代において、シンプルに言うならサービス業―人間がする接客の仕事が、その代表格だと言えます。

「人手が要る」ので、いわゆる「レバレッジ」が効きにくい形態です。販売の仕事なら、営業時間と家賃のある実店舗で販売員を雇ってやるより、ネットストアつくって無人で24時間営業する方が合理的だという現代。「人手が要る」というのは、それだけで大きなディスアドバンテージです。

産業としてもそうですが、それに従事する人もそう。涼しい部屋でパソコンカチカチやってればお給料がもらえる時代に、なぜあえて、人目にさらされながらキツい仕事をしなければならないのか。いまなぜ、そういう仕事を選ぶのか。ぼくのやろうとしているゲストハウスや飲食も、やっぱりサービス抜きには語れません。


ぼくがいまそれを選ぶ理由は、やっぱりその仕事がかっこいいと思うからで、そして世界観をまるごと伝えられるということが、自己表現の一番手っ取り早い方法だから、なのだと思います。

ぼくの母はANAでCAをしていました。息子から見ても、世間的な?CAのイメージ―バリバリしたキャラではないですし、ほんと大変そうでした。それでも20歳くらいから50歳過ぎるまで、ずっと飛行機に乗ってサービスをつづけていました。
母が仕事している姿は数回しか見たことがなかったけれど、ぼくもなんとなくその影響で、かっこいい接客業がやりたいと思っていました。一番最初に就活していたときはホテルマンになりたかった。結局ならなかったけど、ホントです。
ちなみにぼくの妹は、母と同じ、ANAのCAになりました。ホントです。すごい。

そしてぼくは、ホテルマンを目指した最初の就活から10年後の2018年。9月と10月の2か月間、北海道の層雲峡というところにあるHOTEL KUMOIに、住み込みで修業に行かせていただきました。まさか巡り巡って、憧れたホテルマンになろうとは。人生わかりませんね。

ホテルって、ほんとに典型的な、1の華やかの裏に、100の大変なことがある仕事だと思います。KUMOIを運営しているL&Gグローバルビジネスさんは若くてアグレッシブな企業ですし、いろいろな取り組みもされていますが、本質―現場はやっぱりそうです。
でもやっぱりその上で、みんなそこでやる仕事がかっこいいと思うから、1も100も全部ひっくるめてかっこいい世界を自分たちの手で作りたいから、この仕事に飛び込んでるんだろうなぁと、自分より若いスタッフのみなさんから感じました。

自分が注目しているから余計にそう見えるのもあると思いますが、いまのホテル/宿泊施設は、本当に多様な表現の場になっていて、すごくすごく面白い。L&Gさんは、その空気をリードしている企業のひとつだと思います。

いまの北海道はマイナス30℃の世界なのでアレ…ですが、あたたかくなったらぜひ行ってみてください。


これから、機械にできる仕事が増えることでサービス業自体がどうなるか、ぼくもわかりません。だけど、人に接客してもらうことの稀少性は上がっていくはずだし、なのであれば、従事する人―労働力の価値も上がっていって欲しいと思う。

例えば、お茶屋さんとかキャバクラのPLがどんな感じなのかは知らないんですが…感覚としては近いものがある。高度な技術としてのホスピタリティが、しっかりと評価されていく世界です。
JAPANの接客は丁寧すぎ!とも言われるけど、それをもっと高めて、もっとお金をもらう。人間のサービスにお金払いたくない人は、機械に接客してもらう。そういう棲み分けでいいと思います。

飲食店のサービスって、大学生バイトの入門編みたいに捉えられがちだけど、いろいろな技術が要るし、やっぱり深い仕事だと思う。それこそマニュアル化の難しい、エモーショナルな仕事です。
接客業が、本当にそれを愛している人のする、プロフェッショナルな仕事として、日本でもっと評価される。そんなことにも、微力ながらどこかで貢献できればいいなぁと考えています。


完全に余談やけど、一番機械/AIに奪われなさそうな仕事、ぼくは美容師だと思っているんですがどうですか?ドラえもんが完成したとしても、機械に髪切ってもらうの怖すぎない?技術によって競合が生まれるとしたら、髪が伸びにくくなる薬品だと思うけど、増毛/育毛に大金をつぎ込む人がいる世の中で、伸ばさない側が伸びていく、なんてことはあるのか!?


今週はまた、夜更新ばかりになってしまいましたが、お付き合いいただき、ありがとうございました。

連載もいよいよ大詰め。来週は「旅のこと」です。
宿をやるからには避けては通れないこのテーマを、最後までとっておきました。今日少ししか触れられなかった、北海道の話もすると思います。また覗きに来て下さったら嬉しいです。

週末休みの方、今週もお仕事お疲れ様でした。土日もお仕事のサービス業の方、バレンタインも終わり、特に飲食や宿泊はいよいよ厳しい期間に入ると思いますが、気負わず春を待ちましょう!よい週末を。

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