道に溢れる生活
中国では道に生活が溢れています。
路上では段差に腰掛けて休憩したり、子供が遊んでいたり、食事時にはお店の席がはみ出してきたりします。そんな場所から日本に帰ると、街中は清潔で静かですが、みんなどこに居るのかなと静か過ぎて不安になることがあります。
様々な活動が活気を生む
私自身も子供時代には道路や、友達の家の前のスペースで遊んだ記憶もあります。最近は人口減少で子供が減り、公園で遊ぶ騒音へのクレームがニュースになったりでそういう風景が減っているように思います。
活気があるというのは街に人が沢山いるというだけでなく、いろんな活動をしている状態なので、人口が減っているうえに活動がなくなっていくとダブルパンチで町の活気はどんどん失われていくでしょう。
料理や昼寝
こちらでは日中、路上に調理器具を出してご飯を作っているのを良く見かけます。彼らは飲食店ではなく雑貨店等の小売店をやっており、自分で食べるご飯を作っています。多くの小売店は、柱一間分で奥行きが深い作りになっていて、中に換気扇もないので、前の道にはみ出して調理をすることになるのです。そのためご飯の時間になると、お店が並ぶ道に沿ってぽつぽつとご飯を作る人たちが現れるのです。
お昼休みには街の中心部にある大きな木の下におじさんたちが集まってカードで賭けをしたり昼寝をしています(表紙の写真)。
人々の行動を見ていると町の使い方が東京よりずっと自由で、振る舞いが制限されるストレスがありません。ずいぶんのんびりとして平和に感じられるし街に活気が感じられます。
大都市になると活動は制限される
ところで福州にもコンビニは沢山あり、中にはイートインスペースがある店舗もあります。そもそも外でご飯作って昼寝してるんだからそんなスペース要らないんじゃないかと思っていましたが、こういうスペースやコンビニ飯は上班族(サラリーマンの意味)には便利なんだよと友人から聞きました。
のんびりした雰囲気には、街の中にお店をやっている人が多く、彼らが自分のペースで活動していることも影響が大きそうです。
福州は発展途上ですが、経済の伸びは中国全体ではだんだん低くなってきています。数年前よりもお店を経営するのが難しくなっているとも聞きます。そうなると自分でお店をやるよりも、企業に勤めた方がひとまずは楽だし安定しているということになります。勤め人が増えると自由に外でご飯をつくる店主たちが減っていきます。同時に街も整備されていき、大都市としての顔を作るために規制が厳しくなり、徐々に路上の活動が制限されていくのでないかと思います。
東京にないもの
日本にいるとき建築設計の仕事で、人々のつながりや活動を引き出すための色々な仕組みを考えたりしていましたが、ここにはすでにそれがあるなあと思うことが良くあります。
多くの人は経済が発展することを歓迎するから、このような風景はじきになくなっていきそうです。中国人と日本人の気質は全然違う(中国国内でも地方ごとにかなり違うと言われているが…)ので、東京みたいにはならないと思うけど、路上はどう変化していくのか気になります。
路上での色々な活動
↑歩道に現れる夜市
↑野外上映会
↑将棋をやる人と、それを囲む人たち
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