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【戦略編②】M&Aノウハウ!会社を売却した起業家が売り方をすべてを伝えます

今回は一番相談が多いM&A戦略についてまとめます。
特に買う側ではなく売り側目線で会社売却の話になります。

僕自身、人材会社を起業して同業の上場企業へ売却しているので、その経験を元に何をどう考えてきたかをまとめますね。
※機密保持情報もあるので個別具体的な情報は差し控えます。


M&Aの統計

まずイグジットの一つとしてM&Aがありますが、件数としては年間4,500件前後みたいです。
IPOが100件ちょいだとしたらイグジットをしたい起業家からしたら数が多く狙いやすいと言えるでしょう。
公表していないM&Aを想定したら年間1万件はありそうですね。

売るためのM&A戦略で考えるべきこと

会社売却を狙う際に考えておくことをまとめます。
まず会社を売るというのは経営の中で一番重要な決断になります。
これまでコミットしてきた時間、そして考え抜いて来た戦略、心を込めて口説いた仲間、心血を注いで作っていた決算書と離れることになります。

そのため会社を売るというのは、あなた起業家人生を売ると同じになるのでかなり慎重に動きましょう。

なぜ売るのか?

まず考えるのはなぜ売るか?を深堀りしてください。
どう売るか?よりも、売った後に何をするか?の方が大事です。
これがないと売った後に未練タラタラになったり、何もやることがなく鬱になる起業家も見てきました。

下記の考えの方が多いので内省の参考にしてください。
・シナジーがある会社でもっと事業を伸ばしたい
・株主からのイグジットプレッシャーがある
・まとまったお金で安定した生活をしたい
・次の起業のために資金とシリアルアントレプレナーの肩書が欲しい
・自分の特性がゼロイチのタイプで1→10は得意じゃないから任せたい
・正直疲れた。今の事業が伸び悩んできて他の事業をしていきたい。

どこに売るか?

売ることを決めたら、次に考えるのはどこに売るか?です。
◯◯億円で売りたいです!という話を多く聞きますが、いくらで売れるかはどこに売るかで金額が変わります。

なので、まずは売れそうな会社、狙いたい会社をリストアップすることをおすすめします。
例えばこんな感じで縦に会社名、横に検討する条件を書いて数字で重み付けをするとスッキリしますよ。
点数が高いところから攻めるとか色々戦略練れます。

いくらで売るのか?

それであなたの会社がいくらで売れるかの相場感はざっくり把握をしてください。
計算方法としてはDCF法とマルチプル法などありますし、金額は事業内容でかなり振れ幅もありますが下記が一般的と言われています。
これは自社に合った計算をして欲しいので専門家やM&A経験者に相談をするのがおすすめです。
※金額は交渉で全然変わるのでホントに参考までに。

  • 純資産(時価)+営業利益(3~7年分)

  • 時価評価後の資産から時価評価後の負債を控除した金額に、3年分程度の期待収益を加えた金額

例:
純資産: 1億円
営業利益(年平均): 2,000万円
期待収益(3年分): 2,000万円 × 3 = 6,000万円

■最終評価額
最終評価額 = 純資産 + 期待収益
最終評価額 = 1億円 + 6,000万円 = 1億6,000万円

実は僕はこれ以外の計算も加味しているので、どのような計算したかは個別に伝えるので連絡ください。

仲介会社を使うメリット・デメリット

M&A仲介会社を使うかどうかはメリデメがあります。
結論、僕は知り合いの会社に売ったので仲介会社を使わなかったのですが、仲介会社経由した方が会社をよく見せてくれたりもして金額が上がりそうとも感じました。
ただ、細かい交渉ができない+知らない会社だと売った後のシナジーに不安があったりします。

なので、僕の意見としては取引先や事業連携している会社や、起業家先輩の会社は話も早いし交渉も楽なのでおすすめです。

M&Aの進め方

続いて売却までの進め方になります。
僕の進め方は下記のような形でした。

候補社選定と交渉

デューデリが始まるまでは複数社にあたれるので、売りたいという意思表示をして必ず1社ではなく複数社に話に行ってください。

NDAを結んで、財務諸表を出せばざっくりな金額が出てくるので交渉しましょう。
交渉内容は金額やロックアップあるかなしかなどあるので、漏れ無く詰めてください。
ちなみに僕は引き継ぎサポートはありましたが、ロックアップ無しで交渉してます。

意向表明

話が進むと買い手企業が売り手企業に対して事業の譲り受けや会社買収の意思を示すために提出する意向証明書を発行してもらいます。

ここに事業シナジーとか金額やクロージングまでのスケジュール感が書かれています。
これに同意したらデューデリが終わるまでは他の企業とは交渉ができなくなるので注意です。

デューデリジェンス

買い手企業から士業の専門家が来て、あなたの会社の隅々まで調査されます。
事業概要から、法務リスク、人事労務リスクなど幅広く資料の提出が必要になります。

僕は上場企業に売却をしたのですが、非上場企業の場合だとちょっと変わるかもです。

クロージング着金

デューデリが終わり問題なければクロージングになります。
僕の場合、トップ同士の口頭合意してからクロージングまで6ヶ月ほどかかりました。

リスクとして考えておくこと

会社を売却してみてリスクとして感じたことをまとめます。

破断する可能性はある

当たり前ですが、破断する可能性は全然あります。
買い手からするとデューデリで想定外のリスクが発見されたとか、外部環境が変わり資金を準備できなくなったなど、買わない理由がゴロゴロ出てきます。

僕もクロージングまで6ヶ月ほどかかったので、途中で外部環境が変わりやっぱり買いませんと言われるリスクは考えていました。
意向表明から後は1社としか交渉できなくなるので、破断したらまた別会社と意向表明からやり直しになります。

その間の事業のモチベーションをどう保つかを考えておくのをおすすめです。

社内のハレーション

社員がおらずスモールM&Aなら気にする必要はありませんが、
そこそこ大きな売却を狙うなら社内にも目を向けることが必要です。

と言うのもこれまで頑張ってきた社員からすると会社売却は寝耳に水の話です。
両手を広げて「やった!」というかは、「これまで信じてきたのに。。」というマイナスになる声が多いことでしょう。

なので、社員にどのようなコミュニケーションを取るかが、売却後にスムーズな引き継ぎをするために大事なわけです。

ちなみにいつ社員に話すかは、クロージングしたその日に話すか、売却前に話すがありますが、僕は売却前話しました。
これまで頑張ってきた社員が今後もスムーズに仕事ができるようにサポートしたかったし、何より僕が会社売却を決めたらなら隠さず正直に伝えることが大事だと考えました。

ここも社員との関係性もあるし、いつ話していいかは買い手との相談あるので一概に決められませんが、仲間や社員がいるなら是非サポートを考えてください。

※補足:これから会社売却狙いで起業する方へ

これから起業する方向けですが、創業時から売却狙いで起業するのも全然ありだと思います。
が、会社売却狙うのに社員に株を渡さずに自分100%の起業家に優秀な人材が集まるのは見たことがありません。
理由は下記でまとめたように、起業は所詮あなたのエゴであり利己的な考えはすぐにバレます。
特に優秀な人材ほどすぐに見抜くので、いくら表向きに素晴らしいビジョンを語ったとしてもあなたに見向きをしません。
で結果成長できず会社売却も見向きもされず僕に相談が来る方がいらっしゃいます。

なので創業時から売却狙いで起業するなら下記がおすすめです。
・社員を雇わず業務委託で会社を売る※スモールM&Aになりがちで良ければ
・社員にも株を渡すなり報酬を還元出来る仕組みにする

最後に

繰り返しですが、会社を売るというのは経営の中で一番重要な決断になるので慎重になりましょう。
また、選択肢として会社売却ではなく事業売却の方向もあるので、事業状況で柔軟に考えてみるのもおすすめです。

僕は幸せなM&Aだったので少しでも同じように会社売却を考えている方の力になれればと考えています。
経験シェアは出来るので、何かあれば下記に連絡ください。utakoya.kuma@gmail.com

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