
デザイナーが考えたオンボーディングプロジェクトが全社展開された話
“この記事は事業会社で働くデザイナーを中心としたコミュニティ「InHouseDesignersのアドベントカレンダー」18日目の記事です。”
はじめまして、弁護士ドットコムでデザイナーをしている青木です。
2017年10月に弁護士ドットコムへ転職し、現在は弁護士向けのプロダクト開発を行っています。
今回はデザイン部で取り組んでいる新入社員向けの「オンボーディングの仕組みづくり」についてお話させていただきます。
「オンボーディングプロジェクト」が生まれた背景
2018年の12月にデザイン部の振り返り会を行いました。
そこでいくつか上がった課題の中に「入社したメンバーのフォロー・オンボーディングサポートが必要」ということがみえてきました。
当日の振り返りの様子は下記の記事にまとまっています。
デザイン部が抱えていたオンボーディングの課題
当時のデザイン部は採用を強化していたこともあり、急速にメンバーが増えていました。新しく入ったメンバーのほとんどはプロジェクトチームに1人デザイナーとしてアサインされました。
弊社の提供するサービス「弁護士ドットコム」に関わっているデザイナーは、デザイナーが全員所属するデザイン部とそれぞれのプロジェクトチームに所属しています。
プロジェクト単位でコミュニケーションをとる時間が長いため、デザイナー同士の横のつながりがどうしても薄くなっていました。
入社したばかりの人は、デザイン部のメンバーと関係構築もできていないため、困ったことがあってもなかなか相談できず心細い思いをしていたと思います。
そこで、入社したメンバーがスムーズに業務や周囲の人に溶け込むことで、もっと早くバリューを出せるのではないかと思い、オンボーディングの仕組みを作りたいと思いました。
サポートするメンバーの負担を考慮したプランニング
まずは、オンボーディングプロジェクトのゴールを検討し下記の内容を設定しました。
入社した方
- 【やる】不安がなく業務できる
- 【やる】困ったことがあっても安心して周囲にサポートを仰げる
既存のメンバー
- 【やれたら嬉しい】マネージャーの負担削減
- 【やれたら嬉しい】弁護士ドットコムの業務キャッチアップ時間の短縮
- 【やれたら嬉しい】入社された方が本来持つパフォーマンスが発揮、業務へコミットできる
- (本人がバリュー出したいという気持ちがあるので寄り添う)
今の自分たちで「やること」「やれたら嬉しいこと」の2軸にわけ、まずは「やること」にフォーカスして取り組みをはじめました。
急速にメンバー増えていたこともあり、一緒に働くメンバーのほとんど全員がペルソナになりました。そのため、入社当時の状況を振り返ってもらいながらアンケート形式で課題の抽出を行いました。
実際のアンケートで聞いた内容
・業務面で困ったことはなんですか?
・その他、困ったということがあれば教えてください
・実際に入社時にあってよかったものはなんですか?
・当時あったら嬉しかったサポートはありますか?
アンケートをとってみると、良い内容からネガティブなものまで様々ありました。
アンケート結果(一部)
・困ってないなあ。だいたい〇〇さんが教えてくれた!
・とりあえず、この人に聞け!って人が居ない。一人心細い
・なんかみんなこわい
・「さきに教えてくれればこんな時間かかんなかったのに」みたいなことがよくあった
・窓口になってくれるサポーター役の人がわかっていると嬉しい(決まってないと、なんでもかんでもこの人に聞いてしまって申し訳ないなという気持ちになる)
上記の結果を踏まえ、新入社員の人にマネージャーとは別に支援をする人として「サポーター」を置くことにしました。
サポーターは新入社員のオンボーディングのためだけではなく、新入社員をサポートする側もサポートすることを通して一緒に成長していけるといいなと思い、心構えとルールを決めました。
また、サポートする側の負担が増え過ぎないように、入社時にサポーターが必ずやることは2つにしぼり、サポートする期間も決めました。
ここまでの仕組みを作るのには毎週1時間MTGを行い、約2.5ヶ月程で形になりました。この仕組みを「サポーター制度」と名付けました。
2019年3月に新たなメンバーが増えたタイミングで、サポーター制度をはじめました。
新たなメンバーもすぐに活躍できる環境に
実際にやってみると、思っていたほどサポーター側の負担も多くなく、ちょっとした相談ごと程度で済んでいました。また、実際にサポートを受けた新入社員にアンケートをとってみると下記のようなフィードバックをもらうことができ、当初やりたかった目的を達成することができました。
・みなさんまめに声かけてくださるなかでも、「ちょっとしたことを聞いても大丈夫」という人が公式にいるのは安心感があります!
・大勢の集まりのときに、会話に入れなくて困っていないか様子を見に来てくれて、普段の業務で接点がないと最初アウェイなので、文字通りサポートしていただけたのはとても心強さがありました!
・入社日にウェルカムキットが机の上においてあって感動しました。入社後の最初の印象がとても好印象だったので、会社に入ってよかったなと思えた。頻繁に声かけもしていただけて、メンバーの一員として入りやすかったです!
成功体験を元にオンボーディングプロジェクトを更に進化させました
最初に設定したゴールを達成したため、新たなゴールを決めて強化していくことにしました。
そこで行った取り組みとしては以下の通りです。
・入社時体験を更により良くするためにウェルカムキットを作成
・キャッチアップ期間を短縮するために社内のドキュメントを整理
ここまでがデザイン部の中で行ったオンボーディングの仕組みづくりです。
デザイン組織を超えてエンジニア組織へ横展開
デザイン部での成功事例を元に、デザイナーだけではなくすべての部署で同じようなオンボーディングができればと思い、まずは普段一緒に働くことの多いエンジニア組織への横展開を試みました。
まずはエンジニア組織のマネージャーに協力してもらえるか声をかけ、協力できる関係を構築しました。デザイナー組織と同様にチームメンバーひとりひとりに参加してもらいたかったこともあり、エンジニアマネージャーの協力を得て、Slackで一緒にやってくれるメンバーを募りました。
集まってくれたメンバーにまずデザイナーでやったことを共有し、エンジニア視点でのフィードバックをもらいながら一緒に課題整理をしていきました。
想像以上にメンバーが集まったことと、偶然にも2週間後には新しいエンジニアの入社が重なり、プロジェクトは一気に進みました。
こつこつとボトムアップからスタートして進めてきたプロジェクトが全社総会で表彰され、ついに全社展開することに!
現在は、全社展開に向けて人事の方々と協力して進めています。
もともとはデザイン部だけの小さな取り組みでしたが、オンボーディングプロジェクトが全社でも評価を得ることができ約1年で全社展開までもっていくことができました。
表彰の様子は下記の記事にまとまっています。
以前、弁護士ドットコムでマネージャをしていた金子さんが「チームメンバーというのは一番近くにいるユーザー」とよく言っていました。毎日一緒に働くメンバーの環境を改善することができたのは、デザイナーならではの視点を活かして取り組んだからだと思います。
2020年もデザイナー視点でできる課題解決に向けて頑張っていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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