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兎がほざく

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ショート•エッセイ、140字以内。毎日投稿、どこまで続く?
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2023年1月の記事一覧

兎がほざく669

兎がほざく669

日本の古代の人の心になってみようと、神社の名前や古い地名から思い浮かぶものを追っています。

個人の倫理を問うタイプの世界観ではなく、短い単語で自然の不思議な力を語るタイプの世界観。

たとえば太陽、月、鮫、亀、鹿、狼。

干し飯がほどけるように語りかけてきます。

兎がほざく668

兎がほざく668

SNSは枕元のスマホで知らない人と話す道具です。

そこには人による距離の違いがありません。

フォロワーさんで家族より自分のことを知っていそうな人も、人を傷つけようとする人も同じ枕元に現れます。

便利なようで不便なものです。

改めてこのことを深く考えています。

兎がほざく667

兎がほざく667

絵は出会った瞬間に感じるものが必ずあります。

解説を読んだりする前に。

絵の細部を拡大したり、三次元化したり、今はいろんな手段で解剖できるのですが、その前に。

タイトルは絵が鑑賞者にかける声として出会いを助けます。

洋服に出会うように出会えばいいのだと思います。

兎がほざく666

兎がほざく666

人と合わせるいい人よりも、なにかに抵抗している人の方が魅力があると思います。

自分の人生を大事にするということはそれを否定するものに抵抗することです。

自分を道具にする人への抵抗、誘惑への抵抗、死への抵抗。

愛が素晴らしく見えるのは不可能への抵抗だからです。

兎がほざく665

兎がほざく665

今幸福ですか?とアンケートをとったとします。

はいと答える人が60%の世の中と40%の世の中とでは前者がよりよいということになっています。

でもよく考えると分からなくなります。

いいえの悲惨さが大事なのではないか?とか。

つらい人には合算に何の意味があるのか?とか。

兎がほざく664

兎がほざく664

あなたのこともぼくのことも、人に言わないことを含めて全部わかっているもの。

それは言葉です。

全ては言葉のクラウドの中に必ずあるからです。

他人の心がわかると言うのは自分には無理ですが言葉には許されます。

言葉はいつも黙って聞き役をつとめているのでしょう。

兎がほざく663

兎がほざく663

自宅でイソヒヨドリの声が聞こえることがあります。

トレモロを伴う高音の速いメロディーを一段高い声で短く締めくくります。

朝起きてこの声が聞こえる時は心に懸かる雲を他愛なく忘れています。

ぼくの手で触れられないのもまるで片想いの相手のようです。

兎がほざく662

兎がほざく662

ビジネス街で立派な黒塗の車の後部座席から浅黒いカジュアルの服装の男が降りてきました。

そして運転席の若い男に呼び捨てで用事を言いつけるとすぐ前のラーメン店で自販機に百円玉を突っ込みました。

起業に成功した長者のようでした。

車がなければそうとわかりません。

兎がほざく661

兎がほざく661

遊ぶということは大人になるとそれほど簡単にできなくなると思います。

人に機嫌をとってもらおうとしないで、人といっしょに、または独りで楽しく時を過ごすこと。

子供が自然にやっていることが大人になるとむずかしくなります。

それは真剣に遊ぼうとしなくなるからです。

兎がほざく660

兎がほざく660

商売の世界では目の前の一人のお客さんを大事にするようにと言われます。

それは口コミで評判が広がるからだけではないのです。

一人のお客さんの心が動くということはたくさんのお客さんの心が動く可能性を手応えとして確かめられるのです。

物書きにも通じる話だと思います。

兎がほざく659

兎がほざく659

忘れてしまいたいことやどうしようもない悲しさはぼくにだってあります。

ぼくはお酒を飲めないので紛らせる術は特にありません。

たとえ飲んで静かに眠っても翌朝それらは枕元で待っているでしょう。

それらは自分の一部だからなのです。

お早う、ぼくの悲しみ!

兎がほざく658

兎がほざく658

売出中の歌手が文化祭の準備のように徹夜で粘度細工やTシャツの印刷をしているという投稿を見ました。

友達の芸術家のためのボランティアです。

たぶん人気の核心がわかっているみたいです。

世の中は上手な歌やかっこいいビジュアルより、楽しんでいる一人の人を求めているのです。

兎がほざく657

兎がほざく657

文芸も芸という字が入っている通り、芸なのです。

落語や講談や漫談は同業です。

芸になるように自分の心を露出するのです。

文豪は先生と呼ばれますが本当は師匠と呼ぶのがいいとさえ思います。

もちろん芸を売るのは立派な正業です。

でもぼくは芸を売る工夫が下手です。

兎がほざく656

兎がほざく656

滅私奉公なんて嘘です。
どこかに自己満足があるのです。
それでいいのです。
自己満足はないという嘘がいけないのです。

見返りを求めない愛も嘘です。
かみさまも私たちの愛をお求めになります。

誰だっておなかいっぱいになって笑いあって過ごしていいのです。