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「プロジェクト・ヘイル・メアリー」への偏愛

読書という業

そもそも子供の頃から読書中毒なのだか、その理由はあきらかに父親のせい。
学校から帰ってトイレを開けると父が本読みながら用を足しててビビったり、風呂に本を持ち込んで入浴してたり。
おかげですっかりトイレとお風呂は読書スペースになった。
活字を見ていないと落ち着かず、以前ロスに1ヶ月間レコーディングで滞在したときは、車で移動が基本のロスでは追加の本が買えず、日本から持っていったサンレコという月刊誌を編集後記やお店の人のコメントまで読みつくす次第。

まったくもって最悪である。

メディスンマンとしてのSF

ということで表題のプロジェクト・ヘイル・メアリー」だが、読む本の半分以上がSF小説という偏った読書を続ける自分が、ここ数年の中とにかく最高だったのでぜひオススメしたい。ちなみに内容の説明は一切しないのでご了承を。

そもそも何でSFを読むかというと、常識をすっ飛ばされる感覚が好きだから。
例えばグレッグイーガンの「シルトの梯子」では人類が進化し人格をコンピュータに移し、恒星間旅行をするために掛かる10万年とかの時間をコンピュータ内で当たり前のように過ごす描写がある。
しかも動作速度を変化させ、進化のスピードを加速させたりしている。

10万年とか200万年とか時間の数字がインフレしすぎていてビビるが、これを読んだ後には曲のアイデアがでてこないとか、締切に間に合わないなんて些細なことを気にする自分がアホらしくなるのである。

要するに現実逃避の良いお供なのだ。

アンディ・ウィアーという語りべ

著者のアンディ・ウィアーは映画「オデッセイ」の原作者。
この「火星の人」もそうだったが、とにかく文体・表現が巧妙で読み飽きない。
「ダヴィンチコード」のダン・ブラウンにも似た軽快な文体で、読んでいて次はどうなるのか?とワクワクさせてくれる。そんな文体で常識をすっ飛ばしてくれる概念をこちら側に投げてくるのでたまったもんではない。
この本を読んでいるあいだ、何度も電車を乗り過ごしてしまったことか。

内容については書かないと決めていたので詳しくは言わないが、上巻の
「何が起こっているんだ?!」
からの展開のスリリングさ。そしてそれを紡ぐアンディ・ウィアーの言語化能力に圧倒。
とにかくこの数年の中で最高の1冊だ。

ちなみにアフェリエイトとかはしていないので俺には一銭も入ってきません。

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