見出し画像

整理収納は、暮らしのデザイン―『西村邸』のこと|整理のこと①

こんばんは。遅くなりましたが、今週もはじめていこうと思います。

今週は、整理のこと&働くことで書いていきます。この2つはぼくの中で結構強くリンクしている話題です。どういうふうにリンクしていくのか、そのさわりを今日は話しますね。よろしくおねがいします。


唐突ですが、ぼくはこう思います。

「デザインするというのは、整理することで、整理するというのは、デザインすることだ。」

こう書いて、どれくらいの方がスッと「うん、そうだね!」と言ってくれるのかわからないのですが…「何をいまさら、そんな当たり前のこと」って言ってくれる人が多いと嬉しいなぁ笑
これまでグラフィックデザインに関わる仕事をしてきて、これから整理収納アドバイザーを仕事にしようとしているぼくは、整理とデザインという2つの行為に、とても重なるものを感じています。

デザインとは「主体と客体―双方に対して適正な美しさを持った表現の形」である。
1か月前に書いた「デザインのこと」で、ぼくはデザインをこういうふうに定義しました。

そこで話した、ぼくが考えるデザインの過程、もう一度ざっと書いておきましょう。

まず、主体のパーソナリティーやキャラクターとも言われる本質、伝えたい主題、こういうふうに感じて欲しいという意図、こういったことを一つ一つ洗い出していきます。

次に、「じゃあメインのフォントはこうだね」「この色を使いたいね」というふうに、本質に合わせて使う要素を取捨選択する。これを「表現主体にとっての適正」というふうに呼んでいます。

要素が出揃ったら、それを意図に沿うように配置していく。グラフィックや読み物なんかは、強調したい情報とそうでない情報に大きさの差をつけ、視線の動きを意識しながら、読んで欲しい順番に配置する。
ユーザーインターフェイス―UIという言葉もかなり浸透してきました。あるモノを使うとき、人の身体がどう動いていくか、どの感覚を使うかが細かく分析された上で、モノが設計されているということも、広く理解されてきていると思います。これが「客体にとっての適正」です。
こうしてデザインは組み立てられるんだよ~という話でした。


整理収納というのも、まさにこういう流れで進んでいきます。
今回は、整理のなかでも直感的にわかりやすいであろう、机の引き出しの整理にふれながら、その流れを書いてみます。
実際に整理収納アドバイザーが提案して進める流れも、おおよそこれから書く通りです。文字だけでざっと書いたのでややこしそうですが、それを自然にリードしていくのがアドバイザーの役割です。

まず、目標としている空間にあるものを、一度すべて取り出す。机の引き出しなら、引き出しのなか全部です。

そして、このものが自分にとってどういうものか―よくつかうものか、ほとんど使わないモノか、思い出があって大切にしているものかを、改めて考えてみます。たとえば一口にペンと言っても、人からもらった気に入っているモノ、なんかのおまけにもらった気に入っていないモノ、使いやすいからよく使うものや、ストックしている替え芯なんかもあると思います。

そして、自分はその空間を、どのように使いたいか、これも同じように見直します。引き出しを、よく使うものをしまう場所とみるか、ストックのためのストレージと捉えるか。それだけでも、入るモノや配置が全然変わってきます。極端な話、パソコンしか触らないデスクなら、ペンは必要ないかもしれない。USBメモリーでも入れといた方がマシでは?そういうことに気づいたりします。
こういうことを考えながら、ひきだしの中身を取捨選択していきます。これが、デザインでいうパーソナリティを掘り下げていく段階です。

ここまでで、その空間にふさわしいものがモノが絞り込めたら、次はこのモノを使っている自分―客体としての自分の分析です。
このペンをどういう頻度で使っている?これを使うときどういう動きをする?右手で引き出しをあけて―どれくらいまで開ける?ペンを取り出すのはどっちの手?よく一緒に使うものはないか?消しゴムや修正テープなんかは同じくらいの頻度で取り出すな…

こういったことを細かく分析するのです。考えたうえで、最終的に空間=収納に落とし込んでいきます。ここまですれば、よほど特別な事情がない限り、よく使うものは引き出しの手前、あまり使わないものや替え芯などのストックは引き出しの奥に入ると思います。
これで(ひとまず)完成!あとは実際に使いながら、微調整していきましょうね、という感じです。


洗い出して、選んで、使いやすいように配置する。この整理の流れはつまり、自分にとって適正な机の引き出しをデザインした、と言えます。「よく使うペンを、引き出しの手前に配置する」という取るに足らないような収納も、実はとてもデザイン的な行為だ、ということです。

伝えたかったのは、整理収納が論理的にされるべきものだということ、そしてデザインという行為は、思っているよりも身近にあるものだということです。

広告や暮らしだけでなく、仕事の進め方や、お金や時間の使い方―なんでもこういうふうに流れていくんじゃないかと思います。実際は正解なんかなくて、外的要因によっていくらでも変わるし、トライアンドエラーの繰り返し、そんなふうにままならないところも含めて「人生はデザインと整理の連続だ!」とおもったりもします。

人生の整理って書くと「なんか型にはまってつまらなそうだな…」と感じる人もいるかもしれない。でもぼくはいろんなことを楽しむための、デザイン/整理だと考えています。そんな話を、明日はしようと思います。
今日は遅くなってしまいましたが、読んでくださってありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?