東大京大新高3総合方針(1~3月編)

こんばんは。ぜんこうです。いよいよ受験まで一年に迫ろうとしているわけですが、勉強の調子はどうでしょうか。今回の記事は高2生に今年度が終わるまでにはやっておいて欲しい事を、説明を加えて自分なりにまとめました。理由は簡単、方向性を見失って土台がきっちり出来上がらないまま高3生になってしまったり、同日模試のためにとか言ってドーピング的に身の丈に合わない発展問題演習をやりだす人を減らすためです。見やすさも考慮し、各科目の最初にチェックリスト的な物を作りました。ただ、勘違いしないで頂きたいのは、ここに上げたのはあくまで最低限の基準です。これが出来なければかなり不味いと思ってください。

「高3に英数国の暗記を持ち込まない」が鉄則です。

このnoteで日本史以外の科目を扱うのは何気に初めてかもしれません。

理系の方は、ポジハメ(@kgskeiouts)の記事をご覧ください。また文系の方も、英語は両方に目を通してもらえるといいと思います。

数学(文系)

✓青茶/フォーカスゴールド等で基本的な解法は身につける
✓一対一対応やハイ完程度のある程度のレベルの問題演習は済んでいる

チェックポイントは理系と同じです。特に前者は必ずやっておいてください。こういうことを言うと「数学は暗記なんですか?」とか言われそうですが、青チャレベルのものは持っておくべき「カタ」です。類題が出たら解ける・他のカタと組み合わせて使える、というくらいまで理解しておいてください。ですから「まだ身につけていない、時間もない...」という方は、問題を解かずに、例題を解いて理解するだけでも結構です。
また後者に関してですが、これは、「プラチカ・過去問一歩手前」のものです。大事なのは問題集の名前ではなく、「先述した『カタ』を使える形で身につけているか、初見問題を用いての確認」です。同レベルの問題集が何かについては、ポジハメに聞いてください。

英語

✓二次試験長文読解で問題ない程度には単語・熟語を覚えている
✓文法を理解し、ネクステ等の網羅系教材での定着が済んでいる
✓あらかた精読の勉強は済んでおり、東大二次レベルの初見の文章でも大体はきちんと構文を取り、きちんとした日本語に直せる(スピードは遅くても良い)
✓基本的なパラグラフリーディングの技術を使いこなせる
✓基本的な例文は暗記し、自在に書くことが出来る

これもチェックポイントはポジハメのものをそのまま使いました。説明は自分の言葉で書くので、両方見ていただければと思います。
一番大事なのは、
✓二次試験長文読解で問題ない程度には単語・熟語を覚えている
✓文法を理解し、ネクステ等の網羅系教材での定着が済んでいる

の二つです。ここにチェックがつかない人は、3つ目以降のチェックポイントより、これらにチェックを付けることを重視してください。文構造や単語が取れない状態で精読、パラグラフリーディング、ライティングは不可能です。
単語・熟語については、「とにかく覚えてください」と言うしかないです。個人的には、シス単で土台を作ってから鉄壁で肉付けするというルートを推奨しています。現時点でさすがにある程度単語は入っていると思うので、まずはその単語帳を完璧にしてください。余裕があったら鉄壁をやるとさらに盤石になるでしょう。覚えやすくなるための若干の工夫としては、「トリガーを多く作ること」です。英作文の模範解答に出てきたから覚えやすくなった、語源を知って覚えやすくなった、ある単語との派生関係を知って覚えやすくなった等々...単語の知識は単語帳からのみ取り入れるものではありません。
次にネクステに関してです。「東大志望でもネクステをやる必要はありますか?」という質問が入試研に来ますが、当然です。ネクステを、センター試験の大問2など文法問題の対策問題集だと思っている方が一定数いらっしゃるようですが、英語を読むためにはネクステくらいの文法知識は必要です。しっかりした文法知識がないとライティングで特に困ることになります。(そういう意味で、センター試験大問2の存在は、文法知識をつけるためのきっかけとしてかなりの効果を発揮していたと思うのです。)
もちろんネクステは文法知識をつけるための手段ですから、「ネクステを終わらせた」で終わりにならないように注意して欲しいと思います。

さて、やっと3つめのチェックポイントの方に行けますね。
✓あらかた精読の勉強は済んでおり、東大二次レベルの初見の文章でも大体はきちんと構文を取り、きちんとした日本語に直せる(スピードは遅くても良い)
✓基本的なパラグラフリーディングの技術を使いこなせる

まずはこの二つです。前者は精読=ミクロの視点、後者はパラグラフ把握=マクロの視点、です。精読はSVO、並列関係、修飾関係などが取れること。英文を読む際の基本になります。英文和訳や、文法上の間違いを訂正する問題で得点に直結します。パラグラフ把握は、「主張→具体例」のようなパラグラフの作り方、パラグラフ間の関係、「1 paragraph,1 idea」など鉄則となる知識などです。ある程度長い文章を読む際、迷走しないために必要となるのがこの能力です。要約問題、適文挿入問題、段落挿入問題などで得点に直結します。
精読については、文章を読む際に「なんとか意味は取れるけどモヤモヤする」ところを捨て置かずに、ちゃんと構造を取る、といったことの積み重ねでできるようになっていきます。英文解釈系の教材にがっつり取り組んでもいいです。
(以下の東大英語に関する記述は、補足です。これに関しては高3に上がるまでにできている必要は必ずしもありません。)そして東大で大事になるのが、これらの使い分けです。東大英語は、大問ごとに求められる力が違います。

(宮崎尊先生の分類による)大問1→段落問題(論述の構造)、大問2→作文問題(英語的発想、英語の構造)、大問3→リスニング(論述の構造)、大問4→精読問題(英語の構造)、大問5→長文問題(英語的発想)
参考:『東大英語総講義』(東進ブックス)と講義テキスト

大問1で精読なんかやっていたら到底時間は足りませんし、大問3は、ただキーワードを聞き流すより、段落構造の把握をした方が解きやすいです。
東大志望の皆さんには、なるべく早くこうしたことを体感していただき、精読(ミクロ)と段落(マクロ)の二刀流と使い分け(重点の置き方)がちゃんとできるよう訓練していただきたいと思います。

すみません長くなりましたが、最後のチェックポイント、
✓基本的な例文は暗記し、自在に書くことが出来る
です。自分は学校配布のものでやったので残念ながら教材の紹介はできません。ポジハメに聞いてください。
数学で「カタ」の話をしましたが、これも同じです。「単語を変えればいろいろ表現できる!」というもののストックを増やしてください(つまり単なる暗記ではなく、武器にできるようにということ)。もちろん最初は短いものしか表現できませんが、長い英作文ができるようになるための大事な土台です。つまらないかもしれませんがやりましょう。長い英作文は、こうした「文のカタ」を、長い英作文の模範解答を吸収したりして得られる「段落のカタ」にあてはめることでいずれできるようになります。とにかく高3に入るまでに「文のカタ」を増やすことを意識しましょう。

現代文(文系)

✓基本的な読み方のスタイルは持っている
✓基本的語彙を持っている

自分も現代文の勉強はほぼ林先生の講座に頼っていたので大したことは言えませんが、少なくとも字面読みからは脱却していてもらいたいとは思います。論旨を掴む、具体例が補強している主張は何か掴む、表現を変えて何度も出てくるものを掴む...などです。どうしてもできない、と言う場合には、東大特進で林先生の授業をとってみて、先生の考え方に一度触れてみるのがいいと思います。
次に語彙です。特別な対策は不要ですが、文章を読んでいてわからない単語・慣用句があったり、特段難しいわけでもない漢字書き取り問題が書けなかったりするとのちのちマズいので、今のうちに対策しておいてください。

古典(文系)

✓古文単語帳は一冊覚えている
✓古文文法を覚えている
✓読むのに支障がない程度には古文常識を覚えている
✓漢文の基本句形は覚えている

まず古文から。古文単語は覚えましょう。300語くらいが目安です。推奨する覚え方としては、「元々その単語はどんな意味があったのか」に着目することです。『栗原の古文単語教室』などに詳しいですね。「意味1、意味2、意味3...」と覚えるのではなく、「元々この意味で、意味1、意味2、意味3...と派生した」と覚えておくと、ニュアンスが掴めるので「意味1、意味2、意味3...のどれも文脈上あてはまらない!」という現代語訳問題に遭遇したときに困らずに済みます。鉄壁などと同じ考え方ですね。そういう意味で、ゴロで覚える系の参考書は推奨しません。単語の覚え方について、有益なツイートがあったので共有します↓

文法について。少し前に入試研でこんなツイートをしました。これは高3に入るまでにできていてほしいことです。

古典文法を一通りインプット(例文を見ながらインプットできるとベスト)し、文法の識別ができるようになったところで簡単な文章の読解に入ってください。初期段階では読んだ文章を逐一品詞分解・用法識別して、アウトプットしてください。文法知識を盤石にします。だんだん正確な識別が脳内でできるようになったら(もはや時間の無駄になるので)逐一品詞分解をしなくて結構です。そのレベルになったら、どんどん問題を解きつつ理解の穴を埋めてください。

古文常識について。正直軽視されがちだと思いますが、古文常識について知らないと文章が読めないということもあります。物忌、祈祷、儀式、官位といった、貴族の生活に関わる部分については知っておきましょう。「◯の刻は何時か」みたいな知識問題は東大では出ないので、そうしたことは別に覚えなくてもいいです。

地歴

✓いつから何を始めてどんなペースでやっていこうか予定が粗方できている

理科と同様、チェックポイントはこれだけです。授業のある人ない人、授業のカリキュラムなど違いはあると思います。基本的に地歴については、学校の授業を軸に進めることを推奨します(=先取りは推奨しません。その時間で英数国をやってください)。
また、東大同日で悪い結果だったからといって論述の勉強を始める人もいそうですが、不要です。一年前に書けるものではありません。高3の夏までには英数国を固めるとともに地歴は既習範囲を盤石にします。そういう土台があってこそ、秋から論述の勉強に本腰を入れられるのです。
あともう一つ、「論述を始める頃に通史が終わっていない問題」ですが、問題ありません。11月までに通史が終わるようであれば大丈夫です。論述は、最初から時間制限付きでやるものではありません。現代文と同様、最初は時間無制限の演習により着実に実力をつけていくものです。ですから、授業と同時進行で、既習範囲からやっていく形で問題ありません。

独学の方のための通史学習の方法については↓の記事にあります。独学の場合、高3に入るまでに最低でも近世に入っていて欲しいです。近世中盤〜終盤くらいまで終わっていれば十分です。
なお、この際に想定されているのは教科書本文、太字レベルの理解です。一周目で知識を逃さず吸収しようというのは不可能に近く、普通はペンキの上塗りのように、何回も何回も読むことで定着を図ります。

おわりに

受験が一年後に迫ってきました。これを見ている方は、twitter上で、直前期の受験生の心情がどんなものか見ていると思います。一年後はまだまだ先...と思うでしょうが、気を抜くとすぐにやってきます。一年後のこの時期を焦って迎えるか、落ち着いて迎えるかはこれから二ヶ月の学習にかかっているといっても過言ではありません。着実な学習を続けてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?