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共通テスト(日本史)に向けて

久しぶりに記事書きます。

共通テストまであと47日らしいですね。ということで、共通テスト日本史に関する記事です。

というのも、こんな質問が来たからです。

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今までの記事は東大日本史に特化したもので、あまり共通テストには触れていませんでした(一応研究はしてました)。ということで、今回は試行調査を参考にしつつ一次だけで日本史を使う人向けに共通テストについて考えていきます。上の質問の回答内容に限りません。

東大受験生は、東大日本史に必要な能力で対応可能です。知識が足りない場合は適宜補ってください。

試行調査の問題は以下↓

共通テスト日本史の概説

いろいろと批判の多い共通テストですが、日本史に関してはいい方向に改革されています。
端的に言うと、歴史学との連続性が感じられるということです。例えば史料問題の多様化・増加です。センター試験では、「史料に関して述べた文として正しいものを選べ」といった形式で、文字資料かつ正文選択問題がほとんどでした。しかし共通テストでは、「史料と説明文を組み合わせ、年代配列せよ」という問題(上画像)や絵画資料を参考に考察する問題(下画像)が登場しました。

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さらに、評価と根拠の問題の登場です。つまり、「◯◯にはX、Yの二つの評価があることがわかった。それを根拠づける情報を選べ」というものです。これは、考察問題をマーク式で出すにあたっては、ベストな形式だと思います。

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(受験生向け)共通テストに必要な力〜ここに気をつけて演習しよう〜

センター試験と共通テストの違いを端的に言うと、歴史学との連続性が感じられるということを述べました。先ほどは具体的な問題の例を上げる方向に話が進みましたが、今回は抽象的に説明を試みたいと思います。

歴史学との連続性はいいとして、それはつまりどういうことなのか、解答プロセスにはどう関わってくるのかというと、知識+その場での思考を必要とする問題の登場・増加です。

旧来のセンター試験では、正文選択・並べ替え・正誤判定・史料読解などの出題形式がありましたが、知識だけで解決可能、または読解さえすれば、前提知識がほとんどなくても解けるという問題が大半を占めていました。しかし共通テストでは、知識を必要とする問題には少しひねりが加えられていて、
①架空の生徒が作った資料や図版・表・文字資料などの資料を参照しないと解答にたどり着けない問題
②架空の生徒が作った資料や図版・表・文字資料などの資料の文脈に依存している知識問題
が登場しています。さらに先述のように
③知識前提の考察問題
も登場して、一筋縄ではいかない、パッとさばけないような問題の増加が共通テストには見られます。

特に、一問一答で一夜漬けしていたような人にとっては、脆いところを突かれるような出題かと思われます。

受験生が共通テスト(特に資料が提示される問題)との違いとして意識すべきこととしては、
知識だけでは必ずしも解決できない、しかし知識を生かしつつ資料と対話すれば必ず答えが出る問題である
ということです。資料の使い方によってはむしろセンター試験よりも解答しやすかったりするので、試験場で焦らず、冷静に思考することが高得点を取るために大事なことです。

そのためにも、普段の問題演習から考えることを面倒くさがらずに、資料から情報を引き出す訓練をしておきましょう。資料を、解答を妨げる敵ではなく、解答をアシストしてくれる味方だと思って使えるようになれば満点も可能でしょう。

こんなことを頭に入れつつ、試行調査や模試、予想問題を解いてみてください。

共通テスト対策用の問題集はさすがに買っていませんが、直前期に知識を確認したい時は
・日本史B最速要点チェック

・時代と流れで覚える 日本史B用語

などをおすすめしておきます。

(1,2年生向け)対策方法〜こういう学習をしていれば特別な対策は必要ない〜

受験生向けの章でいろいろ書きましたが、インプット段階での学習方法によっては特に対策をしなくとも共通テストに対応できるようになることも可能です。

note記事「東大日本史の理論Ⅲ」に自分はこう書きました。

教科書が歴史学という学問を専攻している先生が書いたもので、東大日本史が学問の営みと近いものである以上、教科書を基調とした正面からの勉強を積み重ねるのが最善手です。
まず、通史学習段階では、
(授業がない人)実況中継など、口調が柔らかい本で歴史の大まかな枠組みを形成する。

授業か参考書でだいたい各時代の特徴が掴めたら、教科書の記述を見てミクロの視点(細かい内容理解や具体的事象ごとの因果関係など)とマクロの視点(歴史的背景など)を身につける。補助として『日本史実力強化書』『詳説日本史ガイドブック』で深めたり、『日本史の論点』で比較の視点を導入してもよい。(以上3参考書はレビュー済みなので記事を見てください)

一定量進むごとに、書いてアウトプット。ウイニングコンパスのような文章穴埋め型、年表穴埋め型のものは記憶の定着には優秀。重要な点は文章で書きたいので、記述問題がある『日本史総合テスト』(山川)などを使うこともおすすめ。

これがしっかりとできれば、知識面で困ることはないでしょう。
長いこと書きましたが、結局は
単語にいろいろくっつけて覚えるのではなく、まず枠を作ってそこに細かい知識をはめていく
というのが理解が早いでしょう。因果関係から覚えることになるので、単語知識が強固に紐付けされます。

通史学習の方法の基調は、これになります。共通テストのために付け加えるとすれば、
①教科書に出てくる文化史の図版・地図は頭に入れておくこと
②史料集を使い、文字資料の読み方(人名に注目する、記述から具体的な歴史的出来事を想起するなど)を身につけておく

といったところです。史料集は、自分はこれを使ってました。これを使うときには、重要度☆☆☆までの資料は、目を通しておきましょう。

通史を入れる際に、共通テストに対応できる知識・理解を獲得できる参考書としては、
・大学入試共通テスト日本史Bが1冊でしっかりわかる本

・共通テスト日本史Bの点数が面白いほど取れる本

などを推奨しています。いずれも東大日本史指導をしている先生方で、日本史の理解が深まります。


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