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インタビュー:あの人に聞く、〈◯◯〉と〈まち〉

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まちにはさまざまな職業・コミュニティ・性別・ジェンダー・役割をもった人がいます。個人の視点だけではまちは成立しません。 「あの人に聞く、〈◯◯〉と〈まち〉」は、各分野の最先端で活… もっと読む
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記事一覧

人の死は都市にどう現れるか──納棺師・木村光希さん、社会学者・辻井敦大さんに聞く、〈死〉と〈まち〉

街づくりは、主にまちに住む人間のために計画されるものですが、人間には必ず死が訪れます。多くの人びとが暮らす都市では、同時に亡くなった人びとを弔うための計画が求められ、それはたとえば墓地や霊園のような空間として、都市に現れます。 しかし、近代化以降、人びとと死の関係は多様に、あるいは疎遠になりつづけているように思われます。戦後日本において「家」制度は解体が進み、個人が尊重される社会が一般化するにつれて、継承者や縁故者がいなくなってしまった無縁墓の増加など、多くの社会問題にもつ

自動販売機は社会を映す鏡?──自動販売機マニア・石田健三郎さんに聞く、「自動販売機」と「まち」

まちを歩いていて多くの自動販売機を見かけるのは日本ならではの風景です。 日本は自動販売機の設置台数の多さが世界でも有数の国。さらに、屋外に設置されている割合は群を抜いているそうです。 災害時には備蓄倉庫や一種の電源として扱われたり、子どもや高齢者を見守るカメラやネットワーク機能を備えたものがあるなど「まちなかに溢れている」という特性を活かした、一種のインフラとして扱われるようにもなっています。 そのようにまちと密接な関係を持つにもかかわらず、当たり前の存在だと思われている

テクノロジーと文化のバランスの重要性──吉村有司さんに聞く、「テクノロジー」と「まち」

「テクノロジーを利用したまちづくり」と言うと、なにかすごそうな印象を受けますが、その手法や目的にはさまざまなものがあります。 ただ、重要なのはテクノロジーの利用を目的にするのではなく、テクノロジーを利用して「どう良くしたいのか」を考えることです。 2023年に入って、ChatGPTやStable Diffusion、Midjourney、DALL-E 2など「生成AI」が話題になり、特にChatGPTは政府や多くの企業が触れざるを得ないほど大きな影響力を持ち始めているように

データを使ってまちを変える方法——Spatial Pleasure・鈴木綜真さんに聞く、〈データ〉と〈まち〉

ふだんから私たちは「都市」という言葉を使いますが、では「都市とは何ですか?」と問われると、途端にむずかしくなってしまいます。たとえば「東京」や「パリ」は都市と言えそうですが、どこまでが東京で、どこからはパリでないかを考えると、行政区分として引かれた線引きでしか都市を理解できていないようにも思えます。 しかし、「都市」が実在することは事実で、私たちの目の前に実際にある。それを「都市である」と見えるようになるには、特殊なレンズのようなものが必要なのだと思います。そのレンズとして

片手袋に路上園芸、顔ハメ看板……まちには「面白がれる」ものがいくらでも存在している——合同会社 別視点・松澤茂信さんに聞く、〈別視点〉と〈まち〉

片手袋に路上園芸、顔ハメ看板……よく目をこらしてみるとまち中には様々なものを見つけることができます。 そして、それを何年、何十年も収集し続けるマニアの方々も存在します。今回、お話を聞いた合同会社 別視点はそんなマニアの方々の視点を活かした事業を行っています。 代表の松澤さんが「珍スポット」マニアであったことから始まった別視点。松澤さんは、まちの人たちが「自分たちのまちには何もない」と言うような場所であっても、必ず面白がる要素を見つけることができると言います。 「街づくり」と

重要なのは「変化を受け入れ、行動すること」「真摯に取り組むこと」——アーキテクチャーフォト® 後藤連平さんに聞く、〈Webメディア〉と〈まち〉

人びとがインターネットに触れるようになってからわずか数十年でTwitter、Instagramを筆頭にしたSNSの発展などインターネットを取り巻く環境は大きく変化しています。 2003年に個人サイトとして始まり、2007年から本格的に活動を始めた建築系Webメディア「アーキテクチャーフォト」は、「建築」という専門メディアの視点から、そうした目まぐるしい「変化」と並走し、その時々でより良い発信のあり方を考え続けてきました。 そうしたアーキテクチャーフォトの道のりからは、同じく

「木彫刻のまち・井波」に魅せられた建築家が住まいながら地域循環経済をつくるまで——Bed and Craft 山川智嗣氏に聞く、〈職人〉と〈まち〉

「街づくり」はとても複雑なものです。 住民はもちろん、商いを営んでいる人、デベロッパー、行政……さまざまな主体の活動の上に成り立っています。各々の活動はお互いに何らかの影響を与え、結果的にまちという姿で現れます。そう考えると、それらの主体自身が街づくりを意識することから、本当の街づくりが始まるのではないでしょうか。 総務省の住宅・土地統計調査によると2018年時点で全国の空き家率は13.6%、実に約7戸に1戸が空き家という過去最高の水準を記録しました。加えて人口減少、市町村

次世代のまちを考えるために組織設計事務所がリサーチ機関を持つことの重要性——PLP Architecture 相浦みどりさんに聞く、〈リサーチ〉と〈まち〉

「街づくり」はとても複雑なものです。 そこに住む住民はもちろん、商いを営んでいる人、デベロッパー、行政……などさまざまな主体による活動の上に成り立っています。各々の活動はお互いに何らかの影響を与え、結果的にまちという姿で現れます。そう考えると、それらの主体が街づくりを意識することから、本当の街づくりが始まるのではないでしょうか。 NTTアーバンソリューションズも関わる2037年度以降に全体完成を目指す「内幸町一丁目街区開発プロジェクト(仮称)」。 現在、帝国ホテル等が建つ日

だれのための「まち」なのか——政治学者・岡野八代さんに聞く、〈ケア〉と〈まち〉

「街づくり」はとても複雑なものです。 そこに住む住民はもちろん、商いを営んでいる人、デベロッパー、行政……さまざまな主体の活動の上に成り立っています。各々の活動はお互いに何らかの影響を与え、結果的にまちという姿で現れます。そう考えると、それらの主体自身が街づくりを意識することから、本当の街づくりが始まるのではないでしょうか。 複数の人たちの手によって進められる街づくりは、考えや思想の異なる人たちも一緒に、ひとつのまちについて議論を尽くさなければならないと考えます。まちにはさ

スケートボードが紡いできた自由、都市の記録とコミュニティ——Diaspora skateboards・小林万里さんに聞く、〈スケートボード〉と〈まち〉

「街づくり」はとても複雑なものです。 そこに住む住民はもちろん、商いを営んでいる人、デベロッパー、行政……などさまざまな主体による活動の上に成り立っています。各々の活動はお互いに何らかの影響を与え、結果的にまちという姿で現れます。そう考えると、それらの主体が街づくりを意識することから、本当の街づくりが始まるのではないでしょうか。 2021年の東京オリンピックで堀米雄斗さんが初代金メダリストになったことから、改めて大きく注目を集めたスケートボード。 半世紀以上も前に若者を中

〈わたし〉をいかに生きれるか——公共とデザインに聞く、〈公共〉と〈まち〉

「街づくり」はとても複雑なものです。 そこに住む住民はもちろん、商いを営んでいる人、デベロッパー、行政...…などさまざまな主体の活動の上に成り立っています。各々の活動はお互いに何らかの影響を与え、結果的に街という姿で現れます。そう考えると、それらの主体が街づくりを意識することから、本当の街づくりが始まるのではないでしょうか。 デザインをバックグラウンドに、渋谷区や亀岡市など、さまざまな行政機関や企業、課題の当事者たちとプロジェクトを進める一般社団法人「公共とデザイン」。