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PROCLUBのSweatshirt(13oz)をリメイクしました

イントロ

服屋をはじめました。

noteにドキュメント化した"私の服への偏愛"に沿って選んだユーズド/ビンテージ品とリメイク品が揃っています。

理屈っぽい私が選んだ品ということで店名はLOGICに。

扱う商品のシルエットやデザインやカラーはワンパターンだけど、なんかいつも新鮮だな〜と感じてもらえるような店にしたいと思っています。

お店のオープンに際して、お店のコンセプトを体現するようなプロダクトが欲しいと思い何がいいか考えていたところ、私が今一番困っているのは"しっくりくるスウェットとまだ出会えていない"ことなので、スウェットを仕入れるorつくることにしました。

もうこれを買い続ければいいや〜というスウェットに出会いたい。

ゴールイメージ

“極論を言うとモメる”という考え方もあれば、"極論こそが議論を前進させる”という人もいます。

私はどちらかと言うと後者の派閥。たとえ偏ったアイデアだとしても、早いタイミングで"たたかれ台(たたき台にも満たない荒いアイデア)"が作れるかどうかがプロジェクトの成否に直結すると信じています。

という前提で、私の理想のスウェットのシルエットはコレ(極論)。

Action Bronson / Parklife(UK) 2015 Photo credit: Danny North

袖リブと裾リブにスウェットが乗っかりすぎているのがやや気になるが、全体的にはめちゃくちゃいい感じ。スウェットを着るときはこのシルエットを再現したい。

端的にどこがいいのかと言うと、

端的には言えませんでした

下記の4点が私にとっては重要。
a)贅沢に生地を使った広い肩幅・太い袖幅。
b)それによって作られる腕、袖、胴のドレープ。
c)オーバーサイズだけど上品さを感じさせる首、袖、胴裾リブの締まり。
d)裾から白Tが見える着丈。結構長めに白Tが出ている。

このa)b)c)d)よってつくられたシルエットが美しい。私の理想のスウェットの着方はこれ。成功すれば美、失敗すればパジャマ。洗練と粗雑のギリギリの均衡によってつくられたシルエットと言えるでしょう。うーん、美しい。

情報収集

これが欲しい。これってどこで買えるの?と調べたくても手がかりがない。オーバーサイズ+スウェットでググっても当然有益な情報はなく、Action Bronson+OOTDでも同様(でてくるコーディネートはどれも最高)。NERD BOYFRIENDにActionBronsonが取り上げられるのを待っても、しばらく取り上げられることもなさそう

むしろ目に入ったスウェット情報を元に手当たり次第に試してみる方が話が早そう。特に都内のセレクトショップを中心に、直近5年くらいは既製品のスウェットを売るのではなく、各店独自の理想を具現化したオリジナルのスウェットを制作して販売しているところが多かった。

ということで、スウェット涅槃にたどり着くことを夢見て、手に入る全てのオリジナルスウェットを購入。しかし結局しっくりくるスウェットには出会えず。肩幅が狭かったり、着丈が長すぎたり、生地が薄かったり、などなど。三者三様、十人十色とはよく言ったもんで、それぞれのお店の極論が存在するんだな〜と思い勇気づけられました。

なので、私も"自分の理想のスウェット"を具現化することにチャレンジすることに。これまでに着てきた数多のスウェットのGOOD/BADポイントを思い出しながら、寸法を考えてみます。好きなものの解像度、アゲていくぜ。

要件整理

先ほどのa)b)c)d)をヒントに、経験則を加味して寸法を整理してみるとこんな感じ。

各部位の場所と名称はこんな感じ

*肩幅(+袖丈)

三角筋を覆うくらい肩が落ちる幅が理想。また、腕を曲げても手首が露にならないくらいの袖丈がほしい。私の肩幅が50cm弱くらい、腕の長さが60cm強くらいなので、それをベースに考えると肩幅+袖丈(片方)で120cm以上あると安心。

*袖幅(腕幅)

肩幅+袖丈に加えて、腕幅の大きさによってスウェットの脇から腹にかけてのドレープ(日本語で言うと…たわみ?)が作られる。このドレープの幅が大きいほど美しい(と思う)。なので、なるべく腕幅は広い方がいい。
ただ、アウターを着る時にスウェットの腕幅が30cmあると大きすぎる。25cm以上あればまあOKかなという感じ。

*着丈

着丈の長さは非常に重要。長すぎると急にパジャマっぽくなるのでそれは避けたい。下に着た白Tの裾が5-6cm出る感じの丈が理想。私の愛用しているPROCLUB(2XL)の着丈が68cmくらいなので、となるとスウェットの着丈が65cmだとやや長い。63cmが理想的な長さ

裾リブを折り曲げて白Tの出具合を調整する方法もある(上のActionBronsonの写真はまさにその着こなし)。あるんだけど、それはそれでパジャマっぽいバイブスが出るのでやりたくない。ということで63cmは死守したい。

*襟(+首リブ)

襟がたわむと一気に清潔感がなくなるので、複数回洗ってもダルダルにならないくらいタイトに詰まった襟であることが重要。首リブの幅は3cmくらいあると安心。

*厚さ(オンス)

服の着こなしに関する美意識について、mid90s~early00sのUS-HIPHOPから受けた影響が大きい人は少なくないと思う。わたしもそのうちの一人なので、理屈抜きで"服のオンスは厚ければ厚いほどいい"という思想が体質化している。

ということで、シルエットにどう影響してるかわからないが、お守りみたいな感じで厚さは10オンス以上欲しい。上述のドレープ具合に影響があるような気もするし、ハードに洗ってもヨレにくいとか、それなりにヘビーオンスの恩恵はある気がするけど、裏付けはなし。ご先祖さまや神仏に感謝する感覚でヘビーオンスに感謝。

*起毛

なるべく着る枚数は少なくてあったかい方が好み。タンクトップ+白T(or白ロンT)+スウェットの3枚くらいがアウターを除いた重ね着の限界なので、スウェットはあったかい方がいい。なので裏起毛はマスト。

ということで、理想のスウェットの要件は以上の6点を満たすもの。
まとめるとこんな感じ。

この6点が私流の極論

上述したように、現時点でマーケットにある商品でこれを満たすものは残念ながら存在しない。私もイチからスウェットを作ったり、メーカー別注品を作ったりしたいが、そんなコネクションもバジェットもない。

なので、やはり既製品をリメイクするという方法で理想のスウェットの具現化をトライしてみます。

実装

*素材選定

先ほど整理した寸法に近い無地ボディを選びます。お店オリジナルのスウェットは単価が高いので、それを買ってリメイクする気にはなれないため、ボディメーカーの製品で検討。要件に近くて、手に入るスウェットで決定分析すると、こんな感じ。

商品軸と評価軸それぞれ1~3で採点して決定分析したシート

どのボディも、肩幅&袖丈を長くすると着丈も異様に長くなってしまう。

デジタルに採点すると一番理想に近いのはPROCLUBの13ozスウェット。CROSS STITCHもいいんだけど、襟が広いのと、リブがこんもりした作り(二本針バインダー始末)になっていて微妙。Camberはもちろんいいんだけど、襟がユルいのと、やっぱ価格が高い(どうやっても1万超える)。UAは思ってたよりも袖幅あったんだけどサイドパネルがあって脇〜胴まわりのドレープが綺麗に出ないので却下。

ということで、白Tシャツ同様PROCLUBに。
いつもありがとうPROCLUB。今回もよろしく。
ではこれをリメイクしていきます。

*リメイク裁縫

要件と照らし合わせると、着丈以外は概ねそのままでよさそう。なので着丈の長さを短くします。

とりあえずyoutubeで"スウェット+丈ツメ+HOW TO"を検索してみたところ、いくつか動画がアップされている。これはイケるわ〜と、動画に倣って久しぶり(小学生以来)にミシンを使ってみることに。家庭科得意だったし、余裕〜と思ってやったけど、全っ然うまくできません。そもそも真っ直ぐ生地を切ることすらできない。カッターで校正紙のトンボ線を切るのは得意なのに、全然勝手が違ぇ〜。

ならもう外注しようと、お直し屋さんを探してみると、そもそもスウェットの丈ツメをやってくれるところがない。手当たり次第TELしてやってくれるところを探してみるも、高い(し、どこも明朗会計じゃない。まあ通常メニューじゃないっぽいので仕方ない)。

自分でやるのも外注するのも嫌になって、1ヶ月くらい放置してボーっと過ごしていたら、別件で知り合った宮ちゃんがミシンができるということを聞きつけ、駆け込み寺的に相談。そしたら「全然できますよ〜」とのこと。それじゃあ、、ということでお願いすることにしました。冬が本格化する前にお願いできてよかった。人との出会いが旅だよネ。

完成

*納品

で、リメイクしてもらった結果がこれ。

いい。着丈の長さ完璧。肩の落ち方が美しい。ドレープもきれい
物撮りだとこんな感じ。雑然と置いても美しいシルエットになるねえ
各箇所の長さは改めてこんな感じ
胴リブにはPROCLUBのタグ

もともとサイドに刺繍されていたPROCLUBのタグは胴裾のリブに付け直してもらいました。既製品のPROCLUBスウェットでこのタグの付き方をしているものはないので、シグネーチャーぽくなってめちゃくちゃ満足。

Photo credit: Yasuaki Okino

街中で着てみるとこんな感じ。シルエットも、裾から見える白Tの幅も完璧。これを求めてました。

上記で掲載している着用写真は、撮影のために作り込んだシルエットではなく、着たらそのままもうこのシルエットになっているという感じ。

私はスウェットに限らず長袖の腕を捲る着こなしが好きじゃない(捲るくらいなら脱ぎたい)ので、屋内で暑くなったら脱いで、寒くなったらor外に出る時に着て、みたいなことをよくやるんだけど、着るたびに鏡の前で裾リブと白Tの調整などをちょこまかやるのが嫌だった(けどそうしないと求めているシルエットにならないのでやっていた)。

でもこのスウェットなら、その調整をやらなくていいのが嬉しい。着れば即完成。

これまでスウェット選びの試行錯誤に投資していた時間とお金を思い出しては「高い自転車買えちゃうじゃん…」と反省してましたが、ようやく報われた気分です。今世のうちに、ここまで自分の理想通りのスウェットを着られるなんて思いませんでした。

ありがとう宮ちゃん。ありがとうPROCLUB。お店のコンセプトを体現してくれるプロダクトになりました。

*販売

ということで、このPROCLUBのリメイクスウェットを上述の服屋で販売します。自分用に加えて余分に数枚作った程度なので数は少ないですが、ご同輩の方、下記から購入できるようになってますので是非チェックしてみてください。

※販売スタートは11/11(金)から。暫しおまちください。

仕入れ時の送料やリメイク費などなどで通常のPROCLUB13ozスウェットより値段は高くなってますが、私がこれまで購入してきたオリジナルスウェットよりは安い価格設定になってます。ピンと来た方、ぜひ。

アウトロ

実は昔、服を作っていたことがありました。社会人1年目だったので2009年くらい。初任給でMacBookPro17inch(デカかった)とAdobe製品とオオヤギミキ氏の本を買って、渋谷のウエマツで作ったシルクスクリーンの版で、ありもののボディ(GILDANに買収される前のanvil)に実家の和室で手刷りしていました。

イベントとかもやったりして自分なりに楽しく、そして頑張ってやってたんだけど、しばらくするとOddFuture周辺のLA若者たちが同じようなことを初めて、認知もセールスもワクワク具合も秒で追い抜かれてしまい。いつの間にかその子たちのグラフィックTシャツを真似したようなデザインをするようになってしまっている自分にげんなりして、服を作ることをやめてしまいました。

それから10年経った今、生活費を稼ぐための仕事で身についたスキルを使って服に向き合ったらどうなるんだろう...という好奇心が湧き、このモチベーションを逃すまいとnoteにドキュメント化してみたところ、"あこれ面白いワ〜”と。

この切り口だったら、ありもののボディにプリントを刷って売る以外の服屋ができるかも、と思って服屋を始めることにしました。扱ってる商品は、ドキュメントで書いた観点に沿って選んだユーズド品と、作り直したリメイク品。一点一点私が試着して、シビアなシルエットチェックを通過した珠玉の服が揃っていますので、ぜひチェックしてね。

IGもやってます。ぜひフォローしてね🧤@logicstorejp

服への偏愛ドキュメントを書くに際して、ファッションに関する書籍を改めて読んでいます。どれも面白いですが、鷲田清一氏には学ぶところが多かったように思います。

氏いわく、"ファッションとはパブリックな人格”とのこと。"他人からたくさんいいねをもらうゲーム”と"自分がどうありたいかを表現するゲーム”を行ったり来たりする"ファッション”という概念を、人格っていう捉え方をするとポジティブに受け入れられるんだな〜と共感しました。まあでもできれば前者からは距離を置き、後者のファッションゲームに積極的にまみれていきたいと思います。

ウチの店で買った服をIGにアップしてもいいねの数はさほど付かないけど、自分らしさの解像度はアップする、、みたいになってくれたら最高です。購入してくれた誰かが服に袖を通した時に、「この服、俺/私っぽいじゃん〜」と思ってもらえることを祈って。合掌。

Appendix

スウェットやパーカーの胴裾から白Tが出てるような着こなしが好きです。この着こなしがかっこいいと思った原体験がなんだったのか気になり、この機会に記憶を遡ってみました。

ミュージックビデオや雑誌のスナップでたくさん目にしてるとは思うものの、最初に見たのは多分2000年代初期に上映された映画『狂気の桜』。本編ではなく舞台挨拶が収録された特典映像に映っていた薗田賢次監督が、まさに上述の着こなしをしていてかっこいいと思ったのが原体験のような気がします。手元にDVDもないし、映画配信サービスでは特典映像は見られないので確認する術がないのですが、ネイビーのパーカーの下から出ている白Tがフレッシュでした。

上記以外に"これが原体験だろう"と思いついた映像があったんだけど、確認してみると全然白Tが出る着こなしをしていませんでした。The ShowのLiveでBring The PainをラップしているメソッドマンNasのGod's Son リリパのMade You Look remixStayのMVのMac Miller、、誰かしらこの着こなしをしていたと記憶していたけど、誰もしていなかった。。この謎の記憶違いは何なんだ。。

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