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いいお声 【童話】

ある日のこと、おしゃかさまが人々の前でお話を始めると、あちらこちらからさまざまな生き物が集まってきました。
そして口々にそれぞれの鳴き声をあげました。
ワンワン、ミュウミュウ、キャッキャッ。
そこでおしゃかさまのお弟子のもんじゅさまが言いました。
「みなさん、おしゃかさまのお声はいいお声だ、と言っているのですね?」
生き物たちは「そうだ」と言うかのように鳴きました。
もんじゅさまは言いました。
「たとえおしゃかさまのお話の意味はわからなくても、いいお声だと言って喜ぶだけで、みなさんはおしゃかさまの子どもなのですよ」
生き物たちがうれしそうに鳴くと、大きく開いたそれぞれの丸い口から白い光がさしました。

おしまい。


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