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春吹く風は思いのほか強く
カクヨムの ♯短編賞創作フェス タグ、お題「危機一髪」参加用に書いたやつです。
過去に書いた『日々これ、よき日』の登場人物を使いまわしました。
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当面の危機は去った。
地球に向かっていた人類観測史上最大級の隕石は、先々月なぜか真っ二つに割れ、ギリギリ当たらない軌道に乗ったらしい。
――いやそんなことあんの??
というのが、俺の率直な感想だった。
めでたいには違いないが、と
猫の園 #青嵐に氷菓
※カクヨムの『「5分で読書」短編小説コンテスト2022」』参加
(600~4000字以内/お題「5分で解決探偵、あらわる(ミステリー)」)
※短話連作ぽくなったのでいくつか続きます
・#1 仙境に猫 は こちら
・#2 春風に雷鳴 は こちら
・#3 黄昏に老猫 は こちら
・#4 日常に花栞 は こちら
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猫がソワソワしだすと、あぁそろそろ来る時間かと思う。
数匹の猫が、素知らぬ
猫の園 #4日常に花栞
カクヨムKAC2022に参加したやつです
(600~4000字以内/お題「日記」)
※短話連作ぽくなったのでいくつか続きます
・#1 仙境に猫 は こちら
・#2 春風に雷鳴 は こちら
・#3 黄昏に老猫 は こちら
・#5 青嵐に氷菓 は こちら
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「ダイチくん、これ」
掲げられた冊子を見て、やっぱダメですかね……と情けない声が出た。ダメだね、と冷静な声が返ってきた。
「これじ
猫の園 #3 黄昏に老猫
カクヨムKAC2022に参加したやつです
(600~4000字以内/お題「真夜中」)
※短話連作ぽくなったのでいくつか続きます
・#1 仙境に猫 は こちら
・#2 春風に雷鳴 は こちら
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小学生の時の話だ。
母に頼まれ、スーパーへお使いに行った帰りだった。雨の中、傘をさして水溜まりを踏み歩いていたら、路地でズブ濡れになり動けなくなっている仔猫を見つけたのだ。慌てて抱き上げ、記憶
猫の園 #2 春風に雷鳴
カクヨムKAC2022に参加したやつです
(600~4000字以内/お題「猫の手を借りた結果」)
※短話連作ぽくなったのでいくつか続きます
・#1 仙境に猫 は こちら
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布団こね職人の朝は早い――。
毎朝食事を出すはずの、二足歩行のアイツの目覚めが遅いからだ。
くるまっている布団をこねやったくらいで、起きることは稀だ。耳をつつくか甘噛みすると、悲鳴を上げてようやく起き出す。
猫の園 #1 仙境に猫
カクヨムKAC2022に参加したやつです
(600~4000字以内/お題「私だけのヒーロー」)
※短話連作ぽくなったのでいくつか続きます
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最初は、魔女っ子に憧れた。
幼少期にTVでやっていた子供向けアニメで、少女は異世界から来た小さな精霊に頼まれ、こちらの世界とその精霊の世界の二つを守りぬく使命を与るのだ。
魔法と優しさで、陰ながらみんなを救う姿に憧れた。
その次はアイドルだ
Meets the killer
カクヨムKAC2022に参加したやつです
(600~4000字以内/お題「出会いと別れ」)
※暴力などの表現があるので、念のため苦手な方はご注意を。
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耳鳴りの聴こえてきそうな、静かな夜だった。
周囲は真っ暗で、光源となるものは俺が持ってきた懐中電灯が一つだけだ。いまその懐中電灯は土の上に転がっている。他に明かりはなにもない。
ここはド田舎の山奥の、もっとずっと奥の奥。ニュースで”
推しは私と世界を救う
カクヨムKAC2022に参加したやつです
(600~4000字以内/お題「推し活」)
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漫画やアニメは、子供が観るものだと思っていた。
ゲームは、子供がやるものだと思っていた。
そして、演劇は文化人ぶった人が観るものだと思っていた。
なのに何故、私はこんなところに来てしまったのか――……。
周りの熱気に押され、頬が熱を持ち胸が高揚していくのを感じていた。
遡ること数年前
Daydream Believer
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これほどまでに嬉しそうな顔をするなんて、共に住んで初めてのことではなかろうか。
「兄やん! いらっしゃい、久しぶり!」
予期せぬ彼女の嬉しげな声を耳にし、思わず俺は体を入れ替え、襖へと匍匐前進した。薄く引いたその隙間から見やると、彼女が玄関の戸口で、見慣れぬ男の首に掻きついているのが見えて息を呑んだ。
上述の通り、彼女のその熱烈な歓迎は”兄”と呼ばれた男へと向けられたもので相違な