究極の肩こりセルフ整体を医師がご紹介
「セルフエクササイズ、セルフケアでカラダを整える方法、それも究極的に簡単な方法」
今回は肩こりにも「うちわ扇ぎ」がオススメというお話です。
究極の肩こりセルフ整体を医師がご紹介をお届けします。
※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。
医師は受けない!?バキバキ整体
kiryさんからのコメントです。
いつもご覧いただき、そして、コメントくださりありがとうございます。
揉み返しという有名な言葉がある時点で、強いマッサージは厳禁ですよね。
実際にはミクロな筋線維レベルではおそらく余裕で損傷が起こっていると思われます。
「圧挫傷」という状態ですね。
そして、エクササイズでだいぶ改善されているとのこと、何よりです!
これがポイントなんです。
今日のお話にも繋がっていきます。
みなさまはいかがでしょうか。
肩がこってるなぁって感じたら、その対処法として何が思い浮かび、何が一番効きそうな気がしますか?
ぜひ、コメント欄で教えてください。
そんな対処法の1つとして「整体」ってあると思うんですよ。
悶絶整体とかバキバキ整体とかありますよね。
YouTubeでもたくさん出てきますが、医者は基本受けません。
先日、お医者さんにしたアンケートでも、医者が絶対に受けたくない施術で圧倒的NO.1が悶絶整体・バキバキ整体なんですね。
ですから、ご注意ください。
なんでか〜ってことについては、こちらの動画とか、こちらの動画が参考になりますので、このあとご覧ください。
ただ、整体全般がダメって言っているわけじゃないんです。
痛くない整体として「ソフト整体」なんて言葉で売り出している整体師さんもおられますしね。
で、今回はセルフ整体っていうタイトルなんですが、僕は整体師ではありません。
そして、整体は国家資格ではありませんが、その方法論に歴史があるのも事実。
そういった意味で、今回のセルフ整体は整体師さんからは
「そんなの整体じゃない」
って言われちゃうかもしれません。
ですが、一方で整体師さんがセルフ整体と称して出している動画の医学的根拠がイマイチ不明なものが多いというか、ほとんどだって事実はお伝えしておきます。
ということで、今回のセルフ整体の整体の意味はその名の通り「カラダを整える」って意味で使っています。
セルフエクササイズ、セルフケアでカラダを整える方法、それも究極的に簡単な方法をお伝えしようっていうのがこの動画です。
ふんぞり男「おいおい、待て待て。なんかもったいつけているようだが、サムネイルとかいう動画の表紙でもうバレバレなんだよ。ってか、お前、最初からそれ持ってんじゃねぇか。下手くそか。」
あ、これ、はい。
いつ突っ込んでくれるか待ってたんですが、だいぶ遅かったですね。
そうなんです。
究極的に簡単な方法って「うちわをあおぐこと」なんです。
ふんぞり男「あれ?この前、それ、別の動画で話してたろ!」
そうなんですよ。これですよね。
マジでうちわをあおぐ動作って肩にとても良いと思っていて、その医学的根拠も積み上げていきながら、解説しているっていう段階です。
そうしたら、肩こりも結局「うちわ」なんですよ。
あ、うちわって言いながら扇子なのはご愛敬で、それどころかクリアファイルでも下敷きでも、あおげればなんでもOKです。
この場合、風を生むのが目的ではなく、風圧を使って動作に負荷をかける、それをリズミカルに繰り返すことに意味があると考えてくださいね。
では、具体的に話していきます。
究極の肩こりセルフ整体「うちわあおぎ」の正体
正体その1 肩のインナーマッスル刺激
うちわを扇ぐ動作は、上記の動画でも解説した通り、肩のインナーマッスルに対して刺激が加わるんですね。
具体的には、
外に手を持っていく瞬間には「棘下筋」という筋肉、
うちに手を持っていくときには「肩甲下筋」という筋肉が中心的に働きます。
肩のインナーマッスルっていうのは、肩を安定化させる働きがあって、強烈な力を発揮することは苦手なんですね。
ですから「うちわを扇ぐような弱い力だけど、リズミカルな運動が効果を示す可能性が高い」ってことなんです。
ふんぞり男「肩のインナーマッスルって肩こりと関係あるのか?」
おっしゃるとおり疑問ですよね。
肩のインナーマッスルは肩関節のインナーマッスルであり、肩こりの原因の多くは肩甲骨の周りの筋肉なので、ちょっと違いますもんね。
正体その2 肩のインナーマッスルが働くには肩甲骨周囲筋が大事
肩のインナーマッスルと、なんで肩こりが関係あるんだって話じゃないですか。
先程の棘下筋と肩甲下筋をはじめ、肩のインナーマッスルはすべて肩甲骨に幅広くくっついています。
むしろ、肩甲骨を覆うようにインナーマッスルが存在すると言っても過言ではないです。
そして、筋肉の役割って縮むことなんですよね。
結果的に関節を動かすことになるんですが、筋肉自体は上下左右に動けるわけじゃなくて、繊維方向に縮むことしかできないんです。
となると、うちわを扇ぐときに棘下筋と肩甲下筋が働いて腕がこう動くとしても、これは土台の肩甲骨が安定しているからこそ、なせる業なんですね。
極端な話、肩甲骨の周りの筋肉がまったく働かない状態だったら、肩甲骨がグラグラなんで、うちわをあおごうと棘下筋と肩甲下筋が働いたとしても、腕が動かず、背中で肩甲骨がグラグラするだけなんてことになります。
つまり、インナーマッスルが動くときに、同時に肩甲骨周囲の筋肉が肩甲骨の安定のために頑張っているということなんです。
こちらは2015年(*1)の研究ですが、うちわをあおぐような肩のインナーマッスルに刺激を加える、肩関節外旋エクササイズをすることで、どの筋肉にどれだけの刺激が加わるかを筋電図という装置で測定した研究です。
結果、肩のインナーマッスルが働いていたことはもちろん、僧帽筋や菱形筋、前鋸筋など肩甲骨を安定させるために必要な肩甲骨周囲筋と呼ばれる筋肉も十分に働いていたことが示されています。
正体その3 この「うちわのあおぎ方」が肩こりにドンピシャ!
もうちょっと肩こりの原因やメカニズムと「うちわあおぎ」の関係性に迫っていきます。
まずこちらの研究(*2)では、
常時肩こりを感じている人は、僧帽筋それも上部線維が硬い傾向があることを示していて、多くの方の実感と一致していますよね。
肩こりと言えば、ここが痛い、ここが硬いってことが多いですよね。
一方で、こちらの2022年の研究(*3)では、僧帽筋の今度は下部線維ですね。
そこの筋力が落ちていると、肩と首が痛くなりやすいという傾向を報告してくれています。
要は僧帽筋って上から下まで幅広くついていて、上のほうは緩めたい、下の方は強くしたい、活性化させたいというのが大原則なんですね。
そうなったときに先ほどの研究(*1)で特に注目なのが、横向きに寝て、脇にタオルを挟んで行う外旋エクササイズなんです。
このときに最も僧帽筋下部が働いて、上部は働かないってことがわかったんですね。
つまり、うちわを扇ぐって言っても、特に横向きになって扇ぐと、肩こり改善や予防にドンピシャじゃないかってことが研究からもわかってくるんです。
ですから、一番楽で習慣化しやすいのは、寝る前に掛け布団でもいいので脇に挟んで、うちわを1分くらいリズミカルに扇ぎ続ける。
当然、痛くない範囲でです。
もちろん、寝る前だけじゃなくて、ソファで横になってくつろぐときとかでもいいですね。
一番のポイントは継続なので、ソファやベッドから手が届く範囲にうちわや下敷きなどあおげるものを置いておくってことです。
普段、こんな姿勢でうちわを扇ぐことってないと思うので、それが肩甲骨周囲筋に新たな良い刺激が加わり、即効性を感じる人もいらっしゃるとおもいます。
逆に、長く肩こりで筋肉のバランスが崩れている人が改善するには習慣化した上で時間がかかるってことも十分ありえます。
やってみた感触で悪くないなって思っていただいたら、ここまで話してきたとおりにメカニズムや医学的根拠としても、継続してみる価値はあると思いますので、ぜひ効果を教えていただけると嬉しいです。
その他、試してみて感じた疑問や質問などもお気軽にコメントしてください。
本日の一言
肩こりに大事な肩甲骨周囲筋を整えるために、寝る前にうちわを試してみてください。
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参考論文
(*1)Omid Alizadehkhaiyat et al. Orthop J Sports Med. 2015 Electromyographic Analysis of the Shoulder Girdle Musculature During External Rotation Exercises
(*2)矢吹 省司. 臨床整形外科. 2007 肩こりの病態―対照群との比較を中心に
(*3)Daniel M Wang et al. J Osteopath Med. 2022 Lower trapezius muscle function in people with and without shoulder and neck pain: a systematic review
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