きゃりーぱみゅぱみゅさんを無条件擁護してたくせに、なぜ森下千里さんにはケチをつけるのか

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう語る。

 「いわゆる、タレント候補はこれまでも多くいました。自民党の丸川珠代参院議員(元テレビ朝日アナウンサー)や立憲民主党の蓮舫参院議員(元グラビアアイドル)のように、閣僚や党の要職を務めてきた人もいます。タレント候補は、顔と名前が一致して知名度があり、発信力もある。政党のイメージアップや人寄せの効果も期待されていますが、その後、政界で活躍できるかは別問題です。最近はタレント候補はあまり見かけませんでしたが、今回の森下さんの擁立で、まだ政党にはそういう考えがあるのだなと意外でした」

角谷さんは、最近はタレント候補をあまり見かけていないらしい。ところで、直近の国政選挙は2019年に行われた参議院議員選挙である。この参院選には、自由民主党からは元F1レーサーの山本左近さん、立憲民主党からは須藤元気さん、市井紗耶香さん、元RAG FAIRの奥村政佳さん、おしどりマコさん、さらには宮城選挙区からも元アナウンサーの石垣のり子さんが出馬していたのだが、彼らはタレント候補ではないのだろうか。もちろん、既に政治家としてのキャリアを積まれていた山本太郎さん、橋本聖子さん、和田政宗さん、もはやかつてタレント候補だったことすら記憶されていない山東昭子さんなども出馬していた。

タレント候補を見かけないどころか、目白押しじゃないか。

 ツイッターで森下氏がフォローする面々をみると、初期はテレビ関係者が多かったが、最近は自民党の杉田水脈衆院議員やアメリカ出身弁護士のケント・ギルバート氏、元自衛官で自民党の佐藤正久参院議員など、保守界隈で知られる政治家、著名人が多く見られる。他にも、産経新聞政治部の阿比留瑠比氏、中国出身の評論家の石平氏、ジャーナリストの櫻井よしこ氏などが並ぶ。
 中でも、自民党の和田政宗参院議員の投稿に対して、「いいね」を積極的にしている。

松尾貴史、水道橋博士、田原総一朗、ラサール石井、茂木健一郎、内田樹などもフォローしているわけだが、そこにはあえて触れないあたりに悪意しか感じない。それに自民党から出馬しようとしているのだから自民党関係者のフォローが増えるのは当然ではないだろうか。

それに、森下さんのタイムラインには、韓国批判のツイートがほとんどない。これは、いわゆる「ネトウヨ」層とは明らかに一線を画す傾向だと思う。拉致問題やウイグル問題など人権問題に対する言及があるというだけでネトウヨ呼ばわりするのであれば、朝日新聞はリベラルの看板を下ろした方が良い。

和田政宗議員のツイートに対する「いいね」が多いのは、宮城県の選挙区から出馬を予定していることが影響していると考られる。そもそもの問題として、和田議員のツイートに賛同することに何か問題あるんでしょうかね。

 前出の角谷氏は、森下氏がツイッターで「保守」に寄っているような姿をこう語る。

あはは、朝日新聞も、「保守」ってカギカッコ付きの表記するんだ。それは、我々が「リベラル」って表記するのと同じ意味ですよね。

 前出の角谷氏は、森下氏がツイッターで「保守」に寄っているような姿をこう語る。

 「保守的な強いメッセージは有権者のウケがよく、選挙戦略として都合がいい面があります。しかし、そうした発言が本当にその人の思想に基づくものなのか、背伸びして無理をしていないかどうかは、有権者が見極めなければなりません

個人的には、森下さんが保守的な発言をしているとはとても思えない(拉致被害者やウイグル人の人権を訴えたり、震災復興を訴えたりするのが「保守」であるなら、朝日新聞は「リベラル」の看板を下ろしたほうが良い)。

また、保守的な発言が有権者ウケが良いのかどうかは知らないが、一般論として、私が太字にした部分「背伸びして無理をしていないかどうかは有権者が見極めなければならない」というのは、一般論としては正しい。

でも、その一般論を、森下氏に対してだけ、あえて言うことに、悪意を感じてしまう。

それなら、昨年「#検察庁法改正案に抗議します」とツイートした、きゃりーぱみゅぱみゅさんはどうなんだ。

彼女こそ、明らかに「本人の思想に基づくものではなく、背伸びして無理して」いたし、そのことが多くの人に見透かされてしまったからこそ、炎上したのではないか。

それを「女性だから叩く」とか「芸能人だから叩く」などと論点を逸らして擁護していたのは、どこのどいつらなんだ。

そういう言葉できゃりーさんを擁護していた人たちが、今度は森下さんに対して同じことをする。ダブルスタンダードも甚だしい。もちろんきゃりーさんは森下さんと違って選挙に出たわけではないので同列に扱うべきではないというのはわかる。ならば、森下さんと同様に今度の選挙に出馬する新人候補者たちについても同様の記事を書かないのはなぜなのだ?森下さんと他の新人候補者との違いは結局「女性」であり「芸能人」である、という部分だけでしょ。

結局、「リベラル」は、都合の良い時だけ「女性を差別するな」「芸能人も政治的発言をするべき」などと綺麗事を言うが、彼らにとって都合の悪いことを言う芸能人が現れると、平気で女性差別するし、平気で芸能人差別するし、思想警察のようなことをする。

いや、別に森下さんを批判するなと言いたいわけじゃないよ。批判は大いにすれば良い。だが、批判をするのであれば、きゃりーさんに対して無理筋な擁護をしたことを撤回しろよ。もちろん、きゃりーさんに対しては批判だけではなく、数多くの誹謗中傷も投げつけられた。そこの部分は苦言を呈するべきだ。しかし、きゃりーさんを批判していた人全てがそうだったわけではない。きゃりーさんにも問題はあった。それは認めた方が良い。そうでなければダブスタになる。

 これだけSNSが浸透した今、タレント候補ならではの苦労もあるという。

 「ネットでは過去の言動も全部チェックされます。本人は本気で政治について考えていても、ネットの履歴から『過去にはこんなことを言っていた』『本気度が伝わってこない』などと揚げ足を取られることもあります。

べつに、タレント「候補」に限った話ではない。まさに、きゃりーさんもこれをやられて、「思想がどう培われたのか全く見えなかった」からこそ、ツイートの真意を疑われたわけだ。結果、きゃりーさんは「信頼できる人に言われた」と白状した。みんなの予想通り、彼女自身が自分で考えて発言したわけではなかったのだ。

正直、私も森下さんがどこまで本気なのかはよくわからない。そういう意味では、この記事の指摘もあながち的外れとは言えないと思う。だが、検察庁法改正案などというイシューと異なり、拉致問題やウイグル人の人権問題は、本来、イデオロギー対立など存在しない、超党派で取り組むべき問題のはずだ。にもかかわらず、森下さんを攻撃するから「自称リベラルは拉致問題やウイグル問題に冷淡」と言われてしまうんだよ。朝日新聞自らそれを立証してしまってどうする。やっぱり朝日新聞はリベラルの看板を下ろしたほうが良いと思う。

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