土地探しの条件

最近、空いた時間を使って岡山県内の土地を探しています。

3ヶ月に1度開催している住宅相談会に来てくださる方の中には、住宅の計画の前に土地をどこに購入するか未定の方もいらっしゃいます。

そのような方のご相談に建築的な観点から答えていくため、僕も県内の土地(少なくともネットで売買されていて閲覧できるもの)については日頃から興味と知識を持っておき、ご要望に応じた土地の候補を紹介できるようにしておきたいと考えています。

また、昨今では住宅価格が非常に高騰しており、建築を合理化したり、内装のグレードを下げるだけでは、建築費を抑えることにも限界があると感じています。

そもそも、僕は建築の設計事務所の代表ですから、画一的でつまらない建築や空間をクライアントに提供するのは憚られます。やはり予算には余裕を持たせて豊かな空間を提案したいと考えています。

そのために、土地が未定の場合は、その価格や条件がクライアントに適したものを僕自身で探し出し、建築費全体を適正な価格にまとめつつ、その土地の特徴を活かした建築を提供したいと考えています。

土地探しの条件

さて、一口に良い土地と言っても、人によってその基準は様々です。僕の場合、土地価格を抑えて魅力的な建築を造る観点から、下記の3つの条件で土地を探しています。


①利便性が高い場所だが、小さな土地

②利便性は悪いが、周りが自然に囲まれた環境の良い土地

③形が整形でない土地


①〜③について順番に説明したいと思います。


①利便性が高い場所だが、小さな土地

基本的に街に出やすく利便性の高い土地は価格が高くなります。
しかし、小さな面積の土地であれば、利便性が高い土地でも安い価格で市場に出てくる場合があります。
日々の生活に利便性を重視する方には特におすすめです。

土地が小さいため、価格が安いということなのですが、一般的な住宅メーカーでは建築計画が難しくなるため、住宅を計画しようと考える人が少なく、魅力的な土地が残っている場合があります。


話が少し逸れますが、せっかくなのでこのような場合の設計の一例を紹介します。

このような小さな土地の場合、僕の設計方針としては個室を小さくしたり数を減らして建物全体を小さく計画します。
そのかわり、リビングやダイニングなどの共用部を広く計画すると、開放的な生活スペースを確保できます。

もちろん、個室を小さくしたり数を減らすということに抵抗感のある方もいらっしゃると思いますが、慣れてしまえば意外と気になりません。 

僕は現在、妻と子ども1人でアパートに暮らしています。1LDKで共用の生活スペース+寝室として使用しているので個室はありません。

以前は自分の個室が絶対に必要だと考えていましたが、すぐに慣れてストレスなく生活出来ています。
むしろ家族のコミュニケーションが増え、生活が楽しくなりました。

来年2024年の秋から自邸のリノベーションの工事が着工しますが、自邸にも個室を造らずLDKを中心とした共用部を広く計画しています。

個室を減らすという思いきった割り切りにより、土地の利便性の良さと快適な共用スペースを活かします。


話を戻して、①の場合の良いところは、土地の面積が小さい為、必然的に建築面積も小さくなるので、建築費自体も抑えることが可能です。

小さな土地にコンパクトな建築を計画することで、土地と建築の費用を抑えつつ利便性の良い場所に豊かに住みたい方にはおすすめです。

②利便性は悪いが、周りが自然に囲まれた環境の良い土地

利便性が悪い土地は人気が低く、一般的に価格が安いです。
日本の人口は今後減少する傾向にあるので、土地価格としても下がる傾向にあるでしょう。
しかし、利便性の悪さを豊かな自然環境を享受できるメリットと置き換えて捉えれば魅力的な土地に巡り合うことができます。
静かで落ち着いた環境は子育てにも向いています。

このような土地の場合、ロケーションを重視して土地探しを行います。クライアントによってどのような場所に住みたいかはさまざまです。

水平線が広がる開放的な土地もあれば、囲まれ感のある土地もあります。
川や海の近くもあれば、山の近くもあります。
高台もあれば平坦な土地もあります。

敷地の特徴に合わせて建築を計画すれば豊かな環境を手に入れることが可能です。

②の場合は特に、土地の安全性や、インフラの状況、周りの利便性も確認した上での判断が必要ですが、地方都市である岡山県では、自然環境が魅力的な敷地を探すのも良いですね。

③形が整形でない土地

いわゆる、変形地に建築を計画する場合です。
不整形な土地は建築の計画が難しく、人気が低いため、一般的に土地の価格が安いです。

しかし、変形地は画一化された土地とは違い、土地の性格や条件を活かしたユニークな建築が可能です。
土地を安く買いつつ、建築のオリジナリティを重視したい方にはこのような土地がおすすめです。

僕が探していた県内の土地の中にも、土地が極端に細長かったり、土地の中に段差があったり、土地が不整形であったりと様々なものがありました。

注意点としては、土地によっては建築の計画が非常に難しい条件の場合もあるので、購入前に計画が可能かどうか設計者と検討してから購入するのが良いと思います。

建物を計画する設計者の力量も問われますが、
非常に魅力的な建築ができるのもこの場合です。

まとめ

今回は最近の僕の土地探し事情についての考えを書きました。いかがだったでしょうか。

土地を買う際にはしっかり条件を確認しないと地盤の補強やインフラ整備などで後から思いの外お金がかかってしまう場合もあります。

土地の条件を吟味して、自分たちの価値観に適した土地を手に入れ、建築をつくることが大切だと考えます。

僕の事務所でも、建築の提案だけでなく、土地探しのお手伝いを行いますので、お気軽にご相談ください。

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