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「京都の住所の読み方解説」実は住所の中で道案内をしていた

先日、近所を散策していると、年配の旅行者グループが、ガイドブックを見ながら「ここを『のぼった』とこだね」と話していた。観光客「あるある」なのだが、この住所の読み方は間違っている。

「上ル」は「あがる」、「下ル」は「さがる」と読む。

でもそもそも、京都の人以外でこれがどうい意味か知っている人は少ないと思う。そこで今回は、京都旅行が便利になるように、京都の特殊な住所の読み方について説明をしておきたい

1.「 道案内」を含む京都の住所

京都の住所は次のように表記される。

京都市中京区 烏丸通姉小路下ル 場之町586-2

このうち、真ん中の「烏丸通姉小路下ル」の部分は「道案内」の部分で、ほとんどの場合、この表記がなくても場所を特定することは可能だ。

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でも、わざわざ道案内をつけている理由は「町名」が多すぎて(1,000以上ある)覚えていられないのと、同じ町名が複数存在するからである。

住所に「道案内」をつけることで、これらを解消し、場所がスムーズにわかるようになっている

2. 「道案内」の読み取り方

では、どのように「道案内」しているかと言うと

「交差点」と「交差点からの方向」が示されている。

具体的に見ていくと道案内部分の「烏丸通姉小路下ル」は、「烏丸通姉小路」と「下ル」に分けられる。そして、意味するところは

「烏丸通姉小路」 = 「烏丸通」と「姉小路通」の交差点
「下ル」 = 交差点から南に進むこと

そうすれば目的の建物にたどり着くと言うことである。

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なお、交差点の表記は、建物が建っている道を先に、その道と交差する道を後に書くようになっていて、さらに「通」は前の通にだけつける。だから、今回の建物は「烏丸通」沿いにあることになる。

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図示すると下記のようになる。

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「下ル」は「下る」、「上ル」は「上る」とも書き、同じ意味である。また、交差点から西に行く場合は「西入(にしいる)」、東に行く場合は「東入(ひがしいる)」と書く。

3. 通り名の覚え方

これで語学で言う「文法」は分かったと思うが、これだけで目的地にたどり着くのは至難の技。「名詞」である、京都の通り名を覚えないといけない

通り名はたくさんあるので、次の方法で順に覚えていくといいと思う。

(1)京都の中心部田の字を構成する6本の道路の通り名を覚える

京都の街中には太い6本の道が走っていて、その形から「田の字」と呼んでいる。まずはこの6本を覚えて欲しい。

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(2)実際に観光に行った時に、その建物の住所の通り名を覚える

ご自身が観光に出かけた際、その建物の住所に書かれている通り名を覚えるようにして欲しい。2箇所3箇所と回っているうちに、10本、20本くらいの通り名が頭に入ってくるようになる。

(3)通り名の唄で、中心部の通り名を覚える

京都の街中の通り名は、歌になって覚えることができるようになっている。といってもそれほどスムーズではなく、通り名を順に行っているだけのようにも聞こえるが、京都の人たちはみんなこれで覚えている。


4. 参考情報

「なぜ京都だけ、このような住所になっているのか」については、また別でゆっくり説明したい。ただ、実は大阪や名古屋も昔は同じであったことだけは伝えておきたい。正確には京都だけ「残っている」のだ

また、田の字の解説の図にあるが、有名な交差点で、「四条烏丸」、「烏丸御池」といった名前が出てくることがある。この時は、特定の建物の位置を表すわけではないので、通りを書く前後のルールが住所の表記の時と違っている。これは、一般的には、より大きな通りを前にしていると言われている。でも、気をつけて欲しい、大きいとは、実際のサイズではない。例えば、烏丸通と御池通は幅は御池通の方が大きいが、「烏丸御池」と烏丸が先に来る。戦前の太さとか、通りの持つ力のようなもので判断しているようだ。

いろいろと長くなるのでこの辺りにしておきたい。何にしても、早くコロナが治まってたくさんの人が京都に来に来てくれることを心待ちにしている


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