ストレスは子どもを呼ばない

結婚しなくても子どもが欲しかった。

未婚でも自分のメスとしての機能を諦めたくなくてそう、既婚の友達に話すと結構反発されたものだった。
彼女たちには私がホルモン注射で無排卵月経の治療していたことを話してなかったから、私が子育てを軽く見ているだけだと印象づけてしまったかもしれない。
もともと平均の倍以上周期が長く、期間は平均より短く、女子の憂鬱が少ないと楽観的であったが、成人になってから大幅にそれが崩れ、出血の止まらない日が続いて婦人科のドアを叩いた。

排卵がないと言われ、今のままでは妊娠できなくなると言われて治療を始めることにした。

家族には言わなかった。
母親にはすでに思春期に「悪魔」「産まなきゃよかった」などのひととおりは言われていたので、「出来損ない」「欠陥品」と言われることが予想できた。
これは後年打ち明けて、正しかったと証明された。
治療は生理の周期をもとにして月に2度、臀部…お尻に注視を打つ。
注射を打ったあと、馴染むように看護師さんが揉み解してくれても、はじめの頃は液が下に落ちてくる痛みに耐えて車のアクセルを踏んだものだ。
左右交互に打たないと、皮膚が硬くなってしまう。
硬い方が痛く感じないが、それではいけないらしく、結局痛い方に打つことになった。

それでも、生理が終わらないことがある。

小豆色の痰のようなものが止まらない。
そんな時には中容量のピルが処方され、飲むことになる。
これがつらい。
痛くはないが、気持ちが大きく揺り動かされる。
食欲の増減も激しい。
それを、家族と同居しながら、自営業で一緒に働きながらも誰にも言わずにする。
体調不良にも文句を言われながら、2~3年出産の予定もないが妊娠はできない状態になる治療を続けても、改善しなかった。

これが一転劇的に改善された方法が、転居だった。

諍いから、育った土地を離れての転居。
両親祖父母から離れた場所で、新たに婦人科受診し、相談するともう改善していた。
小さな頃から治らなかった、爪を噛む癖も消えていた。
私の子宮はストレスを抱えて病んでいたのだと実感した。


そういう経緯があって「結婚をしなくても子どもが欲しい」と言っていたが、何も知らない相手が怒ったり窘められても「そうだね」と言うしかなかった。
だいぶ経って、彼女たちにはどうして「欲しい」と言っていたのか話すことができた。
子どもができない人の原因は様々だけれど、病気の進行を早めるとも言われている「ストレス」は子宮にも作用する。
自分が、パートナーが妊娠しづらい時には何が心の負担になっているのか、自分やパートナーの気持ちに寄り添ってあげてほしいな、と願う。

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