二人の父ががんになって思う事

義父と実父のがんがほぼ同時期に発覚した。

義父の方は、度重なる手術や抗がん剤の副作用により、あまり食事をとることができない。

今はもうほぼ何も口にせず、ただ点滴で生活しているのだが、少し前は、ジャーキー等ならなんとか食べれるとかで、ひたすらそういったものばかり口にしていたらしい。(それでも少量だが。)

私はお酒のつまみ系のものが大好きだった。ジャーキーだとか、缶詰のおつまみだとか。でも高いからなかなか食べれない。常日頃から、人生の間にしぬほど食べてみたいなあなんて思っていた。

義父はお酒が好きな人だった。おそらくおつまみもそうだろう。
こんな状況になって、何も口に入れる気にならない、なんとか入れる気になって喉を通るのがそれだけとは皮肉なものだと思った。
なんとか父が口に出来るのならばと、日頃は買えない高級なおつまみたちを、お金に糸目をつけずに父へ買って持って行った。

日頃自分たちは高級すぎて手をつけられないおつまみたち。
どんなに高級でも、きっとこんな状況で無理やり口に入れるジャーキーやおつまみたちは、美味しく感じられないんだろうなあと思った。

私は「しぬほど食べたい」だけど義父は、「食べなきゃしぬ」なんだよなあと。

もちろん、義父の糧になってくれたおつまみたちや、それを製造してくださった方々には大変感謝をしている。
おつまみに対してどうこう思っているのではなくて、同じおつまみなのに、食べる状況によっては、こうも感じ方が違うのかと。

なんだか当たり前の話なのだが、やりたい事や食べたいものは、元気で楽しめる時にやらねば、同じことでも状況が変われば楽しめなくなるのだなあと、父の目の前に高級おつまみを広げながら思ったのだ。

私はちゃんと楽しんで食べれる間に、時には無理をしてでも、しぬほどおつまみを食べようと心に誓った。


いただいたサポートは父の治療費に当てさせていただきます。