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アートの探索遠足#004 オンライン対話型鑑賞

こんにちは、臼井隆志です。今日は「アートの探索遠足」のお誘いです。「アートの探索」マガジンの読者の方とアートを通じた学びを体験する、ゆるいイベントです。

このマガジンは、子どもが関わるアートワークショップを専門とする臼井隆志が、ワークショップデザインについての考察や作品の感想などを書きためておくマガジンです。週1~2本、2500字程度の記事を公開しています。

ピーター・ドイグ展を題材に

今回のイベントでは、臨時休館中の東京都国立近代美術館で開催しているはずだった「ピーター・ドイグ展」を題材に、対話型鑑賞3ピースダイアログという対話の手法を組み合わせたオンラインワークショップを実施したいと思っています。

リモートワーク社会になった今、オンラインで対話を深める方法を実験し、磨いていきたいと思うからです。

以下に、開催をしたいと考えた経緯を書きます。

対話が難しい環境の中で

2020年4月7日、新型コロナウィルス感染症の拡大にともなって緊急事態宣言がなされ、日本でも外出自粛要請が強くなされるようになりました。

いま、さまざまな組織やコミュニティのなかで、心の中を打ち明け合うような対話や雑談がどんどん乏しくなっているという声が聞こえてきます。

今回の「アートの探索遠足」は、対話の方法を共有するべく、参加者一人ひとりの「感じ方」についてちょっと潜ってみたいと思います。

というのも、オンラインでの対話の方法がほとんど共有されていないことに課題を感じているからです。また、大きな変化のなかで「いま自分が何を感じ、考えているのか」がわかりにくくなっているようにも思います。

ぼくたちは、日々の何気ない雑談のなかで、自分が感じ、考えていることを都度たしかめています。しかし、Stay home,Stay safeという言葉のもと、自宅ですごし、オンラインコミュニケーションが生活のほとんどを占めるようになった人は、雑談のあり方が変化し、中には機会が減ってしまった人もいるかもしれません。

ぼくは1人のファシリテーターとして、「どうすれば、この制約のなかでよい対話の場をつくることができるのか?」を日々自分に問いかけ、考えています。

そんなわけで、今回は恒例の対話型鑑賞に、3ピースダイアログという方法を組み合わせたプログラムをつくってみました。

対話型鑑賞と3ピースダイアログ

対話型鑑賞とは、一つの作品をみながら思ったこと、感じたこと、考えたことを複数人で交換する方法です。作品に対する複数の見方を体験できるだけでなく、芸術作品を言葉で言い表すことの困難さと面白さを味わえます。これまで、美術館やオンラインでの実施をしてきました。

3ピースダイアログとは、3人1組で「語り手」「聞き手」「描き手」に役割を分担し、交代しながら対話するプログラムです。

1人10分~15分ずつ、思っていることを語ってもらいます。自分自身が感じていることを内省する機会をつくると同時に、他者の語りをサポートするために「聞く」「描く」という行為が果たす役割を味わえます。これまで、Nサロンや演劇の対話型鑑賞プログラムなど、さまざまな場で行ってきました。

今回はこの2つの方法を組み合わせる実験をしたいと思っています。

プログラム内容

はじめに、一つの作品について対話型鑑賞を行います。作品を見て感じたこと、考えたことを「作品のどこからそう思ったのか?」を問いながら言語化を試みます。

その後、その作品について対話したうえで、3ピースダイアログを行います。ここでは一人一人自分が感じたことをふりかえり、「どうして私はそう感じ、考えたのか?」を内省しながら言葉にしてみます。

「どこから・・・?」という問いは、外にある根拠を問います。
「どうして・・・?」という問いは、内にある解釈を問います。

こうした問いによって起こる思考の違いや、発話の変化を感じながら、みなさんといまこの時代に、オンラインで対話する方法を実験し、共有し、ゆくゆくはみなさんにも使ってもらえたらと思っています。

参加をご希望の方は、本マガジン「アートの探索」をご購読の上、下記の参加手続きにお進みください。

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