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影二つ 【超短編小説】

資産家の入婿が温泉芸者と親しくなりやがて入婿は家を追放される。男は女を背負って海に入りそのまま沖に歩いて行って心中する。海辺でドラマのこのシーンを思い出すぼくの隣にはさっき駅のベンチで知り合ったぼくの孫ほどの年格好の少女がいる。こんな寂しい海岸に寂しい独りの影が二つ並んだのは偶然だろうか。

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