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感じてはいけない感情はない


ぼくは「感情との向き合い方」を考えることが好きだ。

じぶんの感情っていうのは、ほんとうによくわからない不可解なもので、そのあまりの扱いにくさたるや、獣(ビースト)のようである。

調子に乗ってコントロールできると過信するとしっぺ返しを食らってしまうけど、僕らに幸せを感じさせてくれるのもまた感情だから、なるべくうまく付き合っていきたいなぁとおもっていて、その手法やヒントになるようなことを学生時代からもう10年以上、ずっと学んでいる感じだ。

その中でもとくに向き合うのが難しいし面白いなあとおもっているのが「陰性感情」(ネガティブな感情)である。怒りとか、嫉妬とか、悲しみとか、いろいろな陰性感情があり、それぞれにいろいろなキャラクターをもっていて、自分なりに彼らとの付き合い方を学んでいるところなんだけど、その中でもっとも重要な、「大原則」と言ってもいいことばがある。

それは、「感じてはいけない感情はない」ということ。


これは、昔から有料メルマガを購読してるくらい尊敬する精神科医の名越康文先生の言葉である。

ネガティブな出来事があったら、怒りや悲しみなどの陰性感情が湧く。

それは「コーラを飲んだらゲップが出る」というくらい当たり前の反応なのであって、わたしたちの人格に何ら問題があるわけではない。たとえば、あなたを傷つけることばを放った相手に対して、ネガティブな感情が浮かんできても全く自然なことなのだ。

しかし、善良なひとほど、自分の内側から湧いてきた陰性感情に「引いて」しまったりする。そこには、「こんなことを感じてしまうじぶんはだめなやつだ」とか、「感情は完全にコントロールすべきものだし、できるものだ」という誤ったマインドセットがはたらいている。「誤った」というのは、それがあることで幸せを遠ざけてしまう考え方だ、という意味だ。


陰性感情に対処するには、以下のプロセスを踏んでいくのがいい。

① 浮かんできた感情をまず認める
② 溜め込まず、なるべく早期に「吐き出す」
③ 「浮かんだ感情」と「直後の行動」を分ける


嫌なことがあって、沸き起こってきた陰性感情を「まず認める」ことから始まる。
この認める、ということが一番重要だと思っている。陰性感情を否定したり無理に押し殺したりすると、後々ボディブローのようにじわじわと余計頭の中を支配され、結果として長く苦しむことになる。また、小さい頃にあまりに多くの陰性感情の嵐のさなかにいたひとは、その感情を心の「樽」に押し込めて、無かったことにしているというケースもある。(この樽のはなしは、また今度詳しくしたい。)


陰性感情を積極的に認めていく手法として、それが今まさにじぶんの心のなかに渦巻いているとき、「私は怒っている」とか「私、いま悲しんでいるなあ」といったことばを心のなかでつぶやく、というのがある。周囲にひとが誰もいないときには、実際に声に出してつぶやいたりもしている。

そして、どこかで、なるべく早期に、何らかのカタチで素直に吐き出す。
吐き出し方はなんでもよくて、たとえば直接仕事に直接関係ない人にグチを言ったり、日記を書いたり、鍵付きのアカウントでつぶやくのでもいい。ここで、感情をことばにして、じぶんの身体の外に出すという過程がけっこう大事だとおもう。

そして、浮かんだ「感情」とその後の「行動」は分けて考える。
強い陰性感情に頭を占拠されたときに、最もやっていけないことがある。それが「反射」だ。反射的な行動は、ほんとうにロクなことにならなくて、人間関係に深刻なダメージを与えて後悔のもとになりやすい。

反射的な怒りを引き起こすことばっていうのは、だいたい自分の過去の傷に根ざしていることが多い。言わば地雷みたいなものなのだけど、相手のひとことがそこに意図があったかはともかくとして、うっかり自分の深い傷に触れてしまって、「売り言葉に買い言葉」的に苛烈な言葉を使って攻撃してしまい、ほんとうは大事にしたかった人間関係を、修復不可能なレベルまで崩壊してしまったりする。これは本当に、もうほんとうにつらいものだ。

反射というのは、かなり後悔と直結しやすい行動である、ということにはすごく自覚的でいたほうがいいと考えている。

人間関係に関する後悔はとても根深くて、じぶんを傷つけるものだ。深い後悔は、人生をそれなりに味わい深いものにしてくれるかもしれないけど(笑)、なるべくなら、避けたい。


陰性感情について深く知ることは、自分のまわりの大切にしたいひととの関係を守ったり、育んだりすることにつながっているとおもっていて、それは間違いなくぼくの人生を豊かにしてくれるに違いないという信念をもっている。


だから、こんな感じで色々な感情についての学びや気づきを書いていくことで、だれかの目に触れたり反応をいただいたりできれば、それをヒントにまた自分の中で磨き上げることができるのではないかなあと期待している。

いつも読んでくれてありがとうございます。 文章を読んでもらって、サポートをいただけることは本当に嬉しいです。