婚外恋愛Ⅰ

出会い編

10代のころ。

周りでは携帯小説なるものが流行った。バイトの空き時間、俗にいう待機時間に同期たちがよく読んでいた。当時はスマホでもなくまだガラケーの時代だ。今ほどの娯楽もなかったので他人が作ったサイト内のオムニバスの携帯小説が読まれていた。主にホストやキャバ嬢もの。もちろん私たちの業種の主人公の小説もバッドエンドながら無料で出回っており、リアルで私も暇つぶしに読んだものだ。

そんな時代、同世代とのまともな恋愛の多少の難があり、金銭感覚も多少違っていた私たちの仲間のうちの一人が不倫を始めた。

俗世間と離れた仕事はしていれど自分なりの正義感はあった。そのためバイト仲間が不倫をしていると知った時の自分の中で彼女に目覚めた嫌悪感を今も覚えている。

同時にそれは携帯小説でしか、ドラマの中でしか起こりえないことだと思っていた為、少し彼女が輝いても見えた。それも変な話だが。

それくらい稚拙な私でも不倫というものが茨の未知なことは分かっていた。

そして1年と経たないうちに終わったらしい。

やはりハッピーエンドはないものなんだなっと思った。



それから10年ほどが過ぎた。

上京して知り合いも友人もいなかった私は居酒屋やバーで一人飲み歩いていた。人見知りだったがこの地には不幸中の幸い私の過去を知る人もいない。なのでキャラ変して友達作りに勤しんでいた。そうすることで薄っぺらい友情を築き孤独を埋めていた。

そう、まさに独身貴族

そんな生活をしていた時、バーのイベントで1人の男性と会った。その際1杯ごちそうになった。ただ彼は連れがいたようで大した言葉は交わさなかった。背が高く雰囲気も大人な紳士な印象だったのは覚えていた。

またここで会えたらいいなという淡い期待を抱きながら終電の時刻が迫り、一人店を出た。

すると

彼が後からついてくる。

森のくまさんかよ!WW

帰りの電車が一緒らしい。なんて幸運なんだろう。関東とは広く狭いものだと思った。そこで軽く世間話をした。そしてお酒の力を借り連絡先の交換をした。ここから彼と私の物語が始まった。



始まり編

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