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【参考書レビュー】共通テスト日本史Bの点数が面白いほどとれる本

基本情報

書名:共通テスト日本史Bの点数が面白いほどとれる本
著者:山中裕典
出版社:KADOKAWA

ジャンル:参考書
ねらい:歴史を理解するための解説と共通テスト型のチェック問題で、共通テストに対応できる通史理解を促す
対象:通史学習者・共通テスト受験生
前提レベル:指定なし

特徴

まず驚くのがその厚さです。索引含め648p。『詳説日本史』の1.5倍です。それも字が大きいとか行間が異常に空いていると言うわけでもなく。これは説明が丁寧であるためです。とにかく「理解してもらおう」という気遣いが随所に感じられますね。自分が特に良いと思ったのは以下の3点です。

①説明のための図が多い
②会話文でわかりやすく
③波線での強調が絶妙

①説明のための図が多い

山中先生は東大特進の講義の際、問題解説と並ぶ二本柱として「図解板書」という、歴史上の複雑なものを概念化して伝える時間をとります。これが非常にわかりやすく、自分も荘園公領制、江戸時代の流通、1920年代の外交などを理解する際には大変助かりました。この本にはそれも掲載されており、山中先生の講義のエッセンスを吸収することが可能です。

②会話文でわかりやすく

随所に先生(山中先生)と生徒の会話が散りばめられています。ここでは、「そもそも◯◯って何?」であったり、よくある誤解を訂正していたりして、理解の奥行きが深まります。

③波線での強調が絶妙

山中先生の特徴でもありますが、文章に波線が引かれている箇所がけっこうあります。これもただ引かれているのではなく、理解を深める、または意義・影響にあたる本当に重要なところを選んで引かれています。ここに注目して読めば、論述問題にもかなり役立つでしょう。

「共通テスト」という名で売られているものではありますが、結局は、論述にも使える読みやすい日本史参考書ですので、東大志望の高1,2生にもぜひ使って欲しいと思います。

注意点

こういう厚い参考書には共通して言えることなのですが、まあ、厚いので、のめりこみすぎないようにしてください。江戸時代やっている時に奈良時代の内容を忘れていても、もう一周すればいいだけです。読みやすい本ですので、「ゆっくり一周」よりも「ざっと2周」のほうが定着すると思います。

使い方(あくまで一例)

・独学
独学に利用して問題ない解説の充実度なので、教科書を手元に置きつつ、通史理解を深めましょう。適宜ウイニングコンパスなどで知識をアウトプットすることも忘れずに。

・授業と並行
古代中世の土地制度など、複雑な構造をとる事項の理解を深めるのに最適で、また「そもそも◯◯って何?」という疑問に答えてくれるものなので、そこの補完を中心に、授業でやった内容を深めましょう。

・受験生
全部読んでいる時間はないので、苦手な時代、複雑な事項などの説明だけをさらっと読みましょう。過去問を解く時に、復習で参照する参考書の一つにしてもいいと思います。

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