【映画感想】仄暗い水の底から
YouTubeで無料公開されていた「仄暗い水の底から」という映画を見ました。2週間限定で無料公開されているらしいです。8/16から公開されているので8/30までは見られそう。
ポスター画像もタイトルもどこかで見たことがあるものでしたが、2002年公開だったということに驚きました。そして黒木瞳が主人公でこれまたびっくり。
ちなみにホラーは苦手ですが怖いもの見たさで見るタイプなので、基本ながら見しています。
ネタバレ多分に含みますので、気になる方はブラウザバックでお願いします。
意外とすぐ怪奇現象が起きる
夫(小日向文世)と離婚調停中の淑美。娘・郁子の親権争い中で、安定した生活を送っているということを証明するために娘と2人で住む部屋を探している最中。
演出というのもあると思いますが、雨が降っているからか映像自体が結構薄暗い。団地がものすごく不気味に見えます。
最初に内見していたらしい夫婦が足早に去っていく後ろ姿にめちゃくちゃ食い下がる不動産屋を見て、既に何か変なことが起きているのでは?と思い始める私。
その不動産屋に案内されてエレベーターに乗り込むと後ろから子供に手を繋がれる淑美。
当然娘だと思い手を握り返していたが、エレベーターが着いた瞬間、娘の郁子はあっというまに駆け出していく。このとき淑美を後ろから撮影している画角になるのですが、郁子は淑美の斜め前に立っている状態。ということは後ろから手を繋がれるはずはない。振り向いても誰もいない…
今の幽霊じゃん!こんな早く出てくるの!?とびっくり。冒頭10分くらいの出来事。
たびたび戻ってくる赤い鞄
屋上で赤い鞄を見つける郁子。
肩から鞄をさげてルンルンしてますが、当然拾ったものなので管理人に渡す淑美。ただし子供は郁子以外いないと言われてしまう。
郁子というか、この母娘が狙われていそうな感じが漂ってきます。
そして鞄の中身を全部出して、良かったねと言いながら郁子にあげようとする管理人。そんなことしなくていいし気味悪いしいらないわ!って思う。
後々、この鞄がごみ箱に捨てられているから回収されたはずと思いきやまた屋上に落ちていたりと、「物」がキーになるホラーにあるようなことが起きます。こういうのって地味に怖い。
水が気味悪く思えてくる
淑美と郁子の住んでいる部屋は雨漏りが酷く、天井には大きなシミができてしまう状態だったり、水を飲もうと蛇口をひねると髪の毛が混じっていたりと気味の悪いことが起こります。
この水道水に髪の毛が混じるような描写って、リングか何かにもあったような気がするので、あえて入れたのかなと思ったり。
この「水」が関係してくるのは、赤い鞄の持ち主である美津子ちゃんがたまたま空いている貯水タンクの中に落ちてしまったから、というものなんですが、そうするとこの団地に供給されている水って…という恐怖。詳しく知らないのであれですが、失踪した時点で貯水タンクに落ちたかもっていうことでタンクの中を確認したりはしないものなんでしょうか…
最後のほうで、エレベーターの中から水が滝のようにバシャア!っと出てくるシーンがあったのですが、思わず「シャイニングか!」と叫んでしまいました。オマージュしてるんでしょうか。
最終的には親子愛の話
母を求めた子供。子供を守るために犠牲になる母親。
普段、郁ちゃんと呼んでいる淑美が子供を巻き込まないよう引き留めるシーンで郁子と叫ぶのが印象的でした。そのあとに、美津子に「私がママよ」と言って美津子を抱きしめる。なんとなく郁子もこれでお別れなんだろうというのを悟った顔をしているのが悲しい。
淑美は郁子を守るために美津子と一緒に団地に残ることを選んだけれど、ラストで少しだけでも会話ができて良かった。
個人的にはホラーでよくある大きい音でびっくりさせる系の演出が苦手なのですが、この映画はそれがほとんど無かったので良かったです。
たぶん美津子はまともに捜索もされていなさそうな感じで、ちゃんと供養もされていないだろうし、なんなら両親からも見捨てられていそうな感じ。寂しさゆえに母親を求めたんだろうけど、その代わり郁子は母親を失ってしまったと思うと、美津子ちゃんかわいそうだねえとはできないなというところ。
水が関係しているし、じめっとしたJホラーなので梅雨時に見るともっと怖く感じそうです。
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