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都議選各党の公約を比較する③-社会インフラ整備・防災・多摩、島嶼地域対策等-


 都議選における各党の公約について比較検討、3回目の今回は社会インフラ整備、防災、多摩・島嶼地域対策等に対する自民党、公明党、都民ファーストの会、日本共産党、立憲民主党の主要政党の見解を比較検討する。

お断り 

 本来であれば、公平性の観点から全政党、候補者の公約を比較検討をすべきところですが、国政政党かつ都議会に一定の議席を持っている政党、または都議会において多数を占めている政党について比較させていただきました。

 なお、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組については国会に議席があること、生活者ネットワークについては都議会に議席があることを鑑み、今回の最後に公約について掲載をさせていただきます。(①、②で国民民主党が抜けていましたが、国民民主党も追加させていただきます。)

1.社会インフラ整備に関する政策

1-a)自民党

 鉄道網の充実を図るとして、羽田アクセス線などの6路線の他、臨海地下鉄線の早期整備を実現するほか、羽田空港の機能強化、利便性向上を図り、羽田空港を24時間稼働するとしている。また、防災上、景観向上の観点から電柱をなくすとしている。(※1)

 また、Wi-Fiやネット環境整備、デジタルサイネージの設置促進による観光客に優しい街づくりを目指すほか、IT技術を活用した効率的な農業の推進を図り、野菜工場事業を支援するとしている。このほか、5Gアンテナ基地局の設置促進Wi-Fi環境整備を行うとしている。また、行政手続きのすべてをスマートフォンからできるようにし、税金、補助金の申請手続きのオンライン化、キャッシュレス化を進めるとしている。(※2)

1-b) 公明党

 都内の高速道路の料金所7か所(永福など)を順次撤廃するとしている。また、環状七号線の地下に、豪雨に備え国内最大級の地下調節池を設置するとともに、都内9カ所に調節池などを新設するとしている。(※3)

1-c 都民ファーストの会

 交通アクセス線、多摩都市モノレールなど交通ネットワークの着実な整備、民間売却せずに収益性・公益性が両立した築地再開発の推進、中央卸売市場機能の活性化、ビルの屋上など空中空間の活用により、東京の国際競争力を高めるまちづくりを行うとしている。

 このほか、自転車通行空間・駐輪場の整備、鉄道等の公共交通機関の時間差料金制の導入推進を行うほか、市場・水道・下水道・都営交通の経営における民間経営手法の活用を行うとしている。(※4)

1-d) 日本共産党

 住民の反対の強い「都市計画道路」をはじめ、不要不急の大型開発を思い切って見直すとして、「予算組み替え提案」を毎年行い、福祉・くらし充実のための具体的な財源対策を、都民のみなさんに示すとしている。

 また、都心上空を低空飛行する「羽田新ルート」を中止し、東京外かく環状道路(外環)の工事は重大な陥没・空洞事故を起こしたとして中止するほか、東名以南への延伸の検討も中止するとしている。

 このほか、上下水道は都民のライフラインであるとして直営を守り、民間委託拡大や民営化に反対するとしている。(※5)

 住宅整備として、①都営住宅を、4年間で2万戸増設し、②UR住宅や民間賃貸住宅を活用した「借り上げ都営住宅」をつくるほか、③「住居確保支援給付金」を、都独自に、支給期間の制限撤廃、支給上限額の引き上げなど拡充し、継続して実施するとしている。(※6)

1-e) 立憲民主党

 鉄道関係については、西武新宿線など鉄道の連続立体交差事業を推進し、橋梁整備を進め耐震補強など安全性に取り組むとしているほか、交通アクセス線など6路線の整備、都営三田線の全線8両編成化を進めるとしている。東京外郭環状線については、陥没事故の科学的知見に基づく徹底した原因究明と納得のできる再発防止策が講じられるまで国などに工事再開を見合わせることを求めていくとしている。

 空き家問題の未然防止の環境整備、中古住宅の流通活性化を含めた東京都の空き家総合対策を作成することで空き家対策を推進するとしている。

 羽田空港の新飛行ルートについては、固定化を避けるための取り組みを早急かつ具体的に進め、見直しを図るよう国に求めていくとしている。(※7)

2.防災対策

2-a) 自民党

 木造住宅密集地域の「延焼消失ゼロ」を目指し、不燃化の取り組みを大胆に進めるほか、震災時の一時待機場所となる民間建物などの耐震化強化、帰宅困難者対策に取り組む中小企業の物資備蓄をサポートし、首都圏直下型地震への備えを急ピッチで進めるとしている。

 また、地下調節池、河川堤防などの整備を加速化し、ゼロメートル地帯の水門、防潮堤の耐震化、老朽化対策を進め、台風、豪雨対策、高潮に強い街づくりを目指すとしている。(※8)

2-b 公明党

 環状七号線の地下に、豪雨に備え国内最大級の地下調節池を設置するとともに、都内9カ所に調節池などを新設し、豪雨に備えるとしている。(※9)

2-c 都民ファーストの会

 調節池・河川・護岸の着実な整備の推進、東部低地帯等における総合的な浸水対策の強化、水道・下水道の老朽化対策・災害対策の強化などにより、総合的な水害・首都直下地震等への対策の推進を行うとしている。また、防災対策として第一次緊急輸送道路・主要駅周辺等の無電柱化を行うとしている。

 このほか、都有施設の活用・民間とも連携した避難所の拡大、避難所の感染防止資材(マスク・消毒液等)・段ボールベッド・屋内テント等の着実な配備の推進、女性・要配慮者・ペット等に配慮した避難所環境の整備を行うなどスフィア基準に基づく避難所の整備を行うとしている。(※10)

2-d) 日本共産党

 住宅耐震改修助成を、使いやすく、都民と区市の費用負担が軽い制度に拡充し、震災時の「通電火災」を防止するため、住宅への「感震ブレーカー」を無料で設置できるよう全額助成するなどの経費負担の軽減を主張している。

 また、災害時の避難所の数を大幅に増やすとともに、一人あたり面積、あたたかい食事提供など人間としての尊厳を守ることができるよう、国際的な「スフィア基準」にもとづいて質の充実を進めるほか、障害者や介護を必要とする高齢者が身近な地域で、適切なケアを受けて避難できるよう「福祉避難所」を増設・拡充するとしている。(※11)

2-e) 立憲民主党

 広域的災害に対して、国、周辺自治体、市区町村と連携し、防災体制を構築するとしている。特に江東5区など大規模水害対策として都営住宅などの公共施設、ホテルなどと協定を結び垂直避難場所を確保するとしている。また、総合的な治水対策を着実に進め、緊急豪雨対策の一環として一時貯留施設の設置を行うとしている。鉄道駅の安全対策として鉄道施設耐震対策事業、地下駅など浸水対策事業を実施するとし、荒川氾濫時に浸水が予想される都営地下鉄駅21駅について対策を強化するとしている。

 また、災害批判場所の小中学校の体育館の空調施設整備を推進するほか、トイレの洋式化、ラップ型簡易トイレの備蓄を進め、避難場所での衛生環境確保を進めるとしている。(※12)

3.多摩・島しょ政策

3-a) 自民党

 多摩・島嶼政策について、多摩地域には高齢者医療の拠点を設定するほか、中央線の複々線化、多摩都市モノレールの延長で交通網を充実させるほか、多摩地域の観光振興を強化するとしている。また、島嶼地域についてはエコツーリズムによる観光振興を行い、護岸、港湾、空港など万全の防災対策を行うとしている。(※13)

3-c) 都民ファーストの会

 全体として、市町村総合交付金の更なる増額を通じた行政サービスの向上を行うとしている。

 多摩地域に対しては、東京都立大学の強化を行い、多摩都市モノレール・南北・東西道路・デマンド交通など交通ネットワークの強化、立川防災センターの機能強化、多摩メディカルキャンパスの再構築を通じた多摩地域の医療向上などを行うとしている。

 島嶼においては、八丈島を拠点とした東京消防庁ヘリコプターによる救急搬送体制の確立、交通アクセスの向上、定住促進などを行うとしている。(※14)

3-d) 日本共産党

 「多摩格差解消」を都政の重点課題に位置づけて、取り組みを強化するとして、「市町村総合交付金」の増額・拡充をはじめ、市町村に対する財政支援の強化、島しょの住民が、島しょ地域外の医療機関に通院するためにかかる交通費・宿泊費等に対する補助を行うとしている。(※15)

3-e) 立憲民主党

 多摩の振興を図るため、大学の立地特性を活かすなどして多摩ならではの産業振興を図り、サテライトオフィスの設置支援など職住が近接するまちづくりを進めるとしている。また、立川、八王子をはじめ地域の拠点づくりを支援し、利用者の事前予約に応じてルートや運行時間を決めるデマンド交通の取り組みを多摩地域で率先して進めるとしている。(※16)

 以上、社会インフラ、防災、多摩・島しょ政策に関する各党の政策を非か検討した。このほかにも様々な政策があるが、それについては各党の公約をご覧いただきたい。最後に日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、生活者ネットワークの都議選での公約をここに掲載して終わりたい。

日本維新の会(東京維新の会)2021 都議選マニフェスト~『コロナ敗戦』から立ち上がる 維新八策~ 

国民民主党

れいわ新選組 東京都・れいわの政策2021

2021東京都議会議員選挙政策:第1次政策


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(※1)  自民党都議選公約 「命を守る。東京を動かす。」

「8 高機能×安全=都市の活力」P18

「11 世界有数の観光都市へ 早期回復」P24

(※2) (※1) 前掲 自民党都議選公約 「命を守る。東京を動かす。」

「11 世界有数の観光都市へ 早期回復」P24

「12 農業×林業×水産=生きる活力」P26

「16 Society5.0は、東京の未来」P34

(※3)  公明党都議選公約(政策目標 チャレンジ8)

(※4) 都民ファーストの会都議選公約「都民ファーストの会政策集2021」

(公約) P38 「13 都市機能の強化:「人」中心のまちづくり」

(※5) 「2021都議選 訴えと重点公約」

3.日本共産党の重点公約

[4]大企業のもうけ優先の政策を転換し、持続可能な東京に

「①不要不急の大型開発などの見直しで、福祉・くらしの財源を確保」

「②「3つの大問題」をきっぱり中止」「③上下水道は直営を守る」

(※6) (※5)前掲 「2021都議選 訴えと重点公約」

3.日本共産党の重点公約

[3]貧困・格差を是正し、ケアに手厚い東京に

「⑥ 住まいの確保を、都民の権利として保障」

(※7) 立憲民主党 都議選政策2021完全版 

7.まちづくりの推進と地域産業の支援 

7-①「都市基盤の整備とまちづくりの推進」

(※8) (※1) 前掲 自民党都議選公約 「命を守る。東京を動かす。」

「3 災害から都民を守る東京」P8

(※9) (※3) 前掲 公明党都議選公約(政策目標 チャレンジ8)

(※10) 前掲 (※4)「2021都議選 訴えと重点公約」

「12 防災・安全保障:都民の命を守り抜く防災・国防」P36

(※11) (※5)前掲 「2021都議選 訴えと重点公約」

3.日本共産党の重点公約

[4]大企業のもうけ優先の政策を転換し、持続可能な東京に

「⑤首都直下地震、激じん化する風水害から都民の生命・財産を守る」

(※12) 前掲(※7) 立憲民主党 都議選政策2021完全版 

6.災害と犯罪から都民を守る 

6-①「総合的な防災対策、防災まちづくりの推進、東日本大震災をはじめとする災害からの復興に全力」

(※13) (※1) 前掲 自民党都議選公約 「命を守る。東京を動かす。」

「11 世界有数の観光都市へ 早期回復」P24、「15 多摩・島しょは、東京の宝」P32

(※14) (※5) 前掲 都民ファーストの会都議選公約「都民ファーストの会政策集2021」

(公約) 「14 多摩・島しょ振興:世界から選ばれる多摩・宝島」P40

(※15) 前掲 (※7)「2021都議選 訴えと重点公約」

[3]貧困・格差を是正し、ケアに手厚い東京に

「⑨多摩格差解消、多摩・島しょ振興を推進」

(※16) 前掲(※7) 立憲民主党 都議選政策2021完全版

9.行財政改革と税金の無駄づかいの打破、真の情報公開

9-③ 分権改革の推進と地域の振興

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